【菅谷莉乃愛視点】やってみよう!
まーた、徹夜する気だ!
アークの配信は、配信が始まるとわたしのスマホに通知が来るようになっているが、通知が来ていない。
チャンネルも確認したが、やはり配信していないようだ。
これは例のプログラムなるものに没頭して、また徹夜する気だ!!!
わたしはそう思ってスマホをもってあっくんの部屋に向かった。
そして念のためにノックをするが返事はない。
むむむー!!!!
私はドアを開けた。
「あっくん!!!!」
そう呼んだがこちらを見ない。
あ、てか今日は珍しくイヤホンをしている。
音楽でも聴いてるのかな?
暫くすると、あっくんが「グギギ…」みたいな感じでこっちを見た。
そして何やら、パソコンを指さしながら声を出しているようなジェスチャーをしている。
ん?
え?
配信してるってこと?!
わたしはとりあえず両手を合わせて謝る感じで部屋を出た。
慌ててスマホをもう一度確認するがやはり通知は来ていない…。
でもあっくんの慌て方は、多分配信とかそう言うのの感じだった。
わけわからず扉の前で悩んでいるとドアが開いてあっくんが説明してくれた。
なるほど。
自分は配信していないけど、誰かの配信に参加するってバージョンもあるのか…。
まぁでも、わたしは悪くないって言ってくれたし、徹夜しないっぽいし、それなら良き!
わたしはそう思って部屋に戻り、華蓮と電話でどうでもいい話をして眠った。
そして次の日の夜、あっくんが部屋を訪ねてきて、昨日わたしの声が配信に入ってしまっていて、ネットでアークの視聴者さん達がその声の主を分析しているということを教えてもらった。
あっくんのスマホで見たSNSの投稿には、性格は元気で明るい。みたいな感じで、特徴が記載されていた。
え?
やばくない?
あんな一言でそこまでわかるもんなの??
ネットの人って皆天才なのか!!
あっくんが色々説明してくれたけどよくわからず、わかったのはもしかしたら可能性として家に住めなくなるかもしれないということ。
それは困る!
わたしはもうここが家だと思ってるし!!
とりあえず、理由はよくわからないので、あっくんになんとかしてくれとお願いしたが一体どういうことなんだろう?
自分で言うのもなんだけど、わたしの家庭環境って結構ひどくない? それを良かれと思ってあっくんの家に住ませてくれてるのに、それがダメってどういうこと?
んーーー…全く不明だ…。
その日からちょくちょくSNSでそれを調べるようになったが、ほとぼりが冷めるどころか盛り上がってるすらある。
ゲーム配信者に優しいギャルだって(笑)
いや、まぁそうだけど?(笑)
だってあっくんは特別だし?(笑)
ゲーム配信者全員じゃないよ?(笑)
なんかそんなSNSの投稿を見ていたら面白くなってきた。
たった一言。
アークの配信に声が入っただけ。
後でその切り抜き動画見たけど、本当一瞬で良く聞こえたなと思ったぐらいだ。
たったそれだけで、なんか皆楽しそうに話題にしてる。
まぁもちろんSNSなのでいろんな意見があるのだが、わたしに都合の悪い書き込みはスルーだスルー。
そんなもの気にしていたらなんにもできなくなってしまう。
モデルだって同じようなもので、なんでwiwiで他の子よりわたしが大きく取り上げられてるのかとか、編集者と絶対なんかあるとかSNSでは書き込まれている。
むーしむーし!!
妬み嫉みは犬も喰わないっていうし!
あれ?
なんかあってるような違うような…。
まぁいっか!!
でも、声だけでこんなに盛り上げるのも面白い。
これわたしが配信したらもっと盛り上がるのかな?
いや、でも雰囲気男の人ばっかりだなこれ…。
RinoのSNSのフォロワーはほとんどが女子なんだよなぁ。
どうなんだろ…。
んーー、やってみればいいか!!!!
上手くいかなかったらやめればいいんだし、動画配信って、今は仕事にもなるし?
ほら、わたしの目指したい方向性と大体一緒じゃん!
よしやってみよう!
そうと決まれば華蓮とどんなことやるか相談しよーっと。
「ねー華蓮、わたし動画配信しようと思うんだよね!」
放課後わたしはお菓子を食べてる華蓮に話しかけた。
「おお! そうなの?? あれ? モデルは?」
「続けるよ!」
「Rinoでやるの??」
「そう!」
「RinoのSNSフォロワー多いしいいかもね! 何系やるの?」
「んー悩んでるんだよねぇ。ちょっと動画見てみたんだけどさぁ、パンチラとかああいう女を前面に出すやつはあんまりなーって」
「まぁ確かにRinoでやるとなると、ああいうのはちょっとイメージ崩れすぎるよねぇ」
「そうなのだよー。かと言って、お勉強系なんて無理じゃん?」
「逆に教えて欲しいぐらいだよね(笑)」
「あ、教えてもらう?」
「あ、いいんじゃない? なんか適当に問題集買って、解いて答え見せて、アホーみたいな?!」
「ふふふ! あってしまうかもしれないけどね!」
「あたしたちに限ってそれはないと思うけどなぁ(笑)」
「確かに(笑)」
「えーそしたらあたしカメラマンやるー!」
「いいじゃんいいじゃん! ちょいちょい登場する華蓮が人気になっちゃったりして!」
「ありよりのあり!」
「カメラとかどうするの?」
「今度あっくんと買い物行くから、その時に見に行く!」
「あっくんにやってもらえば完璧だね!」
「うん! 準備できたら教えるねー!」
「楽しみ! もうすぐ卒業だし、りのあと会えなくなるかもと思ってたから良き!」
その後、どんな動画撮ろうかと華蓮やクラスの子達と話し合い、お勉強系を時々挟みつつ、RinoのSNSは女子のフォロワーがほとんどなので、化粧品や服や美容系をとりあえずやってみようということになった。




