Rinoチャンネル
ダマスカスの大会の解説に実写で出演し、その後莉乃愛の動画撮影にお手伝いをした。
実写で出たことで、予定通り「声の主は誰だ」分析は一気になくなった。
本当によかった。
もし莉乃愛の状況が明るみになってしまったら、俺の視聴者さんとか分析好きだから、絶対法律的にはどうのこうの言ってくる人がでそうだもんな。
そして莉乃愛と華蓮さんと撮った莉乃愛の動画は、その後俺の部屋で編集の仕方を教えた。
莉乃愛も華蓮さんも一応パソコンは持っている。
編集ソフトの使い方を教えて、編集すると「おー! 神だ!」といつものごとく、オーバーリアクション。
いやいや、これ自分たちでやってもらうことになるんだし、そもそも皆それぐらいの編集はできるから…。
そしてLIMEで華蓮さんから編集の仕方の質問を受けたり、莉乃愛に動画の撮り方の質問を受けたりと、ここ数日まとまってプログラムができない…。
ただ、莉乃愛も華蓮さんも苦手ながら一生懸命だから放ってなんておけないんだけど。
そして5本分動画の編集が終ったタイミングで、昨日莉乃愛はRinoチャンネルを開設し動画を投稿した。
RinoのSNSでも動画チャンネルを作ったことを告知してチャンネルをリンクした。
そして今、俺が見ているパソコンの画面ではRinoチャンネルを開いている。
Rinoチャンネル 登録者数8,200人
やば…。
いくらSNSブーストがあったにせよ、いきなりもうすぐ収益化とは…。
俺1万人なんて1年ぐらいかかってるよ?!
今日はどうも持っている化粧品とメイクの動画をあげるらしい。
そして恐らく5本目で、またブーストする。
5本目は、学校のクラスで撮影した、「陽キャなクラスで韓国アイドルの音楽を流したら全員踊る説」なのだが、編集を少し手伝ったがこれが普通に面白かった。
多分放課後であろうクラスに、莉乃愛が扉の外で状況とこの後の流れを説明し、カメラを持った華蓮さんと一緒に入って急遽スマホで韓国アイドルの音楽を流す。
編集を手伝ったのですでに見ているが、皆最初「え?」みたいな感じなのだが、皆その「え?」って顔のまま普通に踊り出す。
そして莉乃愛も一緒に踊る。
いやいや。
音楽流れたらわけもわからないけどとりあえず踊るってどういうことだよ!
と言う感じで普通に面白かった。
クラスの子には動画を撮るから顔のっても大丈夫な子だけ残ってもらったらしい。
ちなみに誰もNoはなかったそうだ…。
それ自体びっくりなんだけどさ…。
そしてRinoチャンネルにはその日から毎日動画が投稿されていった。
予想通り5本目は登録者数に対して、現時点で再生数が20倍以上あり、恐らく少しバズったのだろう。
Rinoチャンネルが開設されて2週間。
毎日莉乃愛が主演で、もはや助演の華蓮さんと色々なバージョンの動画が公開されて、チャンネル登録者数は3万人を超えている。
途中から、女性動画配信者で流行りの踊りを踊ってみた動画だったり、ショート動画なんかも公開された。
もう一瞬だね。
しかも元々RinoのSNSのフォロワーは女子ばかりだったことと、莉乃愛の性格も相まって、超絶美人でスタイルもいいのに、男に一切媚びずむしろクラスの男子をバカだわーって達観して見ている感じがどうも女性の共感を呼んだようで、女性っぽいコメントも多い。
たいして男性っぽいコメントは、ウザイとかうるさいとかそういうのもチラホラあるのだが、それもう莉乃愛持ち前のスルー力で完全無視だ。
一度チャンネルの管理画面を見せてもらったが、属性分析では7割が女性で、10代と20代がほとんどになっていた。
いやすごいよ。
若い女性が若い女性の視聴者集めるって結構大変だからね。
俺はあれ以降普通に今まで通り動画配信をしていて、実写は載せていない。
「ゲームプレイ見るのに実写必要?」
って配信中に聞いたら、「別にどっちでもいい」という意見が大半だったので面倒くさいのでそのままだ。
