表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
196/203

【菅谷莉乃愛視点】女子会

「それでは本日の会議を始める」




お誕生日席に座る華蓮がそう言った。




「うむ。これは由々しき事態だ」




私がそう言うと、向かい席に座った雪菜が、




「そ、そうなの?」




と「え?」みたいな感じで聞いた。




「うむ! 見たまえこのコメント欄を!」




華蓮はそう言うと、見ていたノートパソコンをこちらに向けた。


そこには先日公開した幼馴染チャンネルの動画が開かれている。




一回目の再生数が多かったからか、二回目はあっという間に再生数が増えた。


前回と同じように、調理や出来上がりや、私や雪菜へのコメントも多いのだが、今回は群を抜いて『付き合ってる?』的なコメントが多い。




「あ、うん。私も見たよ?」


「これが本日の議題である」




わたしがそう言うと雪菜はきょとんとした。


すると華蓮が、




「と言う茶番は終わりでー、今日は3人で相談しようと思ってね!」


「そうそう!」


「う、うん? 動画回してるとか?」


「今日は撮ってないよー!」


「さっきのは一体…」


「え、華蓮がなんかやりだしたから合わせただけー」




わたしがそういうと雪菜は驚いた表情をした後に、




「打合せなしであれってすごいね(笑)」




と笑いながら言った。




「そうかなー? わたしと華蓮ずっとこんな感じだからなぁ」


「お互い意味不明だと思いながらしゃべってる時すらあるもんねー」


「二人は中学から一緒だもんね。いいなぁ」


「まぁ長さはそれほど重要じゃないけどねー! 雪菜だってもう大事な友達だよ?」


「う、うん! そうだね!」


「それでね、今日、華蓮にお願いして3人の時間を合わせてもらったのは本当に話したいことがあるの」


「うん?」


「雪菜、あっくんの事どう思ってる?」




私が雪菜にそう聞くと、「うっ」みたいな表情をして雪菜は下を向いた。



今回の料理対決動画を公開し、必要以上の『付き合ってる?』系コメントを見て、このままうやむやにすると盛り上がってしまいそうだなと思った。


かといって、お互い勝手に動いて今後わたしか雪菜とあっくんが付き合うなんてことになったら今の微妙なバランスもどうなるかわからない。


あっくんがそう言うことに興味があるとは微塵も思わないけど、もしどっちかがアプローチしてあっくんが断っても、崩れる。




わたしはあっくんのことが好きだ。


ただ、その好きがどういう好きなのかわからない。


頼りになるし、いつも助けてくれるし、優しいし、格好いいし。



でもきっと雪菜もあっくんのことが好きだ。


見てれば分かる。


あっくんだけ別枠にいるもん。


それは多分わたしもそうなんだけどね。




わたしは考えた。


わたしは出来れば今の皆とずっと一緒にいたい。


あっくんはもちろん特別だが、華蓮や雪菜や直人だって大切な仲間だ。


そして華蓮に相談した。



はっきりさせようって。


曖昧にしておいても、きっと誰かが気持ちを押しとどめないといけなくなっていつか壊れるって。




華蓮も納得してくれて、今日わたしと雪菜のスケジュールを調整してくれて、会議室をとってくれた。


会議室でこんな話するのもどうなんだって感じだけどね(笑)




「わたしは好きだよあっくん」




わたしがそう言うと雪菜は「え?」と言う感じで顔をあげた。


続けてわたしが、




「わたしね、考えたの。あっくんはああいうやつだから、微塵もそう言うこと興味ないと思うけど、わたし達は違うじゃん? それなりには興味はある」


「そ、そうだね…」


「それでね、もしこのままうやむやにして進めると、誰かがちょっとした瞬間に気持ちを押しとどめる必要が出ちゃって、きっといつか壊れちゃう気がするの。わたし、それが嫌だなって。できればずっと皆と一緒にいたいなって」


「うん…」


「だからね、雪菜の気持ちが知りたいなって。それでどうするか話さない?」




わたしがそう言うと雪菜は再び下を向いた。


後はこれで雪菜が気持ちを話してくれれば私達は前に進むし、隠したらきっと遠くないうちに壊れる。


でも、これを長く続けた後に壊れたら多分修復なんてできない。


今、話し合っておきたい。




「あたしもね、りのあからその話聞いて、そうかもなって思ったんだ。思ってることを隠すって長くは続かないから。雪菜がバーチャルは始めた理由もあたしは聞いてるからさ、そう言うのが嫌だからバーチャルで始めたんじゃないの?」




華蓮はそう言った後にさらに続けた。




「あたしは、RinoもYukiも日向ゆきはもアークも全員の担当だからさ、出来ればずっと皆で楽しくやりたいなって思って、雪菜教えて?」




すると雪菜は顔をあげて、




「わ、私も湯月くんが…好き…」




そういうと顔を真っ赤にした。




「だよね! 雪菜これどうする?!」


「ど、どうしようか?」




わたしが「うーん!」って腕を組みながら考え、雪菜も考えている感じだ。


そして暫くして、




「あはは!」

「ふふふ!」




二人で笑った。




「なんかさー、考えてもさー、あっくんどうせ私達の事そういう風に見てないじゃん?」


「そうなんだよね(笑) 絶対、普通に話せる数少ない女子ぐらいにしか思ってないんだよね」


「ほんそれ! あいつー! わたしこれでも結構モテるんだけどなー!!!」


「私もそれなりにモテて来たんだけどな…」


「あっくん絶対一生結婚する気ないよ?」


「なんならパソコンと結婚するとか言いそうだよね(笑)」


「ほんそれ!!!!」


「でも、なんか二人に相談できてよかったかも…なんかすごくすっきりした」


「いやーわたしも、雪菜も好きなんだろうなーって思うとなんかもやもやしちゃって…」


「私も…なんならりのあちゃんが羨ましいなって思ったり…」


「それ、わたしもなんだけどー!!!!」


「そ、そうなの?」


「えー? だって雪菜は凄い長い時間あっくんと一緒にゲームできるじゃん?」


「そ、そうだけど。私は、りのあちゃんは堂々と湯月くんと一緒に動画撮れていいなって…」


「あーねー」


「「ふふふ」」




二人で同じだったんだなと思って少し笑うと雪菜が、




「ないものねだりだね(笑)」


「他人の物は美味しそうに見えるってやつだね!」


「隣の芝は青く見えるかな??」


「そんな雰囲気!」


「あはは」


「まぁでも、やっぱり話せて良かった!」


「うん、確かに。なんかこういうのが続くと本当に壊れちゃいそう」


「うん、だからこれからの事なんだけどさ…」




そうしてわたしは雪菜と華蓮と3人でそのまま3時間ほど会議室で女子トークをした。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