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待つしかない

翌日いつも通りに朝起きてリビングに行くと莉乃愛が朝食を食べていた。




「あっくんぐんもー! 今日は研究室行く?」


「あ、うん」


「えっとねー、1時間後ぐらいにエンゲージの人が迎えに来てくれることになってるから一緒に行こー」


「了解」




俺はコーヒーを淹れて、一旦部屋に戻る。


外に出る準備をしてコーヒーを飲みながらネットを見ていると、部屋のドアが開いた。




「あっくんいくよー!」


「あ、うん」




そしてエンゲージの送迎車に乗り込み、俺と莉乃愛は事務所に向かった。


そして莉乃愛は今日はモデルの撮影があるということで、凜香さんの所に行き、俺は研究室に行く。



いつも通り、自分のデスクに座りパソコンを起動してプログラムを始めた。


そのまま昼過ぎまでプログラムをやっていると直人が入ってきた。




「今日は来たんだな」


「あ、うん。昨日は起きたらもう昼前だったから。そっか直人夏休みか」


「あぁ。まじで夏休み期間でよかった。俺が思っていた大学生の夏休みとは全然違うんだけどなぁ!」


「もう大学諦めればいいのに」


「俺はまだ諦めてねーぞ! てか、昨日探偵事務所から今日明日には特定できそうだって報告があった」


「流石だね」


「海行きてーなー。海ってか水着女子行きてーなー」


「水着女子に行くってなんだよ…」


「てかりのあちゃん達と…電話か。弁護士か」




直人はそういうと電話に出た。




「はい、八代です。はい。えー!! 本当ですか!! え、はい?」


「いや、それまずいかも!!! 今日ボイトレ行くって言ってた!」


「ちょ探偵さんに止めさせられません?! あーもう! 了解です! こっちで対応します!」




直人は電話を切ると、スマホを操作して再び電話をかけだした。




「………あ、太田さん!!!! 今どこすか?! まだゆきはさん会ってませんか?! ゆきはさん外に出さないで! 今探偵から報告あって特定したみたいなんですけど、対象者が今電車に乗って中野方面に向かってるって!!!」


「はい! すぐこっちで対応考えるんで、絶対ゆきはさん外に出さないで!」




そういうと直人は電話を切った。




「や、やばそうだね…」


「とりあえず未然に防げたがどうするか…」


「三津屋先生いけないの? 特定したなら」


「とりあえず聞いてみるわ」




そう言うと直人は再び電話をかけた。




「あ、すいません。一応マネージャーに連絡ついて、ゆきはさんを外に出さないようにしてもらったんですが、これなんか対応できないですかね?」


「はい。わかりました。ではお願いします」




直人はスマホを降ろしてソファに座ると、




「探偵事務所に連絡して、抑えてる情報類が出せるようであれば、今から行って対象者と交渉するとのことだ」


「そっか…」


「後は弁護士に任せるしかねーな」


「そうだね…」




待つしかない。


それしかできない今の状況に俺達は沈黙した。




すると研究室のドアが勢いよく開いた。




「ただいまー!!!! って直人もいたのか」


「あっくんおーっす!」


「あ、りのあに華蓮さんもお疲れ様」


「何? も、もしかして雪菜になにかあった?!?!」




莉乃愛はなんとなくの空気を感じ取って、俺の前に来ると俺の肩をガクガクしながらそう言った。




「な…な、何もないよ…。雪菜さんは無事…」


「よかったー!!! ってか紛らわしい雰囲気出さないでよ!」


「ご、ごめん…」




俺と莉乃愛がそう話していると直人が、




「探偵が特定したらしい」


「まじ?!」


「うん。なんだけど、探偵から今中野方面に対象者が向かってるけど大丈夫かって連絡が来て」


「え、雪菜の家の方じゃん」


「そう。だから急遽太田さんに連絡してゆきはさんを外に出さないようにしてもらったところ」


「雪菜今日ボイトレ行くことなってたからなぁ! あぶな!」


「そう。それで今弁護士と探偵が、交渉できるか相談してて、行けそうならそのまま本人に交渉するって言われていて、俺等待ちなんだわ」


「あーねー! そしたら待とっかー! 華蓮、事務所にお菓子とかないのー?」


「んー…あ! あるよ! 持ってくるねー!」




そう言うと華蓮さんは研究室を出ていき、莉乃愛は直人の向かいのソファに座った。


そして暫くすると、お菓子を持った華蓮さんが帰ってきて、研究室にあるコーヒーを淹れたりしだした。




「り、りのあちゃんはいつも通りだね…」


「えー? 待つしかないなら待つしかないじゃん?」


「いや、でも何かできることないか…とかさ?」


「あったらやってるしー! ないから待ってるしー!」


「そうそう! とりあえず太田さんに連絡したら、今ゆきはの家の近くで弁護士さん待ってるらしいし、もうこれはお任せするしかないあるよー」




そう言いながらお菓子を食べる莉乃愛と華蓮さん。


まぁそうなんだけどね…。


俺等が出てったところで何らいいことは起こらないんだけどね。




でも、莉乃愛と華蓮さんを見ていたら、なんか考えてもしょうがないことに悩むのがばからしくなってきた。


直人も同じようで、次第に莉乃愛と華蓮さんのテンションに引っ張られるように話し出した。




「ねーりのあちゃん、落ち着いたら海行かない?」


「暇ない!」


「えー!」


「後多分華蓮は来れない!」


「そだねー! 今めちゃくちゃ忙しいからなぁ」


「華蓮が行かないならわたしも行かない!」


「まぁ俺も海に行けるような暇ないんだけどさぁ…」


「てか直人、落ち着く日なんて来ると思ってるの?」


「…来てくれよ…頼むから……」




直人がそうやってうなだれて皆で笑った。


その後も2時間ほど4人で話してると、直人の電話が鳴った。




「あ、はい。はい。本当ですか! 流石です! はい、はい。了解です! お待ちしてます!」




直人はそう言ってスマホを話すと、




「対象者と交渉できたらしい。どういう決着になったか共有したいから、これから事務所来るって」


「まじ?!」


「よかったー!!!!」




莉乃愛と華蓮さんは二人で手を合わせて喜んでいる。




「とりあえず太田さんに連絡して、ゆきはさんも連れてきてもらうか」


「あ、あたしから連絡しておくー!!!」




そういうと華蓮さんはスマホで連絡して、太田さんはゆきはさんを連れて事務所に戻ってくることになった。



そして俺達は、三津屋先生に結果を聞く為、全員で会議室に向かった。

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