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【連載版】私は脅迫されております!  作者: 頼爾@11/29「軍人王女の武器商人」発売


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いつもお読みいただきありがとうございます!

評価やブクマ、いいね励みになります!

「なぁユージーン。なんでバートラム嬢にアプローチしないんだ?」


王子であるケネスから至極不思議そうに問われて、ユージーンは変な声を出しそうになった。


「どういう……意味ですか?」


「いや、彼女が気になるから生徒会に推薦したんだろう? なのに全然二人で話さないし、アプローチしている風もない。心配するだろう、友として」


後ろでウンウンと頷いているアーロンがウザい。王子は王子で「友として」と暑苦しい。


「せっかく近くでアプローチできるんだ。彼女がいくら借金まみれの伯爵令嬢といっても賢い令嬢をおたんこなすの息子にって考える親もいるはずだ。横から攫われないようにしないとな」


「おたんこなす」って言いたかっただけじゃないのか、この人。


「それはきちんと対処しています……殿下の婚約者はどうされるんですか?」


彼女を狙う家がないかどうかは情報を集めている。


「あぁ、バートラム嬢が本音を言ってくれたしな。仕事も頑張りながらアプローチしてみようと思う!」


アーロン、後ろでヒューヒューやるな。お前、殿下の意中の相手が誰か分かってるのか。


***


「目安箱に入っていた意見書及び要望書を読み上げます。『語学のキンバリー先生と保健室のマクドネア先生が不倫している』」


「は?」

「え?」

「まぁ」

「そうなのか?」

「…………」

「マジかぁ」


さまざまな反応。読み上げた眼鏡令息(ごめん、まだ名前覚えてなくって)は「これしか書いてありません」と申し訳なさそうに付け足す。君が悪いわけじゃないよ、うん。


「目安箱、機能してなくねぇっむぐ」


アーロン様が言ってはいけないことを口にしかけたが、ユージーン様が素早く口をふさぐ。もちろん掌で、ですよ?


「一応、目安箱に入っていたからには真偽は確かめておくべきか……」


「キンバリー先生には結婚三年目の奥方がいらっしゃり、マクドネア先生は独身です」


「うわぁ、三年目って一番ヤバイっすね。うちの父親もっむぐ」


アーロン様は一体騎士団長である父親の何を暴露しようとしたのか。またもユージーン様に止められる。


「これは生徒会が判断する案件ではないと思うのですが……」


言いづらそうに発言するネメック侯爵令嬢。


「確かにそうですね」


同意する眼鏡令息。横で頷く私。

ぶっちゃけ言うと、先生同士のアレコレなんて知らんがな。成績の改ざんなら関係あるけど。


「もしかすると生徒に手を出しているのかもしれない」


「あー、マクドネア先生って美人っすもんねぇ」


アーロン様、ネメック侯爵令嬢に冷たい目で見られているのでそういう話は男性のみの時にお願いしますね。


「違う違う、キンバリー先生だ。もしかしたら女子生徒とも付き合っていて、その女子生徒が嫉妬で目安箱にこの紙を入れたかもしれないだろう? じゃなきゃわざわざこんな紙を入れる意味がない」


王子、あんた変な恋愛本読み過ぎじゃないですかね。妄想力が凄い。

女子生徒と教師が付き合っていたらかなり問題になりますよ。


「それなら逆もアリでしょう。マクドネア先生を慕う男子生徒が不倫に気付いて嫉妬してこの紙を提出したかもしれません。そもそも、学園のことを教師に訴えようとしたところで難しいでしょう。学園長にすぐ会えるわけでもないですし」


ユージーン様、お前もか。

まあ、でも確かに……不倫の話を教師に訴えようとなると……どこに言えばいいのかしら。学園長って話長いし、入学式とか卒業式でしかしっかりと見た記憶ないし。いつも学園にいるわけじゃないものね。


「じゃあ潜入捜査っすか? 楽しそうっすね!!」


なんで潜入捜査になるんだ、アーロン様。しかも一番向いてなさそう。


「アーロンは潜入捜査に向かないから保健室に突撃しようとするなよ。二人が学園で会うとしたら授業後だろう」


「学園から出る時を尾行した方がいいのでは?」


「学園の外のことは生徒会の範囲外だ」


メンバーが豪華だから尾行なんて話が出るんですよね。しかも尾行しようと思ったら人員動かせるんですね、怖っ! お金がかかりすぎて怖っ!


「保健室に何日か通って様子を見るくらいだろうな。バートラム嬢、まずお願いできるか?」


「勉強の時間が減るので無理ですね」


「次のテストが終わった日ならどうだ?」


「テストが終わった日は解放感でとんでもなく元気ですよ、私」


ほぼ毎日健康ですけどね。


「君は演技ができるだろう? そうだ、テスト後の生徒会の会議中に体調不良になったことにしよう。で、ユージーンが保健室に連れて行って二人で様子を窺ったらいい」


別にそれならアーロン様とユージーン様の二人で行けばいいのでは?


「アーロンはポロッと話しそうだしな。あまり爵位が高いと大事にされる場合もあるし……」


「自分が行きましょうか?」


眼鏡令息が恐る恐る手を上げてくれる。ナイス! 名前覚えてなくてごめん。マロー子爵家だっけ? いやマネーだっけ? マネーのこと考え過ぎか、私。


「男二人で行ったら証拠がつかめない気がするんだ」


どんな気ですか、それ。むしろキンバリー先生が嫉妬して尻尾出すかもしれないじゃないですかぁ。


「同じ人間が何日も保健室に通うと怪しまれる。最初はバートラム嬢が体調不良だ。これは決定事項だな」


毎日私も保健室通いするつもりはなかったから、最初でもまぁいいんだけど。めっちゃ仕方ないけど。王子が体調不良になったら大騒ぎになるのは分かるし。


「今度、人気パティスリーの菓子を買ってこよう。アップルパイでどうだ?」


「チーズケーキも付けて欲しいです」


「いいぞ」


王子が太っ腹なのはいいことですね。

こうして私の仮病日程が決定したのだった。女の子の日ってことでいいかな?


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