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IQ50,000

それから数日後、莉乃愛達はテストが実施されたようで、どうだったか聞くと、「正直教えてもらってるときから、できてるかどうかわからなかったから、わかんない!」と、テヘみたいな感じで話してた。



田原君たちも特にアークのことについて話すこともないようで、莉乃愛からも「喋ったり書いたりしたら全女子生徒を敵に回すことになる」と言われているらしい。


全女子生徒が敵とかもう生きて行けないだろ…。




翌週、俺が学校から帰り部屋で着替えて、とりあえずパソコンを起動すると、




「あっくん見て!」




そう言って、紙を持った莉乃愛がドアを開けた。


俺は立ったまま受け取り見てみると、それはテストの回答用紙だった。


国語の回答用紙で点数は78点。




「8割まではいかなかったけど、人生最高得点!! あ、コンコン!」


「それならよかったけど、もうそれはノックじゃないよ(笑)」




と、俺はテストを莉乃愛に返す。




「他の教科も同じぐらいで、先生鬼ビビってた~! でも、うちらカンニングしたって周りも同じだから意味ないこと知ってるからさ、まじでただただ衝撃受けてたぁ!!」


「まぁこれまでの点数と比べるとびっくりするだろうね(笑)」


「女子は大体同じぐらいで、男子3人は60点台が多かったけど、それでも、うちら6人クラスのTop6!」




と、ウケルよねーって感じでニコニコしながら話している莉乃愛が本当に可愛く見えた。




「よかったよ。りのあも嬉しそうだし、本当可愛いね」




そう言って、俺はニヤッとしながら莉乃愛の頭をなでた。




「んな…!」




と言った莉乃愛は下を向いて、




「とりあえずありがと!」




というと、ダッシュで部屋を出ていった。


ふふふ、この前の下着の色の件をやり返すタイミングを待っていたのだよ俺は。





俺はしてやったりと思いながら、デスクに座り配信の準備を始める。




「こんゆきー! 教えてアーク先生のお時間です!」


「こんにちはアークです。よろしくお願いします」


「そしてー今日は、恐れ多いんですが…この方がご一緒です!」


「ロイドです。こんちわー」




今日はゆきはさんのプラチナ道の日だったのだが、これまでタダで教えていて同時配信できない時もあったりで、随分前から担当の方が、俺とゆきはさんにお礼として超大物男性バーチャル配信者のロイドさんの参加を調整してくれた。




「流石にロイドさんは緊張しますね」


「わ、私は初めまして、です。前世の記憶がある転生者、日向ゆきはです」


「ちわーっす! 何も気にしないで普通にやりましょー!」


「そ、そうですね。ロイドさん今ランクどんなもんですか?」


「今ダイヤ2っすね」


「俺がミスリルなんで、今日はいつもと変えてランク行きますか?」


「おお? いいっすねー!!!」


「ら、ランクですか?!?!」




ゆきはさんは驚いたように言った。


OPEXはチームにダイヤ2以上のランクの人が1人でもいると、デスト帯と言われるランクマッチになり、デスト帯のプレイヤーと同じマッチになる。


要は、OPEXで一番レベルの高いランクマッチなのだ。




「はい。いつもは俺のランクに引っ張られるときついんでカジュアルにしてますが、今日はダイヤ2のロイドさんもいるんで、いい線いけるかと」


「ランク行きまっっしょー。そっちのがガチっすもんねー」




『プラチナ道初のランク』

『これは期待』

『ゆきはちゃんがんばー!』




そんなコメントがゆきはさんの配信画面にも流れており、




「い、いきますか…」




ゆきはさんはそう言うと、ランクマッチを開始した。




「つ、ついて行けますかね?」


「余裕余裕―!」


「まぁ大丈夫だと思いますよ。いつも通りなら、普通に戦えるはずです」


「キャラピックどうしますか?」


「ロイドさん何がいいですか?」


「今俺次元練習してんすよねー!」


「じゃあロイドさんが次元でゆきはさんは得意のライフで、俺は何にしようか…。とりあえずロボとかにしましょうかね」


「おけっすー!」




そんな話をしていると、キャラピック画面となり、降下画面へと遷移した。




「ジャンマスは、ゆきはさんに!」


「いやいや、アークさんに!」


「じゃあロイドさんに…」


「帰ってきたぜーーー! ここだ!」




そう言ってロイドさんは降下を開始した。





「研究所1パっすね」


「とりあえず漁りましょう。あ、ここにアーマーあります」


「もらいます! うわーーーーー! 来てるー!!!!!」




とゆきはさんは大慌て。


俺は降りた場所の物資がそこそこ良かったので、すぐさまゆきはさんの方に向かった。




「一人やり。二人目ミリ。ロイドさんの方行きました! スキャンです!」


「おっけー…はい、さようならー!」


「あと一人…いた…………はい、終わりですー」


「ナイファーイ!!」


「な、何もできませんでした…」


「ゆきはさん落ち着いて―。ランクだろうがなんだろうがOPEXには変わりないですから」


「は、はい…でも、デスト帯だと思うと…」


「まぁそこら辺はいい経験になりますし、ロイドさんもいますから!」


「いや、俺を頼らないでぇぇ!」




その後は戦闘もなくゆきはさんも大分落ち着いたようで、いつも通りプレーできるようになった。




「あー、チーターいますね…」


「まぁじ?」


「このキルログ、チーターです」


「私チーター初めて会うんですけど…」


「面白いですよ? 煙の中でも全弾ヘッショ来ますからね!」


「いや、あれまじ勘弁! しかもウォールとか詰んでると最悪」


「この人確かウォールとホーミングなんでまさしくそれっすね。でも、近くで銃声聞こえなかったんで、今のところは大丈夫ですかねぇ」




そしてそのまま3人で2時間ほどランク配信をして、




「ロイドさん、俺があの家の入口上までライン飛ばすんで、そしたら入口から思いっきり安地外へ次元引いてもらっていいですか?」


「…あぁぁぁぁぁ! なるほどみがすげぇぇ!」


「どういうことですか?」


「あの家のパーティー、次の収縮外なんで、出なきゃなんですが、ギリギリで次元が開くと、あの家もう出口がないですね。出ても次元ではるか彼方へ…」


「えげつねぇぇ!」


「なるほどですね…」


「行きますよ!」


「オッケー!」




そうして俺達はその試合で優勝した。




「おつっしたー!」


「お疲れさまでした」


「お疲れさまでしたぁ…」


「いつもとは違う緊張感があってよかったですね!」


「本当ですよ…めちゃくちゃ疲れました…」


「いやぁ最後の次元はIQ50,000だわぁ!」


「うまくはまりましたね(笑) 出ようとしたら次元があってぴゅーんって…」


「なんか可哀そうでした(笑)」


「あれも作戦なんで(笑)」


「しかもなんだかんだポイント増えたし!」


「私もゴールド1になりました…」


「プラチナもうすぐですね!」


「頑張ります! では今日のプラチナ道はここまでです! ロイドさんありがとうございます!」


「ういーっす! んじゃまたー!」




そうして配信を終わらせた後、俺は話があると言われていたのでゆきはさんのディスボのチャンネルに入った。

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