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倉庫ごと異世界転移したので、何でも屋を始めます  作者:


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過労注意報、領主に直談判

「はあぁぁぁ〜……」


かおりは、机に突っ伏していた。

ぐでーん〜!完全に溶けている。

魂が抜けたスライムみたいになっている。


「……むり」


ぽつり。


朝は寮の食堂へ、まだ誰もいない時間。

なのにもう疲れている。

昨日のスケジュールを思い出す。


朝:学校準備

昼:授業

夕:夜学

夜:寮監

深夜:枕投げ鎮圧


「……戦場かここは」


教師に講師に道具開発に工場監修。

更に料理人指導にレシピ作成。

おまけに印刷所。


そして。


「寮母って何よ……」


肩書きが多すぎる。

もはや何屋なのか自分でも分からない。


「ブラック企業でもここまでやらんでしょ……」


ふらふら立ち上がり鏡を見る。


「……目、死んでる」


完全に社畜の目。


「だめだこれ」


決意して拳を握る。


「リーナに言おう!ほんと無理!このままじゃ倒れる」


領主館へ向かう足取りが重い。

いや、物理的に重いし筋肉痛。

昨日、子供三人担いで廊下走ったから。


「なんで私が消防隊みたいなことを……」


ぶつぶつ言いながら到着。


コンコン。


「失礼します……」


中にリーナは書類の山と格闘中。

相変わらず優雅。


「おはようございます、かおりさん」


「おは……よう……ございます……」


声がゾンビ。


「……?」


「どうされました?」


ゆっくり近づいてそして。


どさっ。机に突っ伏す。


「限界です」


「!?」


「もう……むり……」


「え、え?」


「寮……夜学……学校……工場……料理……印刷……」


指折り数える。


「仕事……多すぎ……」


「……」


「昨日、枕が飛んできました」


「それは大変ですね」


「しかも石みたいに固い」


「それは大変ですね!?」


「寝たの三時間です」


「それは駄目です」


ようやく真顔。


「これはブラック企業です……」


「ぶらっく……?」


「過労です……労基案件です……」


「ろうき?」


通じない。


「とにかく!人が足りません!!」


ばんっ!机叩く。


「このままだと私、先に倒れます!!」


しーん。


数秒沈黙。


リーナ、じっと見る。


「……なるほど」


こくり。


「確かに、任せすぎました」


「ほんとですよ……」


「反省しています」


「……え?」


素直?珍しい。


「では対策を」


「やった……」


希望の光。


「人員増やします?」


「はい」


「役割分担?」


「はい」


「休み作ります?」


「もちろんです」


神か?リーナ、すっと紙を取り出す。

さらさらさら……。

嫌な予感。


「では」


にこっ。


「教育部門、正式に部署化します」


「……はい?」


「かおりさんは」


やめて。


「教育顧問兼総監督で」


「増えてる!!!」


肩書き増えた!!


「違う違う違う!!」


「減らす方向ですよね!?」


「はい。現場作業は全員に振ります」


「顧問は指示だけです」


「……あ」


「授業は講師達に」


「寮管理は専属寮監を置きます」


「給食は料理長へ」


「……あれ?」


「かおりさんは」


指一本。


「“考える人”に戻ってください」


静かに言われる。


「仕組みを作る人ですから」


「現場で走り回る必要はありません」


胸にすっと落ちる言葉。


「……そっか」


いつの間にかに全部自分でやろうとしてた。

前の世界でもそうだった。

抱え込み癖。


「……私、またやってたかも」


「はい」


即答。


「顔に書いてありました」


「ひどい」


「でも、そこが好きです」


さらっと爆弾発言。


「へ!?」


「……あ、いえ、その、信頼してます、という意味で」


少し赤いリーナ。

珍しい。


「……もう」


笑う。


「ほんと無茶振り多いんだから」


「自覚はあります」


「次から事前相談!」


「はい」


「勝手に建物増やさない!」


「善処します」


絶対やる顔してる。でもさっきより、体が軽い。


「……よし」


伸び。


「じゃあ顧問として、ちゃんとサボります」


「それは駄目です」


「どっち!?」


久々に心から笑えた気がした。


こうして、かおりはついに。


【現場係 → 仕組み係】


へ、正式にジョブチェンジしたのだった。


……たぶん。


でも絶対また何か増えるんだよなぁ……

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