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メディア発表

その日は配信を終えると、なんだか非常に疲れてしまいそのまま寝てしまった。



翌朝起きると、デスクの上に、「お風呂に入ること!」と莉乃愛の字で書かれたメモが置いてあった。


確かに…。


もう3日風呂に入ってないことになる……。



すぐに久しぶりにシャワーを浴びて、久しぶりに歯磨きをした。


そしてキッチンでコーヒーを淹れて、部屋に戻った。




そしてパソコンを起動すると、深夜の4時に斎藤教授からメールが来ていた。


深夜4時って…。


メールの内容はっと…



なんでも昨日俺が送った内容を見て考えたら閃いてしまったようで、そのまま新しい理論を時間を忘れて実装したところ、実現できたので連絡したとのこと…。



……。



斎藤教授、俺と同じ人種の人だね。


その気持ち凄いわかる。


徹夜したくてしてるわけじゃないんだよ。


なんか結果的にそうなっちゃうの。




俺は斎藤教授が記載してくれたソースコードを開き読んでいく。



なるほど、なるほどなるほど……。


なるほどなぁぁぁぁ!!!!!!


流石帝工大の教授と言うことなのか、ものすごく斬新だ。


まさかこの部分で物理的な考えを取り入れるとは…。




ん? でもそうすると結局計算量増えないか?




俺はそんなことを思いながら、ソースコードを読んでいく。


その後も暫く読んだが、俺ではまだ理解できないこともあり、メールに記載されている斎藤教授が応用したと言っている公式や考え方を勉強することにした。


勉強してソースコードを読んでの繰り返し。


そしてゴールデンウィークでoffにしていたスケジューラーを再度設定し、夜ご飯を食べて配信と数日過ごした。





そして、ゴールデンウィークが明けた翌週、遂にナナイロとエンゲージから同時にプレスリリースが発表された。


現在ナナイロに所属する11名の配信者が、7月1日付でエンゲージの子会社であるVゲージに移籍すると。



これには、ネットでも大手メディアでも、老舗芸能事務所のエンゲージが関わっているとあってか、非常に注目された。




『ナナイロにホワイトナイト現る!』

『エンゲージ、新興市場へ進出!』

『新旧業界再編か!』




こんな記事がネットにあがってる。




ナナイロはそれとほぼ同時に、今回の配信者の休止に関する謝罪を発表した。


そして更に、7月放送開始予定の、兼ねてから注目されていたアイドルアニメの全てをナナイロが買い取り、アニメ放送と同時に登場キャラクターがバーチャル配信者として活動することが発表された。




『やばすぎ』

『それは楽しみすぎる』

『ナナイロ今回の件は許せんが、これは歓迎する』




これもまた非常に注目を集めた。


ちょっと想像しただけでもわかる。


上手くいったら凄そうだが、めちゃくちゃ大変そうだ。


だって、あくまでアニメのキャラクターがアニメ放送外で活動するということだ。


きっと、日常の生活音とかアニメキャラとしてあり得る範囲でしか、多分しちゃいけないんだと思う。


それに、配信で話す内容までキャラクターイメージを維持しなきゃいけないから、声だけじゃなくキャラクターに本当になり切らなくてはいけない。


ただ、本当にうまくいったら凄いだろう。


この発表をするためにナナイロも急いでいたのか。



でも、確かに、アニメキャラのバーチャル配信となると、大分商業的になるから、これまでのナナイロの方向性とは違う。


詳細は分からないけど、きっとこれが次のナナイロの方向性なんだろう。




雪菜さんにも連絡したところ、移籍に向けた衣装の打合せや、待ってくれた視聴者さんへのサプライズ含めて、目が回るように忙しくなったと言っていた。


移籍の話が決まるまでは雪菜さんが大丈夫か、ちょくちょく話していたがこれなら大丈夫かな…。




日向ゆきは含めた移籍予定の配信者は、移籍準備の為と動画配信活動は休止したままだが、SNSでの発信等は再開している。


直人の会社では、既に何名かの元ナナイロの社員の方が合流し、ナナイロの許可の元移籍予定の配信者と打合せを重ねているようだ。


どうも、全員分の新衣装を準備して、7月1日に一気に公開するようだ。


直人の会社へはメディアの取材等もきているそうだが、正直誰も受ける余裕がないからと、親父さんの会社の人に頼んで受けてもらっているそうだ。




それから暫く、俺は斎藤教授と作り上げたプログラムの斎藤教授部分の勉強と、OPEX配信を行った。


合間合間で幼馴染チャンネルの撮影なんかも行っているが、アークは今は気ままに配信しているぐらいなのでそうでもないだろうが、華蓮さんが日向ゆきはのマネジメントにも加わると言っていた。


