お分かり…
観光回でした
もうすぐツアーも終わりだということで、最後に訪れたのはショップだった。
実際にカルティアの霊能力者が力を込めたと言われている数々の品が販売されている。
中でも人気なのは各種お守りらしく、学行、恋愛、仕事など、成功したい何かを背負う人がこぞって訪れるのだとか。
エドガーさん的にいうと「求める者」だったか。
それにしても、ルーエは魔術ではない超常現象には懐疑的なのに、お守りは買うようだ。
「……これが恋愛成就か。どうして袋の色が違うんだ? これは赤でこっちが青……何か違いがあるのだろうか……」
「ないと思うよ」
一色で並べてものっぺりしそうだし、見栄えを重視してるとかじゃないかと思う。
「女の子は赤、男の子は青を好むとか、ありそうじゃない?」
「――そうか。一見すると心臓の色である赤の方が効果が高そうに見えるが、青い炎の方が温度が高い。あの小説家の本には『愛が燃え上がる』と書いてあった……。すなわち、恋愛成就の正解は……青ッ!」
全然聞いてないわ。
青いお守りを握りしめてガッツポーズしてるよ。
「ふ、ふふ……。恐れを知らない私ではあるが、自らの慧眼だけは恐怖に値するな。よし、これを買おう。ついでに赤も買っておくとするか」
「結局、両方買うんだ。こういうのって一つだから想いもこもるような気がするけど」
「甘いなジオよ。蜜をかけた芋くらい甘い考えだ」
えぇ。良いじゃんあれ、めちゃくちゃ美味しかったし。
黒い胡麻が振りかけられてるのがお洒落だ。
「赤と青、二つの力を合わせるとどうなる?」
「……紫になる?」
「その通りだ。紫の炎が何を意味するかはわかっているか?」
「何を意味してるの?」
「……まぁ、とりあえず買ってこよう。待っていてくれ」
絶対なにも考えずに適当に言ったよな。
ちなみに、俺はタロットカードというものを購入した。
タロットカードは占いに使用する道具らしく、人の未来や悩み事についての解決策を提示してくれるらしい。
初心者には使いこなすことは難しいが、説明書が付いているので眠れない夜にでも挑戦する。
「――あ、ジオ様! 写真の現像が終わりました!」
ちょうどカードを買ったタイミングでガイドさんが戻ってくる。
彼女の手には一枚の封筒があり、おそらく中に一軒家で撮った写真が入っているのだろう。
「おお、仕事が早かったなガイドよ。お前を雇用した上司はさぞ見る目があるようだ。どれ、私にガイドの職業名を教えてくれ」
「…………はい?」
「だから、ガイドの仕事はなんというのだ? 私は魔お……ジオは冒険者だ」
肘で軽くルーエを小突く。
「……ルーエさん、たいそう感心してるところ悪いけど、この人の名前が『ガイド』なんじゃなくて、仕事がガイドなんだよ」
「…………そうなのか?」
魔族にはそういう仕事はないのか?
いつか彼女が治める国にも行って……みなくていいか。怖いし。
「えーっと……ルーエ様に喜んでもらえてなによりです! 私もまだ写真は拝見していないので、一番をどうぞ!」
「おお、すまないな。どれどれ……」
封筒を受け取ったルーエが、中から写真を撮り出す。
二人で写真を撮ったのは初めてだし、嬉しそうにしているな。
……しかし、それを見た彼女の表情が凍りつき、違和感を覚えて覗き込んだガイドさんも笑みをひきつらせた。
「ど、どうしたの……?」
ルーエの手から写真を撮り、確認してみると――。
「――まじか」
真ん中で両腕を組み、不機嫌そうだが笑みが隠しきれていないルーエ。
左隣でピースをしているおっさん……俺。
確かに、あの場には俺たちとガイドさんしかいなかったはずだ。
しかし、ルーエの右隣……そこには、満面の笑みの少年が映り込んでいた。
黒い髪の少年は、口元こそ横に引き伸ばされているが、目元からは生気を感じない。
そして、何より。
――両足が透けていたのだ。
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