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変わってきてる自分

莉乃愛の雪菜さんと3人で撮った幼馴染チャンネルの料理対決? 動画は公開後すぐに、幼馴染チャンネル史上最高の再生回数となった。


どうも料理と言うジャンルが良かったのと、莉乃愛の危なっかしいのが面白いのと、雪菜さんの料理している佇まいに男性ファンが喰いついたようで、動画のコメントもそう言うのが多い。


若干莉乃愛の料理の仕方に、若干の苦言を呈しているコメントもあるが…。若干ね…。


莉乃愛は、その勢いや物事をズバッと言ってしまうところや全体的に大雑把な所から、Rinoチャンネルも含めてアンチが存在しているが、もはやそんなアンチがコメントしにくくなるぐらいに女子中高生のファンが多い。


一度Rinoチャンネルの化粧品紹介動画でアンチがコメント欄でアンチコメントしたら、他の人からコメントで袋叩きにあってたもんな…。


陽キャ怖い。


もはや莉乃愛の事を好きな女の子が、怖い友達に言って、怖い人出てきちゃいそうだもん。



しかし、雪菜さんというかゆきはさんのファンも怖いし、美人のファンってみんな怖いのかな…。


だってアークのファンは、分析は好きだけど怖さはないよな…


まぁ、権利やらマナーやらそういうのうるさい人は多い感じだけど、多分皆俺と一緒でリアルでは手をあげないタイプだ。


例えば何かの犯罪があったとして、ネット上で何か盛り上がったとしても、「ではそれを法廷で証言してください」って言われたら、シーンとなって確証はないので…ってそんな感じ。


まぁネットで騒いだりもしないけど、俺も手をあげないタイプだからね……。



対して、莉乃愛のファンは「もちろん! 応援も連れていく! なんなら町中で行く!!」ぐらいの勢いだし、雪菜さんのファンは「法廷の前に俺達が裁く」ぐらいの勢いだし。




「湯月くん、この部分どう思うかね?」




俺がそんなことを思いながら研究室のパソコンでタイピングをしていると、今日はxゲージに顔を出してくれている斎藤教授が声をかけてきた。




「そうですね…。シュルート関数とかどう思いますか先生」


「んーそれもあるとは思うがここは…」




斎藤教授は、お誘いしてすぐにxゲージに所属できるようにしてくれた。


細かいところは直人の会社の事務の方に調整いただいて、現在は不定期でxゲージに顔を出してくれている。


まだ特許の売買が完了していないので、お金をどうしようか思ったのだが、直人はそんな多少の先出しは問題ないと言われた。


目下ホログラムディスプレイを作る為の基礎構築段階なので、それほど投資もないし、ハードウェアに手をかける頃にはきっと特許の売買も完了しているだろう。




「しかし、まさか湯月くんまで動画配信者だったとは時代だねー」




ひと段落したところで、斎藤教授とコーヒーを飲んでいたらそう話された。




「僕の場合は親父に言われて始めたようなもんですが…」


「お父さんも随分柔軟な考えの持ち主だよねぇ」


「どうなんでしょうかね…」


「うちも二人息子がいるんだがねぇ。下の息子が引きこもりだから、動画配信でもやればいいんだろうなぁ」


「引きこもりの種類によると思いますけどね…」


「んー? なんか前見たら、湯月くんのやってるやつと同じゲームやってるみたいだよ」


「OPEXですか。今は人気ですけど、ずっと続くかは…」


「しかも母親曰く、いつもニヤニヤしながら画面見てて気持ち悪いって」




OPEXってやりながらニヤニヤするかな…。




「そ、そうなんですね」


「まぁそんなんだから配信なんて無理なのかもしれないがねぇ。あー、でも半年ぐらい前に一時期すごい大声あげてる時期もあったって言ってたな」


「そうですか」


「なんか、ムカついてキーボードたたき割って、3針縫ったって聞いたわ。ハハハ! 我が息子ながら本当情けない」




キーボードたたき割るほど怒ることなんてある…?




