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【連載版】私は脅迫されております!  作者: 頼爾@11/29「軍人王女の武器商人」発売


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エピローグ

いつもお読みいただきありがとうございます!

これで本編完結!

ここまでお付き合いいただいた皆様、本当にありがとうございました!

いろいろ落ち着いたら番外編も書いていきますね! ブクマや評価をいただけると嬉しいです!

「失礼、大きな虫が見えたもので」


パアンッという音の後にウフフとにこやかに登場する私。当事者たちとほんの少しだけいた野次馬が驚いているが、私だってこんな登場したくなかったっての。


「それで、卒業パーティーがもうすぐ始まるけど何を不穏な空気を出してやがるんでしょうかね?」


ユージーン様が追いついてきた。

あぁ、ほんとに前のピンク頭を思い出してムカつくわ~。ピンク頭への恨みはまだ私の中に残っていたらしい。卒業パーティーで婚約破棄とかほんと迷惑だからやめて。目の前にいるのはミルクティー頭だけど、二代目ピンク頭に見えてしまう。


「ウィロウ。早とちりだろう。まさか殿下も出席して最後に陛下も挨拶でいらっしゃる卒業パーティーでいざこざを起こすわけないじゃないか」


なるほど、その線で行くのか。


「それもそうですね。でも、何か思うところがおありなら別室でどうぞ?」

「そうだな。卒業を祝う気がないなら仕方がない」


ちょうど眼鏡令息ことモロー子爵令息が教師を連れて来てくれた。そうそう、卒業間際でやっと名前覚えたのよ。

私は手を叩いた男子生徒に近付くとこそっと告げる。


「慰謝料をふんだくりたいなら先に手を出すんじゃなくて手を出させるんですよ、分かりましたか? 分かりましたね? 地獄の沙汰も金次第ですよ。失恋の傷は金で癒すんです」

「いや、それは無理だろ……せめて友情とか……」


教師がやってきてしまった手前、会場の注目を集めてしまった。

しかし――


「殿下!」


アーロン様のよく通る、いつもよりも数段大きな声がして会場の注目が隅ではなく中心に移る。

続いて、複数の女子生徒のものらしい黄色い歓声。


人垣の間から見ると、ボンボン王子がジャスミン様の前に手を取って跪いていた。

あれは――


「プロポーズですかね?」

「だろうな」

「気持ち悪いですね」

「そう言うと思った」

「だってすでに婚約してるのにこんな衆目の前でプロポーズするとか変態です。ピンク頭並みです」

「ピンク頭並みは少し酷いな」

「この状況でやれば自分に有利に事が運ぶと思っているところが嫌ですね」

「俺はしないから」

「当り前ですよ、あんなことしたら婚約破棄ですよ。実家に帰りますよ。いやむしろ山に帰ります」

「それは困るな。やっと少しは手懐けたのに」


ユージーン様の手が私の腰に回る。


「うげっ」


触られるのにまだ慣れていないので変な声が出る。あと、緊張して背筋が伸びる。

不穏な臭いを出していた三人組は教師が別室に連行していた。あの男子生徒、大丈夫かな。頑張っていろいろふんだくって欲しい。教師がついているから大丈夫かな。


「まったく。俺を脅迫できるのは君くらいだな」

「私は脅迫されたんですよ」


ジャスミン様がボンボン王子の気持ち悪い愛の告白で嬉しそうに頬を赤らめている。

そうだった、あの方。大変なロマンチック思考だった。幸せそうならいいけど。ボンボン王子、大事なのはプロポーズじゃなくてこれからの結婚生活だからね。愛人と借金作ったら絶対に殴ってやる。


「隣国との取り決めで輸出の税率が下がるから、ダイヤの輸出も増える。忙しくなるな」

「あぁ、第一王子のクーデターの件はそれでまとまったんですか」

「いくつかの条約締結で終わりそうだ」

「隣国はダイヤ出ませんからね。それにしてもいきなり真面目な話を振らないでくださいっうげ」


腰をグイッと引き寄せられる。体温伝わってくるからほんとやめてほしい。緊張する。ドレスだけですでに酸欠状態なのに。あと化粧が服につきそうで怖い。


「正直、ピンク頭には感謝だな」

「いきなり気持ち悪いこと言わないでください」

「ピンク頭がウィロウを脅迫しなかったら、俺たちは婚約してなかったかもしれないな」


それは確かにそうかもしれない。私は相変わらず借金と貧乏にあえいでいただろう。

ユージーン様を見上げると、嬉しそうにこちらを見るブルーと目が合う。腹立たしいが、やはり顔がいい。喧嘩してムカついて刺し殺したくなっても顔見たら止めるレベル。


「まぁ……それはそうですね。でも脅迫して婚約したのはユージーン様ですから」

「あー、それもそうだな」

「だから。私を見つけてくれてありがとうございます」


正直、私たちの縁はピンク頭に脅迫され、その後証拠を持って生徒会室に乗り込んで証拠を渡してプツンと切れるはずだった。でも、その縁を切らずに追いかけてつなげたのはユージーン様だ。


「おかげで借金なくなりました」

「脅迫材料があって良かった」


ユージーン様は調子に乗ったのか顔を近付けてくる。悔しいが、顔がいい。いいなー、金髪碧眼。


「え、今キスしないでください」

「今そういう雰囲気だったじゃないか」

「パーティー終わった後にしてください。恥ずか死ぬので」

「言ったな」

「むぅ」


私が頬を膨らますと、すかさずユージーン様が頬をつつく。


「じゃあ、殿下たちのところに戻るか」

「気持ち悪いですが戻りましょう」


何人もの生徒たちが押し寄せてボンボン王子とジャスミン様を祝っている。ジャスミン様はいつもより嬉しそうだ。


私は隣を歩くユージーン様を見上げる。

頑固な私でも「あなたと婚約できて良かった」とパーティーが終わった後くらいなら言えるかもしれない。むしろ「あなたに脅迫されて良かった」かな。


本編完結です。

番外編などは考えているもののまずは他を完結させますね!

評価やブクマ、いいねなどとて励みになっております。いつも本当にありがとうございます!


★書籍化作品★

第9回ネット小説大賞 金賞受賞作

「憧れの公爵令嬢と王子に溺愛されています⁉~婚約者に裏切られた傷心令嬢は困惑中~」(宝島社)

こちらも良ければよろしくお願いします。

ガールズパワーがすんごいラブコメディです。斜め上の行動をとる残念な王子様も登場。

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