「手元は見てみたいかも」というのももらったので、今度どこかで手元配信でもしてみようかな。
そんなことを思いながら俺は機材をもってマンションのパーティールームに向かった。
今日はいよいよ、俺が出演する動画を撮る予定だ。
俺は部屋を実写してないので大丈夫だとは思うけど、もしかしたら同じ家だってバレるかもしれないのと、流石に部屋だと狭いということで俺が出る動画は全てパーティールームで撮ることにした。
「ねーねーあっくん、サングラスとかする?」
「もう今更でしょ…」
「まぁこの前普通に出ちゃったしね!」
「それで今日はアークとRinoのチャンネルに投稿する用のご報告動画と、陰陽幼馴染チャンネル開設用のお勉強動画ね…」
「そう!」
莉乃愛と華蓮さんが相談した結果、Rinoチャンネルだけにアークが出演しているってのもなんか不思議だということで、俺の出演する動画は幼馴染チャンネルにするということらしい…。
俺のいないところでどんどん話が進み決まっていく。
そして決まったことを伝えられ、俺が微妙に方向修正する。
俺、結構考えて実写案思いついたんだけどなぁ……。
「じゃありのあ、あっくんいくよー!」
「おっけー!」
「じゃあ、3.2.1 まわった!」
「こんにちはアークです」
「ぐんもー! Rinoだよ!」
「本日は皆さんにご報告があって実写動画となります。年明け直ぐのとある俺の配信に、女性の声が入ってしまった件は皆さん覚えていらっしゃいますでしょうか?」
「あれ、わたしです!」
「実はですね、俺とRinoは3歳ぐらいの頃からの幼馴染でして、最近では俺よりも俺の母親と仲がいいんです…」
「そう! わたしお母さんが小さいときに死んでるので、本当のお母さんみたいでよく遊びに来てるんです!」
「そうなんですよ…。最初の頃は俺にも連絡もらってたんですが、ここ1年はもう母親と直接連絡取ってるんで俺もいつ来るのか知らないんです…」
「あ、でも付き合ってるわけじゃないよ? 幼馴染ってだけ!」
「それで後は配信で話していた通りで、いつもはホワイトボードかけてたんですが、その日忘れてしまって」
「それで、配信中じゃないならと思って、帰る前に挨拶でもしようかなと思ったら…」
「声が入ってしまったというわけです。Rinoがモデルだということは知っていたんですが、動画チャンネルも始めて、俺も実写を公開済みなら一緒に撮ろうと言われまして…」
「そう! なのでこれから不定期ですけどアークとRinoの陰陽幼馴染チャンネルを開設して動画を投稿していきますので、そちらももしよかったら見てください!」
「ちなみに陰陽の理由はですね、俺いつも配信では喋っていますがあれはネット限定でして、中高の6年で1人しか友達いないぐらいの陰キャだったんですよ」
「そんで、わたしが陽キャの極みだってアークが言うもんだから、陰陽でいいかということに! 陽キャかな? 普通だよ?」
「いやいや、陽キャだって」
「どういうとこが?」
「夏と言えば?」
「海!」
「陽キャでしかない。ちなみに俺の回答はエアコンががんがん効いた部屋でOPEXです」
「そんなん夏関係ないじゃん!」
「とまぁいつもこんな感じですので、皆さんもしよければご覧ください」
「よろしくね!」
「それじゃあこの動画はこれで」
「ばいばー!」
ふぅ。
予定通り終えれた…。
「結構いいと思うよ! いい感じに陰キャと陽キャ!」
華蓮さんがそう言う。
今日は陰キャな感じを出すために、俺はセットをせずにいつも通りおしゃれでも何でもないジャージ姿。
対して莉乃愛は、白いボーバリーの大きめのトレーナーに、動画に映っているかはわからないけど、下はジーンズのミニスカートで、もう陽キャ感満載なのだ。
とりあえず、後は幼馴染チャンネルに投稿する動画を撮って今日は終わりだ。




