プログラム日和
直人達が、ナナイロと交渉すると言っていた次の日、直人から連絡がきて、本人の希望次第で移籍できることが決まったらしい。
ゴールデンウィーク明けすぐに、担当の方から対象の配信者に、移籍するかどうかの確認が入ると言っていた。
どうもナナイロ側にもなんらかの事情があるのか、かなり急ぎで発表となるようだ。
とりあえずよかったのかな。
ちょっと綺麗な解決とはなっていない気はするし、今回は直人と直人の親父さんの会社に頼り切りな感じにはなってはしまったが…。
とは言え、今考えても他の方法も思いつかないし、ひとまず安心することにしよう。
中学から数えれば直人には借りしかないが、今度何かで返そう……。
と思いつつ、俺はパソコンを立ち上げた。
今日から莉乃愛は、動画投稿を予約して、華蓮さん達高校時代の女友達5人で、2泊3日で卒業旅行的なのに行くと旅行に行っていて、家にいない。
これはもうプログラムをやれということだろう。
配信者としてはどうなのかとは思うが……。少しは配信もしよう……。
そんなことを思いつつ、俺はプログラムを書き出した。
斎藤教授のレビューを見てっと………。
「………くん」
「あっくーん!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
と近くで大声がしたので、横を見ると、莉乃愛がいた。
あれ?
部屋のカーテンも閉め切っており、飲み物を取りに行くのとトイレに行く以外部屋から動かなかったからわからなかったが、どうも莉乃愛が帰ってきたようだ。
あれ?
「あっくんちょっと!」
「あ、うん」
「もしかして徹夜したでしょ!」
「え、そうなの、かな?」
「かな? じゃないよ!」
「り、りのあ、お帰り?」
「え? うん、ただいま、ってかいつから起きてるの?」
「りのあが旅行に行った日」
「はぁぁぁ?!?!?!?! 2日前だよ??????????????」
「そ、そっか…」
「えぇぇぇぇぇ! ずっと起きてたの???」
「そうなるのかな…?」
「えぇぇぇぇ?! てか早く寝なよ! ってかお風呂入ってきなよ!」
「え、いや、いま…」
今いいところと莉乃愛の方を向いて言おうとしたところで、テーブルに置いていたひじがガクッとなり、そのまま手の下にあったキーボードと一緒に大した勢いでもないのにガクガクっとなって床に手を着いた。
思いの外体は限界だったのか…?
「ほ、ほ、ほらーーーーーーー!! もうお風呂は後でいいから早く寝る!!!」
と言うと、莉乃愛は急いでしゃがんで、床に着いた俺の手を持つとベットの方へと連れて行かれ布団をかけられた。
そして頭を撫でられ、俺の記憶は途絶えた。
どれぐらい寝ていたのだろう。
起きると、カーテンが開けられていて、夕方っぽいことがわかった。
とりあえず、体を起こしトイレに向かい、リビングに向かうと、母さんが、
「あんた2徹したんだって~?」
とキッチンにいる母さんが話しかけてきた。
「そうらしい」
「とりあえず、急には食べれないだろうから、おかゆ作るからダイニングで待ってなさい」
「わかった」
母さんに出されたお茶を飲みつつ、部屋からもってきたスマホを見ると、どうも丸1日ぐらい寝ていたようだ。
いつの間にかゴールデンウィークが明けていた。
そして直人と雪菜さんから連絡が来てた。
直人からは、
『雪菜ちゃん移籍になったよ。ちなみにまりんちゃんも』
雪菜さんからは、
『日向ゆきはのまま移籍できることになりました!』
と来ていた。
とりあえず返事は後でしようと思いSNSやネットを見ていると、母さんがおかゆを持ってきてやってきた。
「ったく、なんで健康なのに病人食みたいなもの作らなくちゃいけないのよ~。あんたほどほどにしなさーい」
「うん…」
「熱いから気を付けてね」
と言うと、キッチンの方に戻りつつ、「りのあー! あらた起きたわよー!」って莉乃愛の部屋の方に向かって言った。
暫くすると、莉乃愛がリビングに来て、
「あっくん! ダメだって言ってるでしょ!」
「ご、ごめん…」
「わたしがいないからチャンス! とか思ったんでしょ!」
「え、あ、い、いや…」
「あぁー! その顔は本当に思ってた顔じゃんーーー!」
「ご、ごめん…」
「直人から新から返事がないって連絡来たよ!」
「あぁ、さっき見た…後で返事する」
「もう! もう絶対ダメだからね!! わかった???? 約束だよ!!!!」
「は、はい…」
2徹を禁止されてしまった…。
そして莉乃愛の旅行の話を聞きながらゆっくりおかゆを食べて、直人と雪菜さんに返事をして、莉乃愛が事務所から電話だということで、部屋に戻ったので、俺も部屋に戻った。
そして、スリープモードになっているパソコンを立ち上げた。
やばいじゃん。
1日も配信してないじゃん……。後でやらなきゃ……。
そしてパソコンを立ち上げ、書き途中だったプログラムを見たが、やはりあと一歩と言う感じだ。
俺の頭の中ではあと一歩なんだけど、もしかしたらすごく見当違いなことをしている気もするし…。
俺は現状の内容のプログラムを保存して、斎藤教授にメールした。
とりあえずまず配信しよう。
いい感じでプログラムに没頭できたから、プログラムをやりたい気持ちがめちゃくちゃあるけど、流石に配信をしなさ過ぎているので、俺は準備をして久しぶりにOPEXの配信をした。




