好きを考えます!
今日の放課後、ユリアちゃんから相談したいことがあるって言われちゃった~♪
ユリアちゃんから相談なんて初めてだからドキドキするな~!
最近、姉ちゃんのことで力になってもらってるし、私もユリアちゃんにデキることがあれば全力で協力するつもり!
それに私とユリアちゃんはベストフレンドだからね~!
「えーっとぉ………」
待ち合わせの場所は校舎裏のフラワーガーデンで………
ここ入園の時も来てみたけど、やっぱり緑の壁が高いなー、私の倍以上ありそう。
一度どんな感じになってるのか見たくて、そしたら迷っちゃって姉ちゃんに怒られたっけ。
でも、あの時の姉ちゃん、ちょっと暑かったのもあるだろうけど、顔に汗をかいてまで私を探してくれたんだよね。あれは嬉しかったなー……
おっといけない!ユリアちゃんを待たせてるんだった!
手前から4つ目の道を曲がったところの。名前は忘れたけど紫色の花がいっぱいある………レストルーム!
そこは迷路のように入り組んだフラワーガーデンにひっそりと存在する場所。
白い柱を伝い、半球の屋根までアサリナの花が蔓を伸ばしている。
そこから見える景色は静かに湧き出る水でできた小さな池、隅では小さな蓮の葉を見ることが出来る。
レストルームには白い大理石の円卓と椅子が6席あり、小規模で集まるにはちょうど良い。
そんな場所に先客がひとり。
白い肌と白い髪、手元のティーカップに落とす碧い目には整えられた長いまつ毛が恥じらうようにそれを隠す。
学園のシンプルな見た目の白い制服さえも、まるで高級な衣装と錯覚させてしまう程の美しさ。
まさに天から舞い降りた天使のようなその少女は、リルと同じ14歳にして一国の王女であり、学園の年頃の乙女たちを虜にする才色兼備の少女騎士と婚姻関係にある。
その少女こそ――――――
「ユリアちゃん。お待たせー!」
「もー。どうせ迷ってたんでしょう」
「今日は迷ってないもん!ちょっと遠回りしただけだもん!」
・
・
・
「それでそれで、相談って?」
「うん…………」
椅子に座り本題の相談事について聞いてみた。するとユリアちゃんは頬を染めて持っていたティーカップを置いて、顔を俯かせる。
言いにくいことなのかな。体をもじもじとさせながら、池の方に視線を向けてる。
私一人をわざわざ呼んでいるから、私には言えないこととは違うはずだけど…………
それにしても、こうして顔を赤くして落ち着きがないユリアちゃんはかわいいなぁ~。
ケイちゃんが惚れるのも分かっちゃうよー。
ま、それでも私は姉ちゃんが一番だけどねー。なんちゃって♪
「あ、あのね、私……………………」
おぉ、遂に話せるかな?
私は準備オールオーケーだよ!さー、カモーン!
「私…………ケイのことが、好き………みたい……」
「………………………」
ん?ちょっと待って。ドユコト…………?
ユリアちゃんはケイちゃんと結婚するんだよね。だったら好きなのは別に何にもおかしくないし………
あれ?じゃあどうしてこんなことを私に?
あれ?前に同じような事をケイちゃんにされたって姉ちゃんに聞いたような………
ってことはこれが姉ちゃんが言ってた………
「ねぇユリアちゃん。私、ノロケバナシキカサレテル……?」
「そそそそんなぁっ!!違うわっ!!」
「えへへー、じょーだんだよ!でもどうして改まってそんなことを?」
話しを聞くと、そういう気持ちが強くなり始めたのはケイちゃんが学園を離れてからみたい。
確かに2年生の頃のユリアちゃんは最初はまだ元気があったけど、誕生日過ぎた時からすごく寂しそうだったもんね。
誕生日まで何とか寂しい気持ちを我慢してたんだろうけど、きっとあの手紙で耐えられなくなったんだろうな………
それでケイちゃんが戻ってきてから自分の本当の気持ちと恥ずかしい気持ちで悩んでる時に、ケイちゃんが追い打ちをかけるようにユリアちゃんが好きってことを伝えたんだって。
離れる前もケイちゃんのことは好きだったみたいだし、気持ちは伝えてるようだけど、前以上にケイちゃんが好きになったんだって!
