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「お嬢ちゃん、猿轡かましてあるから意識戻っても話せねぇよ!」
「お、おい! そんなに首絞めたら喋れねぇよ!」
必死で止めに入るケンさんとゼンさん。
仕方なく、私はピンク頭の首を絞めていた手を離した。さっきまでは蹴りを入れてたんだけどいつのまにか手が出ちゃった。えへ。
キレると足と手が出ちゃうタイプです。(今更自己紹介)
「で、どおやって第一王子のフッキンをするわけ? お仲間でもいるの?」
ピンク頭に合わせて話をする。
猿轡を取ると、ピンク頭はペッと唾を吐いてきた。令嬢からしたらあり得ないが、私はこんなんでショックを受ける柔らかな精神はしていない。
「ふぅ~ん、ちょっと自分の立場が分かってないみたいね。おバカさんだもんね? 仕方ないか」
「お、お嬢ちゃん?」
「やばい、キレてる。これは触っちゃいけねぇ。俺の奥さんと同じ笑いながらキレるタイプだ」
「あなたのことピンク頭って呼んでたけど、もうピンク頭って呼べなくなっちゃうかも?」
私はその言葉と共にブチっとピンク頭の髪をむしった。相手は手足を縛られているので楽だ。
「いったぁ!」
「へぇー、やっぱり一本で見てもピンクなのねぇ」
「何すんのよ!」
「髪の毛抜いてんのよ。あなたの年からでも毛根ごと抜いたら次が生えてくるのかしらぁ。楽しみ!」
「はぁっ!?」
髪の毛を光に透かして見てから、私はブチブチとピンク頭の髪の毛を抜くのを再開する。
「きゃー! あんたどんだけワタシの髪抜いてんの! 自慢なのに!」
「いまのとこまだこんだけです」
「お、お嬢ちゃん……」
「ピンク頭、情報を吐けば髪の毛はもう抜かれねぇぞ!」
「勝手に尋問始めてるし……なんなの、この人……」
ドン引き二名、アシスト一名。飴と鞭ってやつ?
「ちょっと! やめてよ! あんただってワタシを嵌めたでしょ! それに高位貴族の婚約者の中で一番実家に力がないからあんたは狙いやすいのよ!」
「そんなことは聞いてないっつーの。スキンヘッドになりたいの?」
「そ、それに貧乏伯爵令嬢だから誘拐して最悪殺しても問題ないって! 公爵令嬢とかじゃないし!」
「だからそんなことは聞いてないし。分かり切ってるし」
「痛いってば! ちゃんと話してるんだからやめてよ! あんたを人質に公爵家を脅すのよ!」
「なんて脅すわけ?」
「第一王子派につくようにって!」
ピンク頭は喚きながら暴れるが、私は気にせずピンク頭にのしかかった。暴れてもいいように上に乗る。
「どれくらい第一王子派っているわけ?」
「男爵とか子爵家が少しってことしかワタシは知らない! でもダーリンは隣国の助けもあるって言ってた!」
え、それってヤバいやつじゃない? 第一王子の妄想じゃないよね?
「隣国が? ほんとに?」
髪の毛を引っ張りながらピンク頭に聞く。
「ほんとだってば! 向こうから助けてやるって接触してきたって言ってたもん!」
それ、多分第一王子は後々殺されて国だけ分捕られるパターンでは?
「じゃあ、あなたの立ち場もまずいんじゃない?」
「え?」
「あなたが自分で言ったんじゃない。私は実家に力がなくて狙いやすいし、殺しても問題ないって。それなら、あなただって男爵家出身だしそれほどお金持ちじゃない。この企みがうまくいってダーリンと結婚できるの? 殺しても問題ないのはあなたも一緒」
おバカさんに通じるか不安だったが、顔色を見ると通じたらしい。
「あ」
護衛さんの間抜けな声がした。
気配は何となく分かってる。この小屋は囲まれた。
いや、護衛さん仕事してよ。