太田さん達がマネジメントの他に事務所の準備に追われていることもあり、華蓮さんが雪菜は友達だからと手を挙げたそうだ。


華蓮さん、全部一人でやっているわけではないけど、Rinoチャンネルと幼馴染チャンネルの撮影に編集に、アークと日向ゆきはのマネジメントなんて鬼の様に忙しそうだな…。




しかし、当の本人は、撮影の時に聞いたら「なんだかお祭りみたいで楽しい!」とのことだ…。


なんだか華蓮さんだと、あの持ち前の勢いで乗り切ってしまいそうだ…。



華蓮さんが忙しいからと、莉乃愛もかなり編集の割合を増やしているようで、よくソフトの使い方の質問に来る。


ゴールデンウィーク明けからは、エンゲージが動いて今までのwiwi以外にも雑誌の撮影なんかに行っているから、莉乃愛も莉乃愛で忙しそうなんだけど…。



そして雪菜さんはというと、



「お疲れ様ですー」




と、ディスボで話したいと言われて、決めた時間にチャンネルに入ると、ゆきはさんが既にいた。




「あ、アークさんお疲れ様ですー」


「どうですか移籍の方は?」


「活動休止したばかりは前に話した通り暇でなにしたらいいのかと思ってたんですが、ゴールデンウィーク開けからは、もう新衣装やらで忙しくて…」


「そうですか。でもよかったですね!」


「はい! それで今日なんですけど、アークさんにお伝えしておきたいことがあって」


「どうされましたか?」


「実は私、モデルもやることにしました…!」


「そうなんですね!」


「直人くんにお願いして、Vゲージじゃなくてエンゲージの方でモデルの仕事斡旋してもらって、今度YukiとしてWebメディアの記事に出ることになったんです」


「おお、そうなんですね! 雪菜さん綺麗だし絶対大丈夫ですよ!」


「そ、そうだといいんですが…」


「そうすると日向ゆきはは?」


「ちょっとそこまではまだ決めてないんですが、基本的には変わらず日向ゆきはとして配信を続けていくつもりです!」


「そうですか」


「もう少し落ち着いたら、Yukiとゆきはをどうするかは考えようと思います!」


「それがいいかもしれませんね。とりあえずは、一緒の事務所に所属することになりましたし、これからもよろしくお願いします」


「はい! こちらこそ! しかも、りのあちゃんと華蓮ちゃんも同じで、直人くんが社長でなんだか卒業して結局一緒になっちゃいましたね(笑)」


「本当ですよねー。不思議なものです」


「アークさんが作り出したような気もしますけどね(笑)」


「いやいや、今回ばかりは直人の親父さんの会社がなければ無理でしたよ…」


「でも、普通この歳で、人を引き抜いて移籍までさせるなんて思いつきますかね?」


「ど、どうなんでしょうか…それしか思いつかなかったんですよ……」


「ふふふ、でもおかげで忙しいですけど楽しいです! 本当ありがとね湯月くん! 今日はそれがお伝えしたくて!」


「あ、っ、は、はい。とりあえずは7月1日に向けて準備ですね」


「はい! 少し視聴者さんにはご迷惑おかけしちゃいましたから色々準備します!」


「7月1日に丁寧に伝えてお礼を言うしかないですね」


「はい、そうですね! 楽しみにしててくださいね!」


「はい、もちろんです」


「今日はこれをお伝えしたかった感じですので、ありがとうございます!」


「いえいえ、ありがとうございます!」




そう言ってディスボを抜けた。




そして暫くすると、夏服のトレンド予想のweb記事に、Yukiとして雪菜さんが載った。


発売はまだだが、どうもwiwiにも莉乃愛と一緒に、RinoとYukiで載るらしい。


今後日向ゆきはとYukiがどうなっていくのかはわからないけど、雪菜さんなりに視聴者さんのことを考えた答えを出すんだろうな。



俺はそんなことを思いつつ、ある程度理解できてきたプログラムの内容をメールに記載して斎藤教授に連絡した。



そして今度は俺と斎藤教授作った新しい動画圧縮形式を形式を再生するためのプログラムを書き出した。



Video Streaming Jointファイル。


.vsj


インターネット上での動画再生で、視聴者をその世界へつなぐクオリティを維持させた動画ファイル形式。




これを再生してみてクオリティが維持されていたら、本当に完成と言っていいだろう。




完成出来たら次の目標は何にしようかな…。


そんなことを思いながら俺はタイピングを続けた。

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