【菅谷莉乃愛視点】ぐんもー
「ほらほら、華蓮見てよこれ!」
わたしはそう言いながら、この前のアークの実写配信の動画を華蓮に見せた。
「おー、あっくん結構イケメンに映ってるねー」
「でしょ! わたしがセットした!」
「あっくん、セットとかできなそうだもんね(笑) てか、あっくん普通に喋れてるじゃん」
「あー、それなんか帰ってきてから聞いたら、goodさん? がゲームの中で出会った人だから、あっくんというよりアークで話せたんだって」
「どゆこと?」
「わかんない!」
「まぁいっか! んじゃりのあ動画撮ろうよ!」
今日は華蓮にマンションの部屋まで来てもらって、初めて動画投稿用の動画を撮る!
「おっけー! 最初は普通に自己紹介でいいんでしょ?」
「うん! あたしが時々質問するかもしれないから答えてね!」
「難しいのはやめてよ!」
「難しい質問なんてできるわけないじゃん!」
「それもそうか(笑)」
「あ、あっくんも呼んできてよー」
「そだね! 待っててね!」
わたしはそう言うと部屋を出て、あっくんの部屋をノックした。
返事がない。
まーた、呪文やってるな!!
わたしはドアを開けて、中を見ると、黙々とタイピングするあっくんがいた。
わたしはあっくんの真横まで来て、かがんで、耳をフーっとした。
するとあっくんはビクッとしてこっちを見た。
てか真横まで来てるのに気が付かないってどういうこと…。
「あっくん! 動画手伝ってって言った!」
「あ、ご、ごめん…。もうそんな時間か…今行くよ」
そういってあっくんは席を立ち、わたしはあっくんを連れて部屋に戻った。
「か、華蓮さんいらっしゃい…」
「やっほー!」
「んじゃ基本わたしと華蓮で撮るから、あっくん映らないところで、大丈夫そうか見てて!」
「了解…」
するとあっくんはドアを閉めて、その前に立った。
「華蓮さん、カメラ使い方大丈夫?」
「うーん、なんとなく!」
「まぁやってみようよ!」
「そうそう!」
そしてわたしは部屋のローテーブルの前に座った。
「いつでもいいよー!」
「んじゃいくよー! 3.2.1 はい!」
「こんにちはー! Rinoです! これからSNSだけじゃなくて動画も投稿していこうと思うので、皆さん見てね!」
「ちょっと短すぎかなー? あっくんどう思う?」
カメラをおろした華蓮が後ろにいるあっくんに聞いた。
「短すぎもなにも、自己紹介だとしても後10倍以上必要だと思うよ…。」
「やっぱりかー! りのあどうする?」
「そうだな~」
んー…まぁ短すぎだとはわたしも思ったけどもー…。
「と、とりあえず、華蓮さんちょっと見せて」
「ん? カメラ?」
華蓮はカメラを渡し、あっくんは今撮った動画を見だした。
「えっと、華蓮さん、この位置ぐらいの方がいいかな? さっきだとちょっと近すぎるかも」
「おお! オッケー!」
「それでこの位置だと、そのゴミ箱入っちゃうから、こっちどかそう」
「わかったー!」
わたしはそういうと斜め後ろにあるごみ箱を持ってあっくんに渡した。
「とりあえず華蓮さんも少しは喋る予定なんでしょ?」
「うん! カメラマンも喋る感じで!」
「だとしても、スタートはりのあがそこそこしゃべらないと場が持たないから、もう少し今何歳でいつからwiwiに載ってるとか、どういう感じで喋っていくかってのを説明したりとかしたらいいかな」
「なる!」
「後はその話の中から、華蓮さんが質問を見つけて質問していけば成り立つかな?」
「さすがあっくん!」
「よし、華蓮やってみよう!」
「おっけー! んじゃいくよー! 3.2.1 はい!」
「こんにちはー! Rinoです! 今18歳で、2年ぐらい前かな? あれ3年かな? それぐらい前からwiwiのモデルやってます! 今年はイベントなんかも少し出て、SNSをフォローしてくれてる人もいるかと思いますが、これから動画も投稿していこうと思うのでよろしく!」
「一応前にでたイベントではRinoっぽく立ち振る舞ったんだけど、あれでずっとは無理だから、動画ではこんな感じでいつも通りな感じで喋っていくよー! Rinoをやってる時に意識してるのはやっぱり仕草なんだよねー。わたし普段の生活であんな仕草はほとんどしないから、ちょっと動画でもやるのは難しいかなって」
「いや、Rinoあんな仕草、普通誰もしないでしょ…」
「そう?」
「しないしない! ハンドバック両手で持って足くんで首傾げるなんて場面ある?」
「ないわ!(笑)」
「てかちょっとRinoっぽいポージングやってみてよ」
「こんな感じ?」
「あぁ、いいねいいね!」
「おっさんかよ(笑) 普段は割となんだろ大雑把に生きてるから、こんなのやらないよねー」
「モデル活動はまだやるの?」
そんな感じで撮影は進んだ。
んー華蓮がいてくれてよかった!
普段みたいに喋り出したら、カメラはそれほど気にならなくなったし、華蓮が質問や合いの手を入れてくれるので困らない!
そして10分弱そんなやりとりをして、
「んじゃ、これから毎日動画投稿していくからよかったら見てね!」
「あ、Rino。なんか挨拶考えないの?」
「挨拶?」
「そうそう! なんかよく動画の始まりに決まった言葉を言うじゃん!」
「あーー。考えてなかった! んー…んー…んー…あ! あれは? 時々わたしがクラスはいるときに言うやつ!」
「あぁ、ぐんもー?」
「そうそう。ぐんもー! Rinoだよ!」
「いいことあった次の日だね」
「そうそう!」
「あれ、この前のぐんもーはなんだっけ?」
「前の日の晩御飯がからあげだった!」
「ちっさ!」
「んじゃとりあえず、ぐんもーでいこう! ではみなさん! ここら辺で! ばいばー」
と言ってわたしは片手を前に出して、少し手を振った。
「いいんじゃないかな…と言うか一発撮りでよくそこまでしゃべれるね」
あっくんがそう話してきた。
わたしはそんなことより、困ったことがあった!
「てか華蓮! 挨拶のやつ言っといてよ!」
「えー? 急に思いついたんだもん!」
「めっちゃ焦ったし! しかもなんかつられて、ばいばーになっちゃったし!」
「まぁそれもいいんじゃない?」
「うん、台本ある感じじゃなくていいと思うよ」
「んじゃ次撮ろうかー!」
「おっけー!」
「え、まだ撮るの?」
「もち! 今日3本撮るよ!」
わたしはあっくんに親指を突き出して言った。
「そ、そう…」
「んじゃ華蓮、次はとりあえずメイクか!」
わたしは華蓮やクラスの子と考えたネタをスマホで見ながら言った。
「おっけー! んじゃりのあ化粧落としてきてー」
そうしてその後、あっくんに撮り方や喋りのアドバイスをもらいつつ3本動画を撮った。
明日は学校で、「陽キャのクラスで韓国アイドルの音源流したら全員踊れる説」を撮る予定だ。
そして5本撮り溜めたら、初めて動画を公開する予定!
んー、少し不安もあるけどなんか楽しみ!




