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対峙の朝

 もう一度だけ剣を取る許可をもらった私は、交流戦当日までの間、ケイと一緒に久し振りの鍛練をした。


 最後に剣を取ってからしばらく時間が経っていたため、最初は前の動きをイメージしても体が追いつかなかった。


 避けようとして躓いたり、剣の振りすぎで腕が震えたりして、やっぱりわがままで終わってしまうのかと思っていた。


 けど、ケイだけじゃなくカトレアさんが休憩におやつを持ってきてくれたり、他の友だちが応援しに来てくれたお陰で、何とかへこたれずに頑張れた。


 そして、徐々に前の感覚を思い出して、最終的には前よりも動きがよくなった気さえする。


 これで私もまたケイたちと一緒に戦えるんだ。


 ここまできたら、あとで後悔しないようにいい結果を残したい……。





      ☆





 ~交流戦当日の朝~


 

 対外的な行事ということもあり、早くに目が覚めてしまった私は、まだ眠っている学園をひとりで走っていた。


 暖かい日中とは異なり、朝は涼しくて運動をするにはちょうどいい。

 これからも定期的に走ってみようかな。




 しばらく走ったところで足を止め、ふと校舎の大扉に目を移した。



 視線の先には一人の女の子がいた。



 私もだけどこんな朝早くに何をしているのだろう。

 大扉の上にある紋章をじっと見つめたまま、微動だにしない。


 ちょっと気味が悪いけど声をかけてみよう。

 見知らぬ人に声をかけるなんてこと、ケイがいたら危ないじゃないかと怒られそうだけど。




「あの~……」


「……? うわあああああっ!!!!!!」


「きゃああああああっ!!!!」



 唐突に叫ばれたせいで、つられて叫んでしまった。



「ちょっとあなた、いきなり悲鳴を出すなんて失礼じゃない!!」

「ごめんなさい!まさか私の間合いに入ってくる人がいるなんて思わなくって……っ」



 女の子は悪気があったわけじゃなさそうだ。

 とりあえず私も突っかかったことを謝り、何をしていたのか聞いてみた。


 ここで突っ立っていたのは何か意味があったものでなく、親しい友だちのことを思い出していたらしい。



 不思議な子、初見の印象はこれだった。


 そういえばさっき、この子は私の間合いと言っていた。


 それにこの紺色の制服、ここの学園のものじゃない……。


 もしかしなくても、この子……!




「あなた……今日の相手ね……」

「え、てことは……あなたも!?あ~~~やっちゃた~~!!」


 

 女の子は頭を抱えて地面に膝をついた。

 さっきから悲鳴上げたり今度は後悔し始めたり、落ち着きのない子だ……。


 でも、ちょっと面白そうな子かも。名前だけでも聞いておこう。



 話しかけようとすると、後ろの方からケイが私を呼ぶ声がした。



「……っ。さっきは驚かせてごめんね。それじゃっ!」

「あっ、まっ……」




 ケイがここにたどり着く前に、女の子は逃げるように去っていった。




「誰かと一緒にいたの?」

「うん。でもすぐにどこかに行ってしまったわ……」



 あの子が今日の私と戦う相手だったかもしれない。

 そう考えると、自然に手と力が入った。




「それはそうと、ユリア…………私のいない所で、知らない人と話したね……」

「あっ……」



 このあと、ケイから30分以上も説教を受けた…………

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