表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
187/203

たった一人

次の日起きるともう昼前だった。


昨日少しパソコンで調べた後、自分の部屋のベッドに横になると急激に眠くなり、そのまま寝てしまった。



俺はゆっくり起き上がると、リビングにコーヒーを取りに行く。


するとソファでテレビを見ている母さんが、




「りのあはもう行っちゃったわよ?」


「え、あ、うん、そっか…」


「あんた、外出禁止なんでしょ? 家で大人しくしてなさい」


「あ、うん…」




俺はコーヒーを淹れると部屋に戻った。


そうか。


俺も一応外出禁止中なのか。


基本外に出ないからあまり実感ないけど、ふらっと研究室に行くってのもダメなんだろう。


わざわざこのタイミングで迎えに来てもらうのもあれだから、今日は家でやろうかな…。




俺はそう思いパソコンを起動して、リモートで研究室のパソコンを立ち上げて、今回斎藤教授が担当した部分のソースコードを再び読みだした。




そう言えば、雪菜さんの件どうなったかな。


流石にまだ見つかってないかな…。




あぁ、斎藤教授流石だな。



なるほどなるほど。


この部分は今作ってるアプリケーションにも転用できるかも…。












「うおっ!」




急にデスクトップにスケジューラーが立ち上がった。


そうだ…忘れてた。


最近家でがっつりやることがなくなったから忘れてたが、晩御飯の時間をスケジューラーに設定しているんだった。


てかもうそんな時間か…。




俺は一息つくとキリの良いところでエディタを閉じた。




リビングに行くと母さんが晩御飯の準備をしていた。




「りのあはまだよー?」


「あ、うん」


「新、先食べる?」


「そうしようかな」




そうして母さんが出してくれた晩御飯を食べて、部屋に戻った。



折角だしアークで配信でもしようかな。


最近本当に配信頻度減っちゃってるし。


やれる時にやっておかないと。




俺はそう思い配信準備をしてOPEXを起動した。




「皆さんこんばんわー。アークです。今日はいつも通りOPEXのランク配信やりたいと思いまーす」




『アーク大丈夫なのか?』

『ゆきはちゃん大丈夫か?』

『やばいことなってんじゃん』





「ゆきはさんの件は事務所の方にお任せしているので俺は分からないんですよねー。あ、でもゆきはさんは無事ですし元気みたいですよ」




『それならいいが』

『Rinoとかも大丈夫なんか?』

『OPEXやってる場合?!』




「まぁ俺にはOPEXぐらいしかないですからー。とりあえずランク行きますねー。デスト帯遠いなぁ」




『いつも通りのアークで草』

『飛行使ってよ』

『大会解説良かったぞ』




「えー、んじゃ飛行使いましょうか今日は。俺もそこまで慣れてるってわけじゃないですけど、まぁ今のランクなら何とかなるかな…」




俺はそういうとロビーで、飛行を選択してランクマッチを開始した。




そしてパーティーがマッチしたので、キャラピック画面に移動した。


俺が一番最初のピックだったのでそのまま飛行をピックした。



てか、他の二人デュオかな?


ゲームVCなんて珍しい。




ゲーム音に交じりながら2人の話し声が聞こえる。




「え、これ本物?」


「え、誰?」


「Ark0620ってあのアークさん?」


「有名な人なん?」


「めちゃ有名だし、この前の大会で解説してたし」


「まじ」


「え、配信中? 俺チャンネル登録してるから見てくるわ」




ゲーム画面はそのまま降下画面へと切り替わる。




「配信中ですー。映っちゃっても大丈夫ですかねぇ。もう映っちゃってるんですけどね」




俺はゲームのVCをつけずにそのまま配信だけでそう話した。


そして降下してアイテムを漁っていると、どうも俺の配信を見たのか、




「やばいやばいやばい!! 本物や! 配信してる!」


「まじ????」


「まじ!! やばい手震えてきた!!!! アークOPEXで検索してみ!!」


「……やばいやばい! 俺映ってる!!!!」




「映っちゃってますが大丈夫ですかねー。よろしくお願いしまーす」




「やばいやばいやばい! どうする! え、どうする?!?!」


「やばいって! 8000人見てんだけどwwww」


「いや無理すぎるwww」




「大丈夫ですよー。いつも通りいきましょー。とりあえず次はこっちですかねー」




俺はそう言ってゲームで移動場所にピンを指した。




「アークさんについて行こう! やばい手の震えが止まらん!!!!」


「まって、え、待って!」




『ガチファンきた』

『限界化してるな』

『アークも有名になったな』




そうしてそのまま試合が進み、中盤辺りで周辺の動き待ちの時間になった。




「やばい! まじで勝ちたい!!」


「いや、でも、俺震えてんだけどずっと…」



「いやいや、お2人ともよかったですよー。あ、ここら辺でSSでも撮っときますか?」




恐らく俺の配信を開きながらゲームをやっているであろう二人に聞いてみると、




「ま、まじすか…」


「SNS載せてもいいんすか?」




「いいですよー」




そうして3人で家の屋根に並んでSSを撮るように止まった。


少しすると、向こう側の家の屋根からロングで狙い打たれた。




「やばいやばい! 撃たれてる!!」


「中戻ろう! SSあざす!!」




「いえいえー。じゃあ、あのロングわからせにいきますかー」




そうして俺はその人たちとロングで撃ってきたチームを壊滅させ、その直後に別のチームが来てしまい負けた。




「あざした!!!!」


「勝ちたかったぁ!!!!!!!」




「こちらこそありがとうございましたー」




そう言うとパーティーは解散され、ゲームはロビー画面に戻った。




『今日のアークはなんだか優しい』

『ファンサービス旺盛』

『俺もマッチしてぇ』




そうしてそのまま2時間ほど配信を行った。




「じゃあ今日はここで終わりまーす。ありがとうございました」




俺はそう言うと、Vゲージに所属して少ししてから準備されたエンディングを流した。


エンディングが終るのを待って、配信を終了し、イヤホンを外した。




視聴者さんって本当いい人達だよな。


一緒に盛り上がって、一緒に悔しくなって。


そうやって結構長い間一緒の時間を過ごしている


てか、ゆきはさんの視聴者さんもいい人達なのだ。



ただ、今回の事件で、きっと必要以上にまたネットや動画ユーザーに悪い印象がつくんだろうな。


本当、たった一人の行動で、ネットや動画はやっぱり良くないってなる。


ものすごく大勢いるユーザーの中のたった一人の行動で、全てが悪いってなる。


そしてこのたった一人のこの行動が、規制を強くして、どんどんできないことだらけになっていく。




本当、たった一人なんだけどな…。


なんでこうなっちゃうんだろうな……。





俺はそんなことを思いながら、アークのSNSを見たりしてその日は寝た。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