すごいなー!いいなー!
離れるのはイヤだけど、私も姉ちゃんにそんな風に思われたいなー!
「2人はまさに、そーしそーあいってやつだね!」
「恥ずかしいからやめてよぉ………」
両手でほっぺた押さえて真っ赤になってる!かわいい♪
「も~2人とも早く結婚しちゃえばいいのにー!」
「ダメ……私たちの国は17歳になってからじゃないと結婚はできないの。それに学園だってあるのに………」
私たちの国は15で結婚できるけど、そういうのも国で違うんだねー……。
あと結婚のことはもう恥ずかしがらないんだ……
「ユリアちゃんはこれからどうしたいのかな?まず好きって気持ちを改めて言うとして~………」
「やっぱり言わないとダメかしら……」
「当然だよ!だって今までケイちゃんにいっぱい好きって言ってもらってるのに、ユリアちゃんが直接ケイちゃんに気持ち伝えたのって旅行に行った時だけなんでしょ?そんなのケイちゃんがかわいそうだよ!」
「っ……………!」
そうだよ。私もいつも姉ちゃんに好きって言ってるのに、姉ちゃんは妹としての私に返してくれるだけで、そういう相手としてちっとも見てくれないんだもん。
私、それが悔しくて、胸が苦しくなって…………だからケイちゃんもきっとユリアちゃんに同じように感じてるはず……!
「そうよね…………いつもケイにもらってばかりで、私は何も返せていないもの。言葉で伝えることなら私にもできる……!決めた、私、ケイにもう一度気持ちを伝えるわ!」
ユリアちゃんの元気が戻った!何とかユリアちゃんの相談に乗れたみたいでよかった~!
「ありがとうリル。いつの間にか、こういう話に関しては私がリルに教えられてしまったわね」
私何かユリアちゃんに教えるようなコト言ったかな?
ただユリアちゃんとケイちゃんがもっと仲良くなってほしいなーって思って話してただけなんだけど……。
まぁー、ユリアちゃんが笑顔になってるし、いっか!
「ユリアちゃん!応援してるぜー!」
「うん!私もリルのこと応援してるわ!お互い頑張りましょう!」
☆
「ねぇ、ユリア」
「?」
「すき……」
「なぁっっ!?!?」
――――――――――――――――
素の状態で話しかけられたかと思えばこれだ。
それはもう自然流れで、何の前触れもなく言いのける。
また授業中にも………
――――――――――――――――
「ユリアさん。ケイさんから…………」
そう言われて四つ折りにされた小さな紙を渡された。
授業中にケイから回し手紙なんて。
そんなに急を要する重要なことなのかしら…………
恐る恐る紙を開くと『私を見て』とだけ書かれていた。
……?
書かれている通りケイを見るとちょうど目が合いこっちに手を振る。
何、何を伝えたいの……?
すると先生から隠すように口元に手を添えて口を動かす。
口伝えかしら………?
私はケイの口を注視して読み取ろうとした。
えーと………
『あ』・『い』・『し』・『て』・『る』・『よ』
はぁあああああ!?!!?!?!!?
「ちょっっ!!!!」
私は動揺した勢いでその場に立った。
当然その場にいたみんなの注目が私に集まった。
「何事ですミス・ユリア。あなたともあろう方が授業中に大声を出して」
「あの違うんです!そのっ…………!」
ケイを見ると謝罪のつもりなのか、片目を閉じながら小さく舌をだしていた。
「ミス・ユリア。授業を止めた罰として本日の課題は皆さんより多めに出しておきます。よく反省するように」
「なっ!?……はい………」
そんな~~!この私が罰を受けるなんて!
これ全部アイツのせいなのに~~~~!!
――――――――――――――――
ケイはおかしなことを言って私の反応を楽しんでいる……絶対に!
このままだと私はケイのおもちゃにされたままだ……。
私だって、いつまでもやられっぱなしじゃないんだから!
見てなさいよ……ケイ!!




