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第8話 主の戦闘勉強・2


 その後、魔物の出現情報が少ない草原で一度立ち止まり、主の認識を確認した。


「主、まず最初に確認しますけど、魔物を倒さないといけないというのは理解していますか?」


「そ、そこは分かってるよ? でも、ウルフ種とかって可愛く見えて……」


「……まあ、主は従魔使いですし、そう思うのも仕方ないですが。相手は、野生の魔物です。従魔に出来る魔物も居れば、知能が低く襲う事しか能の無い魔物も居ます。先日のウルフは、どちらかと言えば前者の者でしたが、それでも弱い相手には知能がある魔物でも襲ってきます」


「は、はい」


 主は俺の言葉を聞き、徐々に顔が下がって行った。

 だけど、ここでちゃんと魔物について認識してもらわないと前回みたいに、急に戦闘を中止されたら命を落としてしまう。

 俺は心を鬼にして、主への言葉を続けた。


「それに俺の様な下位の魔物の場合、集団を作っている場合も有ります。一匹で行動していても、そいつが何匹も仲間を引き連れて戻って来る可能性もあります。なので、魔物を逃がすというのは冒険者として命取りの行動だと認識してください」


「わ、分かりました。で、でも従魔にしたい子が現れたらどうしたら良いんですか、ゴブタ先生」


「その場合は、従魔使いとして勉強した際に習ったと思いますが、相手との力量差を見せつけるのが良いです。まあ、極めて少ないのですが、俺の様に知能ある魔物が従魔になりたくて近づいてくる時もありますので、魔物の出している気配を感じ取るのが大切です」


 俺の事を先生と呼んだ主に、俺はそう教えた。

 魔物や人には、隠しきれない気配がある。

 それを感じ取り、相手が自分と戦う意思があるのかを確認したうえで、次の行動をするのが大事になる。


「まず、気配の感じ取り方ですが。主は、感知系スキルは持っていますか?」


「ううん、持ってないよ。私、王都に来るまで田舎の村でただ普通に暮らしてただけだから」


「成程、でしたらこれから数日間は、主の戦闘訓練をした方が良いですね。まずは、気配の感じ取り方ですが……ハッ!」


「ッ!」


 言葉を続けながら、俺は主に向かって〝攻撃するぞ〟という意思を向けた。

 グッ、主に向かって〝攻撃するという意識〟を当てた時の反動を考え、弱く当てたが結構辛いな……


「だ、大丈夫ゴブタ君。凄く辛そうだけど?」


「大丈夫ですよ。それより、今の俺が向けた気配は感じ取れましたか?」


「うん、何となく〝危険〟だなってのは感じ取れたよ。あれは、ゴブタ君が殺気を向けたの?」


「はい、今のは分かり易く向けましたが、野生の魔物はこれに似た気配を微量に出して、接近してくる者がいます。なので、感知系スキルは早めに会得しておいた方が身の安全の確保には便利なスキルです。まあ、主が取れなくても俺は既に会得しているので、急いで取ろうと思わず自分のスピードで覚えてください」


「はい。ゴブタ先生!」


 元気のいい返事をする主に、次に魔法についての勉強を始めた。

 しかし、これについて俺は殆ど力になれない。

 それは、俺が魔法スキルを持っていないからだ。


「剣術だったり、体術でしたら俺が教える事は出来たのですが。魔法に関しては、本で得た知識しかないので実物を見せる事が出来ないんですよね……」


「ゴブタ君は、属性魔法を持ってないの?」


「はい、俺が持っているのは基本的に剣術や体術の様な接近型の技術と感知系スキル、後はまあ耐性スキル位でして、主の様に属性魔法は持っていないんですよね」


 そう俺は言うと、主は「困ったね……」と言って一緒に考えた。

 結局、魔法に関してはギルドで金を払えば教えてくれるので、そこでお金を溜めて教えて貰う事になった。

 それから、折角外に出たのでお金になる植物を採取してから帰ろうと提案して、森の中へと入った。


「ゴブタ君。これって、食べられますか?」


「それは、毒キノコだ主!」


 戦闘知識、魔物の知識が無い主、流石に植物の知識はあるかと思っていたが、案の定無かった。

 主の頭の中にある知識は、従魔使いの事しか入っていないようだ。


「主、それでよく親御さんは冒険者になる事を許してくれましたしね……」


「うぐっ、そこはほら色々とね……」


「……主、もしかして親御さんに黙って冒険者になったとか言わないですよね?」


「……だ、だってお父さんもお母さんも「アイナには冒険者は無理だ!」って頭ごなしに言ってきて、話しも聞いてくれなかったんだよ!?」


「だからって、家出をしてまで冒険者にならなくても……まあ、主が冒険者になってくれたおかげで今の俺がありますけど……」


 説教するにも主が冒険者になってくれたおかげで、俺の今があるので強く言えない。

 まあ、しかし主と主の家族の問題はその内解決するだろろうと、俺は心の中で願った。



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