エミルちゃんと朝食
エミルちゃんと城で生活を共にして2週間が過ぎたが、私はまだ慣れていない。というのも、エミルちゃんはケイへの愛情表現をどうだと自慢顔で私に見せつけてくるのだ。
しかし、ケイはそれら全てを清流の水のように何か音立てるわけでもなくすっと流す。
そしてメイドたちが見えない所で、でもエミルちゃんの前ではお構いなしに私に迫ってくる。
その度にエミルちゃんから深い嫉妬の目とゴゴゴという音が聞こえてくるような気がした……
「はいユリア、あ~ん」
「ちょっとケイ、待って……エミルちゃんが見てるから……」
「ジーーーーッ…………」
今は朝食の時間。
今日もケイはエミルちゃんの前でもマイペースだ。
「お姉ちゃん、全然食べてないじゃん。も~仕方ないな~……はい、あ~ん♪」
「ありがとうエミル、あ~ん……うん、おいしいね」
「きゃーっ!食べる姿のお姉ちゃんも絵になる~~~!!もっともーっと食べてー!」
何よ何よケイのばか!
いくら妹とはいえ、私の前なんだから少しくらい遠慮しなさいよ。
しかも昔からしていたかのように自然に……た、食べさせ合うなんて。
…………何だかムカついてきた……
私にだって、そのくらい……。
「……?ユリアどうしたの?」
「……ほら、口あけて………」
「っ……!!」
ケイは一瞬固まり、体の向きを私に側に変えた。
「………うん、いただきます……はむ……ありがとうユリア」
にこっと笑顔を見せ、私の頭を撫でた。
「じゃあ、私もお返ししないとね……」
そう言うとケイはグラスに残っていたミルクを口に含み
私の唇を指でなぞるようにして口を開かせ………
「……んっ………!」
接吻し、私の中に流し込んだ。
さっきまでケイの中にあったものがどんどん私の中に入ってくる。
突然のことで頭が真っ白になった。
この間、私にできたのは何とか鼻で呼吸をし、気管にミルクが入らないように下手に顔を動かさずただ喉にそれを流すだけだった。
エミルちゃんは持っていたフォークを落とし、目からは光が消えていた。
「…はぁっはぁっ………ケイ……」
「はあっはぁっ……ごめんユリア、さっきのユリアがあまりにも可愛すぎて…私、我慢できなかった……」
「ケイ………」
「ユリア………」
「それ以上は…ダァメェエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエ~~~~~~~~~~~~~~~~!!!!!!!!」
私たちはエミルちゃんから長いお説教を受けた。




