第29話 新たな仲間・3
ソファーに座った後、俺はルドルフさんと色んな話をした。
話の内容は、主に元主との生活の話だったが、その話を聞いたルドルフさんは申し訳なさそうな顔をした。
「……ゴブタ君。君には、そんな辛い生活を3年間もさせていた何て、本当にすまなかったよ」
「だ、だからルドルフさんが謝らないでくださいって! 従魔である俺達でさえ、尊敬する貴方から頭を下げられたら、逆に俺が困ります!」
そう返すと、ルドルフさんは「えっ、私の事尊敬してるの?」とキョトンとした顔をした。
先程から話をしている間も思っていたが、前に会った時と随分と印象違うな……あの時は、もっとこう威圧感がある人だったのに……
「そりゃ、尊敬しますよ。ルドルフさんの話を聞いて、尊敬しない従魔なんて何処にも居ないですよ」
従魔使いルドルフが主役の物語は、俺が知ってるもので10冊はある。
その全てが従魔と一緒に力を合わせ、偉業を成し遂げた話ばかりでシャロ達に何度も読み聞かせてやった事もある。
「あはは、まさか魔物達まで私の話が好きだなんて知らなかったよ」
「だから、軽く頭を下げないでください。俺にとって、ルドルフさんが頭を下げるのは王様が下げているのと同じですから……」
そうお願いをすると、ルドルフさんは「そんなに偉くは無いんだけどね」と笑顔で言った。
その後、ルドルフさんとの話し合いは夕暮れ時まで続いた。
「おっと、もうこんな時間か、ごめんねゴブタ君。長々と話し込んじゃって」
「いえ、ルドルフさんの話を聞けて俺も良かったです」
「そう言ってくれると、昔話をした甲斐があったよ。また暇が合えば、話に付き合ってくれるかい?」
「俺で良ければいいですよ。ただ主の許可が要りますけどね」
そう言って俺は、ルドルフさんとギルドの前で別れて宿屋に戻った、
宿屋に帰ってくると、何故か部屋にウィル用のベッドが置かれていた。
「よくよく考えたら、従魔の宿舎いっぱいで借りれなかったんだ。でも、半額でウィル君も泊る事が出来たから、結果オーライだね!」
ニコニコと笑いながらいう主に、俺も忘れていた事なので特に言い返せなかった。
「そう言えば、ウィルって今レベルいくつなんだ?」
帰宅後、夕食と風呂を済ませた俺は丸くなって寝る準備をしていたウィルに聞いた。
「赤牛を倒して、今は15になってるな。進化して直ぐだったから、かなり上がったみたいだな」
「レベル15って事は、残り半分でまた進化か。早いな」
ウィルは一回目の進化を終えたばかりだから、次に進化するのは30レベルだ。
「さっさと強くなって、幻の進化であるフェンリルになりたいぜ」
「へえー、ウィルってフェンリルになるのが目標なんだ?」
「当たり前だろ? ウルフなら、誰だって目指すのはフェンリルだよ!」
ウィルの地雷を踏んだのか、興奮した様子のウィルにそれから2時間程フェンリルの凄さを語られ、途中で俺は寝落ちしてしまった。
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