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【中里雪菜視点】言えない事になって欲しくない

「ありがとうございましたー」


「ゆきはさん、もう大丈夫だけど、ゆきはさんは人気あるしYukiは美人だし、今後も何かあるかもしれないから、少しでも気になることがあったら必ず教えてね?」




太田さんが後部座席の窓を開けてそう言った。




「はい、わかりました!」


「それじゃあ明日配信よろしくね!」


「はい!」




そう私が返事をすると、太田さんは窓から手を振って車は発信した。




「ただいまー」


「おねーちゃんおかえりー!!!! どうだった?!?!」


「あ、うん、お母さんとかにも一緒に話すから、少しだけ待ってて? とりあえず解決はしたから」


「おっけー! リビングで待ってる!」




私は部屋に戻り鞄を置いた。


今日は家族にどうなったかを報告する為、配信は明日からにしてもらった。


とりあえずよかった…。




私はリビングに行くと、お父さんも帰ってきていて全員が座って待っていた。




「雪菜大丈夫なのか?」


「あ、うん、えっとね、事務所のプログラム得意な人と情報処理で有名な大学教授が防犯カメラの映像から、犯人を特定してくれたみたいなの」


「そんな高度な…」


「絶対それアークさんだーー!」


「それでね、その犯人の動きから街中の防犯カメラの映像を追っていって、最終的にLimeのアカウントまで判別したみたい…」


「なんだか刑事ドラマで見るサイバー警察みたいねぇ…」


「それで…」




私はそのままどうなったかを話し、どういう決着になったか話した。




「うーん……お父さん的には警察に出してほしい」


「うん、その気持ちもわかるんだけどね…。ただ、バーチャル配信者のファンがみんなそんなんだって思われたくないの。バーチャル配信者のファンだってことが言えない事になって欲しくないの」


「うーむ……」


「でも何もしないのは怖いからって、弁護士さんがご家族と結構厳しめの契約をすると言っていたから」


「そうか…」


「その人のご家族が来るまでは探偵事務所にも監視してもらってるみたいだし」


「んー……」




お父さんはやっぱり自分の娘のことだから、完全には腑に落ちないようだ。




「いいじゃん! おねーちゃんだって成人なんだし、おねーちゃんのことだからおねーちゃんが決めればいいよ!!!」


「そ、そっか…」


「そうねぇ。いつまでも子どもってわけじゃないからねぇ。それに今回は事務所さんも全面的にサポートしてくれてるわけだし。ね? あなた」


「う、うむ…」


「いやー、良かったね、おねーちゃん! あ、てか、警備員がいなくなったってことは外に出れるの?」


「あ、うん。警戒体制は終わりだって」


「いえーい! なんか自分の家じゃないみたいだったんだよねー(笑) おねーちゃん今日配信やるの?」


「今日はお休み。明日からにしてもらった」


「え! じゃあ皆で久しぶりにご飯食べに行こうよ!」


「あ、うん、いいよ? あ! そしたら皆に迷惑かけたから今日は私がご馳走するね!」


「イエーイ!!!」


「まぁわかった。皆で食べに行こうか。ご飯代ぐらい出すから心配するな」


「でもおねーちゃんの方が稼いでるよ?」


「それを言うな…しかももう多分追いつけない…サラリーマンで追いつけるわけがない……」


「あら? あなたいよいよ家を出ていく時かしら?」


「勘弁してくれ……」





うなだれるお父さんを見て皆で笑った。


太田さんと華蓮ちゃんに家族とご飯を食べに行くことを一応伝えたら、ご迷惑をおかけしたからと、超高級な焼肉店を予約してくれた。


後で清算するから領収書をもらってきてくれとのことだった。



結局、事務所からこれからもよろしくお願いしますということらしいとい伝え、皆と一緒に西麻布まで行った。


それはもう本当に高級だった…。


お父さんメニュー表見て引いてたもん……。


もちろん美味しかったけどね…。


彩春は「こんなチャンスなかなかない!」と言って、茜ちゃんに自慢する動画を撮影してたし…。


我が家はもう、動画を中心に動いていると言っても過言じゃないな…。




そうして皆で高級な焼肉を食べて家に帰った。


やっぱりなんかあるんじゃないかって少し身構えちゃうけど、特に何もなく行って帰ってこれた。





そして次の日、午前中にエンゲージとVゲージ連名で、一連の問題に対して解決のめどが経った旨のプレスリリースが発表された。


それに併せて、私は今日の正午から配信を再開する為のリマインダーを設置した。




そして、




「こんゆきー! 皆さん少しお久しぶりです! 事務所の方からの発表もあったかと思いますが、今日からまた復活します!! よろしくね!」




『大丈夫なの?』

『警察動いたの?』

『民事?』




「えーっと、詳細は事務所の方しか知らないので何とも言えないんですが、とりあえずもう大丈夫です! 皆さんご心配おかけしました…」




『大丈夫ならいいけど…』

『あまりにも早くてびっくりした』

『おかえり!』




「今日からはまたこれまで通り活動していきますので、皆さんよろしくお願いします! そしてー! ご心配をおかけした皆様へ重大なお知らせもあります! なんと! 日向ゆきは1周年を記念した、私初の記念ボイスが来週から発売されます!!!!!!」




『mjk』

『買う』

『きたー-!!!!!!!』




「もう、録音は相当恥ずかしかったですが、頑張りましたので、皆さん是非聞いてみてください! 概要欄に記載しましたVゲージの公式サイトで発売されますので、是非そちらもご覧ください」




『了解』

『了解』

『了解』




「さて、それでは、久しぶりに落ち着いてOPEXのランクでもやろうかなと思います! が、この配信枠はタイトル含めお知らせ枠になってるので、一応枠変えますね」




『すぐ行く』

『不定期中OPEXやった?』

『枠変えた方がいいね』




「やりましたよー! 少しだけポイントも盛りました! では、一旦この枠は閉じて、新しい配信枠作りますんで、皆さんそちらでお会いしましょう! とぅ!」




私はエンディングを流し配信をいったん終わり、今度はOPEX配信のサムネイルで再度配信を開始した。



そして特に荒れることもなく、途中まりんさんやロイドさんやリンカさんがおかえりコメントをしに来たりもしてくれて、すごく盛り上がった。




「ふぅ。久しぶりになんかこうやって落ち着いてやれた気がします! 今日の配信はここまでにしますね! 明日はメインクラフトやろうかなと思ってますので、もしよければ見てください! それじゃまたね! とぅ!!」




私はそう言ってエンディングを流し、配信を終了した。



今日は結構早い時間から配信を始めたから、まだ夕方だ。


明日は夜にまりんさん達とコラボの予定もいれてもらったし、日中と夜の二回配信かなぁ。


視聴者さんに心配かけちゃったしそれぐらい頑張ろう。



今日はどうしようか?



私はイヤホンを外して、「んー」と背もたれに寄りかかって考えた。




そうだ。




湯月くん、今回も色々助けてくれたし何かお礼がしたいな。



でも、物とかいらないだろうし…。


んー…。


ダメだ。湯月くんが欲しい物や嬉しいことを考えても、結局全部パソコンかプログラムだ。



困ったな。




あ!


湯月くん、いつもご飯もお風呂も睡眠も全部適当だってりのあちゃんが言ってたし、明日お弁当でも作って持って行こうかな???



それがいいかも!


唐揚げも美味しいって言ってくれてたし!




よーし!


そうと決まれば準備しなきゃ!


うちはもう誰もお弁当を持って行ってないから、お弁当用の物なんてないだろうし!




私はそう思ってパソコンで調べつつ、何を作ろうか考え出した。


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