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第7話 主の戦闘勉強・1


 翌日、部屋にエレナさんがやって来て、変装道具を持ってきてくれた。

 変装道具は、鉄の鎧一式で顔も隠れるタイプだった。

 ……動きにくそうな防具だな。


「この防具は見た目程、動きにくくは無い作りをしていて、ゴブタ君の要望通りだと思うわ」


 表情に出て居たのか、エレナさんにそう言われた。

 俺はエレナさんの言葉を信じて、取り敢えず装着してみた。

 すると、意外にも動きを制限される訳でも無く、暑苦しいとも思わなかった。


「どうかしら?」


「はい、凄く良い防具ですね。でも、こんな良い物を使っても良いんですか? 一応、俺は従魔なので外では魔物とも戦いますし……」


「えぇ、大丈夫よ。だって、その防具はゴブタ君の物だからね」


「……えっ!?」


 エレナさんの言葉に、俺は驚いた声を出した。


「も、貰い過ぎですよ。この首輪でさえ、高価な物ですし……」


「……ここだけの話、ゴブタ君が外で魔物と共闘していた時の事を考えたら、こんな物では釣り合わないのよ。ゴブタ君って、王都の街中の事を結構詳しいでしょ? それが魔物に伝わらなかっただけで、金貨数百枚を超える被害額が抑えられているのよ」


 真剣な表情で、エレナさんからそう言われた。

 確かに、俺は3年間王都で暮らして大通りから裏通りまで、殆どの道を知っている。

 更に、まだ主がランクが低い時は下水道掃除なども俺はさせられていたから、王都の地下の事も知っている。

 ギルド側は、そういった過去の経歴も探り、俺が魔物側に付かなかった価値が大きいと判断したのだろう。


「まあ、それにゴブタ君。こういった時は、貰えるものは貰っておいた方が良いわよ」


「……そうですね。分かりました有難く、受け取らせてもらいます」


「よろしい。それじゃ、私は仕事に戻るから外を出歩く時は、その防具を外さないでね?」


「はい、分かりました。色々と、ありがどうございます」


 再度お礼を言って、エレナさんは部屋から出て行った。

 それから数分後、昨日約束していた時間になったので、主を起こしに隣の部屋に向かった。

 部屋をノックした時点で、中から声は聞こえなかった。

 なので、主から預かっていた部屋の鍵で中に入り、まだスヤスヤと寝ている主の横に立った。


「主、朝ですよ。起きてください」


「ん~……後、もう少し~」


「そこは、後5分とかでしょう。でも、駄目ですよ。ほら、起きてください!」


 そう言って、主が被っている布団を剥ぎ取り、立ち上がらせた。

 完全に起きていない主を、椅子に座らせて水で濡らしたタオルで顔を拭いた。

 そこまでしてやっと、頭が覚醒したのか主は俺に「ゴブタ君、おはよう」と笑顔で言った。


「はい、おはようございます」


「ごめんねゴブタ君、朝弱くてあまり起きれないんだ」


「えぇ、それは聞いていましたので無理矢理起こさせてもらいました。今日みたいな感じで、今後も起こして大丈夫ですか?」


「うん、叩き起こされる訳でも無いし、逆に顔を洗ってくれて時短にもなるから助かったよ。ありがとう」


 主は笑顔でそう言って、着替える為に俺は一旦部屋の外に出た。

 それから数分後、着替えが終わったと主の声が聞こえ再び部屋に入った。


「そう言えば、ゴブタ君の格好。それが変装道具なの?」


「はい、先程エレナさんから頂いた物で見た目程、きつくなく動きやすい装備なんですよ」


 俺は準備運動の様に、足を曲げたり腕を動かしたりした。

 その後、俺達は部屋を出て受付でエレナさんにお礼を言ってから、建物を出た。


「主、どうしますか。取り敢えず、朝食を取りますか?」


「うん、そうだね。でも、私朝はそんなに食べないから軽食で良いかも」


「そうですか、でしたら商業区の近くで美味しいパンの出店をやっているお店があるので、そこに行きましょうか。主は、パンは大丈夫ですか?」


「パンも好きだから、良いよ~」


 確認をちゃんと取り、俺は主と共に王都の一番賑わっている商業区へとやって来た。

 まだ朝の時間なので、人もそこまで多くなく、普段は人も並んでいる人気のパン屋もすんなりと購入する事が出来た。

 パンを購入した俺達は、近くの公園のベンチに座り朝食を食べる事にした。


「わっ、美味しい!」


「お口にあったようで良かったです。このお店、お昼が一番人が多いんですが朝は昼や夜に出ない、軽めの美味しいパンが売っているのは、常連のお客さんしか知らないんですよ」


「そうなんだ~、ゴブタ君って本当に王都の事をよく知っているんだね。ここに来る道も大道理じゃなくて、裏道を通ってたし」


「3年間暮らしていたので、暇な時間があれば鍛錬だったり街の散策をしていましたので覚えたんです」


 その後、朝食を食べ終わった俺と主は、昨日王都に入った門から外に出ようとした。

 その際、門番をしているリカルドさんから呼び止められた。


「一応、昨日ギルドから連絡が入ったから、俺も出来るだけお前達に協力しよう」


「俺の為に、ありがとうございますリカルドさん」


「ありがとうございますリカルドさん」


 俺と主は、協力してくれると言ったリカルドさんにお礼を言い、人が門を通らない時間を教えて貰った。

 

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