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【中里雪菜視点】勝てばいい

「アークとは結構長い知り合いなんですよねー?」


「はい、そうですねー! 転生前から師匠です!」


「あはは、転生前から師匠ってうけるね!」


「いやー弟子が急にいなくなったんで、俺は酒に逃げてたんですよ…」


「アニメでありがちな展開(笑)」




キル数を追いかける耐久配信だったのだが、goodさんもアークさんもうまいし優しい感じなので、「こうしたほうがいいよ~」とか「ここはこっちのほうがいいよ~」みたいな感じで普通に教えてくれた。




「あ、これラストだからゆきはさんさっき教えたみたいに、ショットガン使ってみてくださいー」


「了解です!」




私はそう言われて、前の岩陰の後ろが見える位置に移動し、言われた通りショットガンを使い倒し、チャンピオンの文字が表示された。




「ナイスでーす」


「なんか、慣れるまで大変ですね」


「まぁでも、早めに慣れておかないと、後がつらいですからねー」


「そうですねー、なので頑張ってください!」


「はい!」




その試合が終わるとアークさんが、




「goodさん急にお呼びしましたけどお時間大丈夫です?」


「ん? あぁ、こんなに経ってたのか。次ラストかなぁ。用事あるんだよね」


「おけっす!」




おお、いつの間にか2時間も経ってたのか。




『goodリア充説』

『good絶対女』

『逃げたな』




goodさんの配信も似たような感じなようで、




「ち、違うって! チーム練があんだよ!」


「んじゃ次でgoodさんラストってことなんで、ダメージ勝負でもやりますか」


「いいねー」


「それ私絶対勝てなくないですか…」


「俺らロング無しの武器1本縛りでどうですか?」


「俺は全然おっけー」


「ロングで稼げばいいのか……わかりました!」


「なんか罰ゲームあんの?」


「んーーーーなにがいいですかね」




というと、私の配信画面には様々な罰ゲーム案がコメントされた。


いや、様々じゃないな…。




『萌え声希望』

『甘えた声希望!!!!!!』

『ゆきはちゃんの萌え声!』




「えーっとゆきはさんの配信では、萌え声的なやつですね…」


「あ、俺のところもほとんどそれ…」


「えーーーーーーー! ちょっとゆきリスさん! なんか違う案ください!!」




『勝てばいいんだよ!』

『頑張って!』

『応援してる!!!!』




「勝てばいいって言われてますね…」


「そうですね(笑) まぁ、そんな大掛かりなこともできないんで、負けた人が勝った人が指定した言葉をイケボか萌え声で言うって感じにしましょうか」


「んじゃそれで行くかー」


「えーーーーー、絶対勝つ!!!」




そう言って、私達はgoodさん参戦ラストマッチに臨んだ。


そして、二人はびっくりするぐらい本気だった。


それはもう、大会かと思うほどに一気に動きが早くなった。




「ちょ、ちょっと!! 2人とも本気出しすぎ!!!!」


「あ、goodさんこっち敵いるんで来ないでくださいね」


「は? 一人で持ってくなし」


「ちょっとちょっと待って!!!!」




そして、チームで22キルして優勝するという試合になったのだが…。




「さーダメージはどうですかねー」


「どうかなー」


「2人とも本気出しすぎですって!!! さっきまでと全然違うじゃないですかーーーー」


「お、えーっと、あーーー残念ながらゆきはさんの負けですね」


「そうですね、goodさんに勝てなかったのはちょっと残念ですが…」


「うわぁぁ、ダメージ倍以上違うじゃないですかぁ…」


「それじゃあ、勝ったgoodさん、ゆきはさんに萌え声で言ってもらう言葉をお願いします」


「んーーー、そうだなーーー、「また来てね」とかどう?」


「あ、いいですね」


「本気ですかーーーーー……萌え声……ちょっと待ってくださいね、練習してきます…」




そう言って、私はミュートして、「あーあー」と言いながら練習した。


配信では、




「ゆきはさんのリスナーさん! 俺達がんばりましたよ」


「そうだ、頑張ったぞ。感謝してくれ」


「はい、頑張りました」


「これは称賛に価すると思う」


「そう思います」




とアークさんとgoodさんが話している。


くぅぅぅ…。


私は意を決してミュートを解除して戻り、




「んんんんっん! 行けます! やります! 女に二言はありません!」


「あ、では、いきますよー。ゆきはさんの「また来てね」、3、2、1」


「んんんんんっん! ん! んん!」








「またきてね♡」








「はずかしすぎるーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー」


「これは、本当我々頑張ったと思います。」


「いや、本当」


「やばいーーーーーーーーー! 今めっちゃ顔赤い気がするーーーーー」


「いやー、ゆきはさんすいませんでした。でもすごい可愛かったですよ。ね、goodさん?」


「うん、普通に可愛い、だから大丈夫!」


「はずかしいーーーーーーーーーーーーー。てか200キル耐久じゃないんですかーーー。」


「もちろん耐久です! ただ、今のはちょっとしたレクリエーションでしょうか? ほら視聴者さんも長いので、ちょっと変化があった方がいいじゃないですか!」


「それはそうかもしれませんがぁ!」


「あはは! んじゃとりあえず、俺はこれで落ちるから、ゆきはさんもまたよろしくです!」


「あ、はい! またよろしくお願いします!」




goodさんはそう言うとディスボのボイスチャンネルから抜けた。

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