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【連載版】私は脅迫されております!  作者: 頼爾@11/29「軍人王女の武器商人」発売


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いつもお読みいただきありがとうございます!

仕立て屋ではいろんなところを採寸された。


「こんな感じはいかがでしょう?」


ついてきてくれた侍女のマリーさんがいろんな布を持ってきて好みを聞いてくれる。が、しかし違いがよく分からない。光沢があるなぁとかその位しか分からない。


「こちらはネメック領で有名なシルクですね」


うげ、シルク!

慌てて首を横に振る。シルクが高いことくらい私でも分かる。


「ネメック侯爵領のシルクは有名だからな。それで一つ仕立てよう。デザインの流行りはあるだろうか。今の流行りだと……」


ひぃぃ、値段も見ずに!? 値段見ずにお買い物って正真正銘のボンボン!

しかもその生地めちゃくちゃ高そうなのに!? 怖い、怖すぎる。


「あと数着は仕立てておこう。仕立て終えたらオールドリッチ公爵家に届けてくれ。それからすぐに着れるよう既製品を数着見たい。合わせて靴と帽子も」

「え、まだ買うんですか?」

「母上から公爵家にふさわしい服装をするようにと言われている」

「ふさわしいってどんな服装ですか?」

「母上みたいな服装じゃないか?」

「えぇー、あんな地味に擬態して生地は一級品って詐欺のような服装ですか……しれっと宝石縫い込んであるような……」

「母上のドレスのデザインは年上向けだから、若い貴族令嬢に流行っているデザインにするぞ」

「年上向けって女性に対して言っちゃあいけませんよ。貴婦人向けと言ってください」

「気にするのはそこじゃないだろ」


ユージーン様とぎゃーぎゃー言いながらも、生地やドレスデザインがどんどん決まっていく。


「じゃあこの中から好きなのを選んで、まずは試着だな」

「はぁ、疲れた……」


慣れない高級品に囲まれるほど神経を使うことはない。よく分からないものばっかりだし。


「疲れて目がうろうろするのでユージーン様、決めてください」

「いや、好みがあるだろう」

「大事なところが隠れれば服は何でもいいです」

「おい」

「決めるのって疲れるんですよ……あと派手な色は苦手です」

「じゃあ、露出が少なめで。このおさえたオレンジなんかどうだ? 瞳が琥珀色だからオレンジは合うだろう。ブラウン系はこの前買ったからな」


私はユージーン様に丸投げしてイスに座り込む。疲れた、お腹も空いた。

マリーさんはユージーン様と一緒になって服を選んでいて楽しそうだ。


「じゃあ、まずはこれだな。試着してくれ」

「はぁい……」


ふらふらしながら試着室に入って服を手渡される。着替えを手伝うと店員がやってくるのを断ってカーテンを閉めた。

さすがに一人になって一息つきたい。いつも全部一人でやっているから、ここで手伝われるなんて恥ずかしすぎる。丁度よくこのワンピースは一人で着れるデザインだ。


疲れたなぁ。ドレス仕立てるのってこんなに疲れるのか。商品がたくさんありすぎて見るだけで疲れる。選ぶのはもっと神経を使う。


ぼんやりしていたので気付かなかった。

よっこいしょと試着する服を壁にかけてワンピースのボタンに手をかけようとした時に、後ろから羽交い絞めにされた。


声を出そうにも口をふさがれているので出せない。というか、侵入者? どっから入ってきた? もしかして最初からいた? いや、さすがに試着室に誰かいたら気付くけど、試着室って言ってもここ広いのよね……。


フガフガしていたら、奥の鏡が開く。え、好奇心をくすぐる隠し通路なんてそこになくてもいいんですけど!? むしろ今じゃない! 公爵邸でゆっくり探索して見つけたかった~。


私は鏡の奥の通路に引っ張り込まれた。



「いくらなんでも着替えが遅くないか?」

「そうですね。声をかけてきます」


待っていたユージーンとマリーは顔を見合わせる。


「ウィー様。お着替えは終わりましたか?」


マリーが声をかけても反応がない。


「ウィー様? ウィー様? 疲れて寝てらっしゃいますか?」

「空腹で倒れてるのかもしれない。開けてくれ」

「ウィー様、開けますよ」


マリーは空腹でってなんだよと思いながらカーテンをゆっくり開ける。

そこには試着するはずの服だけがかかっており、誰もいなかった。


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