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第4話 話し合い・1


 別室へと移動した俺と主は、エレナさんにソファーに座る様に言われた。

 その指示に、エレナさんの向かい側に主と一緒に座った。


「まず最初に、ゴブリン君は【聖の戦士(ホーリーナイト)】に所属している従魔使い、リエフ君の従魔だったのは間違いないかしら?」


「はい、こちらの【従魔の首輪】を調べたら直ぐに分かると思います」


「そうよね……アイナちゃん、ゴブリン君の首輪外して上げれるかしら? 主の貴方なら、外せるから」


「分かりました。ゴブタ君、ちょっと後ろ向いてね」


 主にそう言われて、俺は主に背を向けた。

 そして主は、俺の首から【従魔の首輪】を外してエレナさんへと手渡した。

 エレナさんは、その首輪をジックリと観察して大きく溜息を吐いた。


「間違いなくリエフ君の魔力を感じるわ、という事は貴方は本当にあのゴブリンなのね……」


 受け入れたくなかった現実を、受け入れないといけなくなったエレナさん。

 これは自分一人では手に負えないと判断した様でギルドマスターを呼ぶと言って部屋から出て行った。


「なんだか大事になってきちやったね……」


「まあ、従魔使いは魔物を使役する役職柄、色々と規則が厳しい職業ですからね。主も、今後色んな規則を守らないといけませんよ」


「うん、分かってるよ。これでも、従魔使いになる為の勉強はちゃんとやってきたんだから」


 えっへん、と主はまだ成長途中の胸を張った。

 それから暫くして、エレナさんが一人の男性を連れて戻って来た。

 男性は40代後半もしくは50代前半の風貌で、少し頭が寂しくなって来ている。

 その男性を俺は見た事が無いが、ヒシヒシと感じるオーラで〝強者〟だという事は理解した。


「初めまして、私はこのギルドを管理している。ギルドマスターのエドウィンという者です」


「は、初めまして従魔使いのアイナです。そして私の従魔のゴブタ君です」


「よろしくお願いします」


 本能的に、主に名前を紹介された俺は綺麗なお辞儀でギルドマスターへと挨拶を行った。


「そんなに畏まらなくて構いませんよ。冒険者を引退したただのおじさんですから」


「マスター、そう言いながら威圧を出しながら喋らないでください。アイナちゃんは、まだ新人の冒険者なんですから」


「おっと、すまないね。癖で出していたようだ」


 エレナさんがエドウィンさんに何か注意をすると、先程から感じていたオーラが消え息がしやすくなった。

 それは主も一緒の様で、「はぁはぁ」と息遣いが荒くなっていた。


「アイナちゃん、ゴブリン君。ごめんなさいね。マスターは、初めて会う人に威圧を当てる癖があるのよ」


「そ、そうなんですか。す、すごい威圧でした……」


「凄かったですが、それを女の子の主に当てるのは大人としてどうかと思いますけどね……」


 主の体調が悪くなったのを確認出来た俺は、そう苦言を零した。

 すると、それに対してエドウィンさんは「はは、手厳しいゴブリン君だね」と笑って言った。


「……それで、軽くエレナちゃんから聞いたけど従魔使いが不当な契約破棄をしたって聞いたんだけど、当事者のゴブリン君事の詳細を詳しく聞かせてくれないかな?」


 エドウィンさんにそう言われた俺は、最初から最後まで細かく伝えた。

 説明する時、一番最初の契約破棄され交渉しようとした際に、怪我をさせられた箇所を見せた。

 すると、エドウィンさんは「これは酷いね……」と言って、無詠唱で回復魔法を掛けてくれた。


「無詠唱で回復の魔法が使えるって、エドウィンさん凄い冒険者だったんですか?」


「まあ、これでも元Sランク冒険者だよ。まっ、もう10年も前の事だけどね」


 エドウィンさんは笑ってそう言い、話の続きをした。

 そして全てを聞き終えたエドウィンさんは、俺に対して頭を下げた。


「魔物の君には、酷く辛い事だっただろう。規則も守れない者の元で従魔の生活をさせられた事を、ギルドを代表として謝罪する。本当にすまなかった」


 深々と頭を下げたエドウィンさんの横で、エレナさんも同じく頭を下げた。

 それから、今後の動きについて話し合いを行う事になった。


「まず、ゴブリン君。ああ、いやゴブタ君だったかな? そう呼んでも良いかい?」


「はい」


「うん、それじゃゴブタ君。まず、君には新しい首輪を渡そう。本来であれば、最初に付けた首輪を主が変わってもずっと付けるのが、本来のやり方だけどこの首輪は嫌だろ?」


 エドウィンさんは、エレナさんに預けた俺が付けていた首輪を手に取った。

 まあ、別に嫌という程嫌では無いが、折角なら新しいのを貰って〝主だけ〟の魔力を流して欲しい。


「貰えるのでしたら、新しいのが良いです」


「そうか、分かった。それじゃ、渡すからエレナちゃん持ってきてくれるかい?」


「分かりました」


 エドウィンさんに指示を出されたエレナさんは、指示に従って部屋を出て行った。

 それから数分後、木箱を持って帰って来たエレナさんは、テーブルの上にソッと置いた。


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