表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
小桜さんは義理堅い  作者: 奈瀬 朋樹
番外:プチ家出編
74/94

69話 思春期の娘

あの後、大きなバッグを持った萌香ちゃんが車から降りてから「ごめんねー、お母さん買い物忘れちゃってたから、行ってくるわ。だから萌香ちゃんを我が家に連れて帰ってね。ちゃーんと兄妹でおもてなししてねー」と母が言った後に「へい彼女、家まで送るぜ!」と、小桜さんを車に押し込め、どっかに行っちゃいました。


『兄妹でおもてなし』、つまり茶番続行の合図だ。

はてさてどうしたものか。


「うふふ、2人はどうしてこんな夜道に?」

「あー、そのー、……松葉杖で散歩?」

「1人で松葉杖は不安なので、美羽も同行しました?」


本当は目の前の小桜家に美羽ちゃんを帰す為だが、言えない訳で、てゆーか母さんもお買い物と言いつつ、行き先は目の前にある小桜家だよね? だったらココから離れないと。


「とりあえず帰ろう。あと萌香ちゃん、お泊りパーティって、本当なの?」

「うふふ、説明しますね」


それから事の経緯を聞きながら、松葉杖のゆっくり移動で小桜家(偽)に戻りました。



「たっだいまー、ちゃーんとおもてなししてる?」

「ああ、今は2人でお風呂に入ってる」

「そっかそっか、結構結構」


そう言って母が持ってきたのは、美羽ちゃんの衣類・教材一式で、どうやら小桜ご両親を説得、生活に必要なもの一式せしめてきた様だ。


「母さん、一緒に夕食はまだしも、お泊りパーティはやり過ぎでは?」

「そうだねー、私も最初は萌香ちゃんを帰す気だったし、美羽ちゃんも今日はこれくらいでいっかなーって思ったけど、萌香ちゃんの事情聞いた?」

「ああ。父親は単身赴任、母も仕事が多忙で、最近は会社泊まりで帰ってこないらしいね」


何でも先週末に母親の勤め先で新作アプリがリリースしたが、バグ祭りで同日にメンテナンス。翌日に30分だけ再開してまたメンテ、次の日は1分だけ再開してまたメンテと、今現在も不眠不休でバグ潰しを頑張っているらしい。


「ここ最近、萌香ちゃん家は誰もおらずで、ずーっと1人だったらしいの。このご時世で子供1人だなんて心配じゃない。誘拐とか」

「そうだね。実際誘拐しちゃったね。我が家が」

「失礼ね。ちゃーんと了承取りましたー。萌香ちゃんの家に着いた後、萌香ちゃんの携帯借りて『娘さんを家に連れて帰りましたので』って伝えて、その時にちょっと話して、お仕事忙しそうだからつい『もし娘さん1人で心配なら、仕事が落ち着くまで家で面倒見ましょうか?』って言ったら、是非お願いしますって返されちゃったの」


ええー、いいのかそれ?


「母親と萌香ちゃんが話す場面もあったし、今の地獄(仕事)が落ち着くまでお願いします。勿論お礼もしますって、すっごいお疲れボイスでお願いされちゃったら、断れないじゃない」


よく分からないが、仕事と家庭の両立は難しいらしい。


「それで小桜家まで巻き込んだと?」

「まーねー、ちょーっとだけ我が家で預かって、色々教えてあげたいってお願いしたの。美羽ちゃんが友達を呼ばない理由を伝えてね。だからもう暫く、我が家は小桜家でーす。もうすぐ帰ってくるお父さんにもメールで説明済みだから。ゆぅちゃんも、しっかりお兄ちゃんやってねー」


「はぁ、分かったよ。今更反対しても無駄だしね。……あと、小桜さんにも説明した?」

「美夜ちゃん? モチのロンよー」

「美夜ちゃんって、ちゃん付けする年じゃないだろ?」

「そうね。だけどお母さんは、あえて子供扱いした方がいいと思ってね」

「何だそれ?」

「それに、思わぬ副産物もアリそうだから、しっかりやらなきゃねー」

「おい、何を企んでる?」

「ふっふーん。つまりゆぅちゃんは暫く、鈍感主人公でいいって事よー」


うわぁ、絶対馬鹿にしてるよこれ。だけど情報がなさ過ぎる訳で、とりあえず明日、小桜さんと話してみよう。妹の外泊は心配だろうからね。




「うふふ、いいお湯でした」

「あぁ、それは何よ…」


そこには白いキャミソールとパンツだけの萌香ちゃんがいて、思わず声を失ってしまった。


「あらあら萌香ちゃん、パジャマは?」

「うふふ、これで寝るのが私の流儀」

「駄目よー、寝る時は温かくしなきゃ。パジャマがないなら、ゆぅちゃんのシャツを着て頂戴」


そう母に諭され、萌香ちゃんがタンスの前に移動すると、遅れて美羽ちゃんがやってくる。


「うー、萌香ちゃんは早風呂です。はしたないです」

「まぁ、委縮するよりはいいと思うよ?」

「……………お兄ちゃん?」(ジト目)

「落ち着け妹よ。変にドギマギでして取り乱す方が残念だろ?」

「……………そうですね」


それに昨今の小学生は発育がイイと聞くが、残念ながら2人は標準かそれ以下なので、興奮する要素は皆無だ。だがそれを露骨に伝えるのは無神経なので、努めて冷静に、優しいお兄さんと思われる様な振る舞いをすれば…、


「うふふ、似合います?」

「いや、それって俺のワイシャツだよね?」

「うふふ、やってみたかったので」

「かあさーん?」

「明日洗濯するし、別にいいでしょ?」

「いや、確かにそうかもしれないけど」


下着幼女が俺のブカブカワイシャツを着用している。色気はないけど、よく分からん背徳感があるな。それに洗濯するとはいえ、今後それ着て学校行くんですけど?


「ズルいです萌香ちゃん! 私も着たいです!!」

「うふふ、早い者勝ち」

「じゃあ美羽ちゃんは、親父のワイシャツを」



「そっちは何か臭そうなのでイイです」



ガタン


振り向いたら、仕事から帰ってきた我が家の大黒柱が、orzポーズで項垂れていました。


おやじーーーーーーーーーーーーーーーーーー!?!?


その後、美羽ちゃんが全力で謝り、肩を揉んだりして、機嫌を取り戻してくれました。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