「それはまたなんとも激しめですね…」


「そこまで本気でやるんなら、配信でもして自分で稼いでほしいものだ」


「あはは(苦笑)」


「さて、では続きをやろうか!」


「はい」




そして俺達はプログラムと基礎理論について考えて議論してを繰り返した。


一瞬、斎藤教授の息子さんがsaitou_kun説を思ったが、ないなと思うことにして無視した。


半年前って丁度俺が煽ってたぐらいだったからさ…。


まさかね…。




しばらく、斎藤教授と一緒に研究をしていると研究室のドアがノックされた。


返事をすると華蓮さんが入ってきた。




「あー! サイトー先生こんちわー!」


「三好君はいつも元気だねぇ」


「あはは! 元気だけが取り柄ですから!」


「うちの息子もらってくれないかねぇ」


「えー? どうしようかな?! 15番目ぐらいの候補にしておきますねー!」


「これはこれはものすごい競争率だ、ハハハ」




俺はそんな華蓮さんのすごい勢いの各種切り返しに圧倒されながらも、




「…華蓮さんどうしたの?」


「あぁ! この前相談もらったさ、ダマスカスの大会にマリンスノーの箱舟が解説兼ゲスト出演して欲しいって言われてるやつあったでしょ?」


「あぁ、うん」


「アークはまぁいいんだけど、ゆきはさんとマリンさんが厳しいじゃん?」


「だろうねぇ」


「んでね、一応まりんさんとそのマネージャーさんや太田さんとも相談したのね?」


「うん」


「そんで、まりんさんがミスリルまで、同時配信なしでgoodさんがまりんさんを無料でコーチングはどうかって」


「…なるほど」


「それでも結構特例になっちゃうから、まぁそれはアークとgoodさんが仲いいからってことで押し切る感じで…」


「うーん…ちょっと聞いてみないとわからないですね…」


「だよねぇ。まりんさん、まぁそんな簡単にあがるようなランク帯じゃないからしょうがないんだけど、ずっとダイヤで止まってて、視聴者さん達多分そろそろミスリル熱あがってきてるかもってなっててさぁ。でもアークはそんなにもうやらないでしょ?」


「そうだね…」


「だから、コーチングの代わりに出演でどうかなって」


「そうですね…一回話してみましょう…。先方と言うかgoodさんも結構時間使うことになるので…。goodさん指定なのは何かあるんですか?」


「微妙に関りがあることと、ダマスカスで一番しゃべり方が穏やか! カス! とか言わないから!」




と、華蓮さんは腕を組みながら言った。


まぁそうなんだよなぁ。


あのチームでバーチャル配信者の視聴者さんとそれなりに長く付き合えるのって、多分goodさんしかいないんだよなぁ。




「わかりました…。俺のことじゃないので、華蓮さんも打ち合わせ出てもらってもいいですかね?」


「あぁ、オッケオッケー! 決まったら教えて! 可能ならまりんさんのマネージャーさんにも参加してもらうから!」


「了解」


「んじゃよろー!」




そういうと華蓮さんはひらひら手を振りながら出ていった。


俺は今の内容を伝えるべくパソコンでディスボを立ち上げgoodさんにメッセージを送ろうとした。



待った。


なんて送ればいいんだ?


出演の代わりにまりんさんのコーチングしてくれって俺が話すの変じゃないか?


そこでいいよってなっても、まりんさんのマネージャーさんからしたら、勝手に進めんなよってなるかもしれない。


ここは予定だけもらおう。


それがいい。




あ。




俺はあることを閃いてディスボでgoodさんにメッセージを送った。




『相談もらっていた件なのですが、ゆきはさんとまりんさんのマネージャーさんがお話を聞きますと』




暫くするとメッセージが返ってきた。




『おぉ、さんきゅー! どうしたらいい? 空いてる日教えればいい?』

『アークもお世話になってるから、一度お会いしたいと貰っているのですが大丈夫ですか?』

『こっちは全然オッケー! そしたらオーナーとVゲージ行ける日いくつか後で連絡するわ!』

『了解しました』

『それとは別に今度普通に配信しようぜ』

『いいですよ』




そしてその後goodさんから日程をもらったので、華蓮さんに教えて打合せを調整した。


goodさん華蓮さん好みだって言ってたし、いいことした気がする。




そこで俺はハッとした。




なんか俺の考え方がリア充な気がする。


今までこんなこと頭の片隅にも思い浮かばなかったのに。



なんだろ。


ここ最近良くも悪くもリアルでもネットでも、なんか表舞台に出ることが多くなっていたせいか、今までなら考えもしなかったようなことが思い浮かぶ。



リアルの世界って俺が生きるところじゃないと思ってた。


気持ちとしてはプログラムの世界に浸かっていたいって気持ちではあるが、斎藤教授を呼んできたりもしたし、なんか昔の自分とはすごく変わってきてる気がする。



始まりは莉乃愛が家に転がり込んできてからか…。


いや、あげはさんにOPEXを教え出してからかな…。




まぁ昔よりは喋れる人も増えたし、結果良かったってことだろう。




俺はそう納得すると、再び資料とにらめっこしだした。

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