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第27話 新たな仲間・1


「っと、ウルフ。改めて、今回は色々とありがとう。一緒に戦ってくれて感謝してる。今後、お前と敵対はしたくないな」


 ステータスを見終わった俺は、そうウルフに言った。

 すると、ウルフは俺の言葉に何故か気まずそうな雰囲気を出した。


「あっ、ゴブタ君。ゴブタ君が寝てる間に、この子を従魔にしたんだよ」


「……そんな目で見るな、ただ野生に居るより従魔使いの元に居た方が強くなれると思っただけだ。決して、この娘の撫で技に屈した訳じゃないぞ!」


「いやまあ、俺としては嬉しいけど……」


 ウルフの言葉に俺はそう返して、ミノタウロスの死体をどうするか話し合った。

 ミノタウロスはお金になるから、放置は出来ない。


「でも、持って行くにしても私達じゃ力不足だよ? 引きずって持っていこうとしても、難しいと思うよ?」


 主の言葉に「そうですよね」と俺は返し、どうしようか暫く悩んだ。

 話し合いの結果、主と〝ウィル〟と名付けられたウルフが王都に戻り、台車と助っ人を呼びに行く事になった。


「それにしても、何で俺はこの〝闇鬼(ダークゴブリン)〟に進化したんだろうな」


 自分では、〝大鬼(ホブゴブリン)〟か主に言われた〝鬼人(オーガ)〟だと思っていた。

 なのに進化してみれば、予想にもしていなかった方への進化だった。


「ダークゴブリンは確か、闇を好むゴブリンが進化する形態だったよな。俺、闇を好んだ事は……」


 自分の進化した姿に俺はそう思い、自分のこれまでの人生を思い浮かべた。

 そして、数日前まで俺は全ての者から逃げる為に、暗い所で生活をしていた事を思い出した。


「もしかして、逃走の為に暗い所で生活していたからこの進化形態になったのか?」


 可能性があるとすれば、あの日々だけだ。

 そう思った俺は、数日間の逃走劇のおかげで普通の進化形態では無く、別の個体への進化が出来て良かったと始めてあの日々に感謝した。

 それから30分ほどして、主達がギルドの職員を連れて戻って来た。

 ギルドの職員は、ミノタウロスの死体に一瞬驚いたが直ぐに仕事に取り掛かった。


「アイナちゃん達、ちょっと話があるからついてきてね」


 あの後、ギルドでミノタウロスの死体を換金すると、エレナさんに呼ばれ別室に連れていかれた。


「ゴブタ君、今日あった出来事を説明してくれるかしら?」


 主では無く俺にそう聞いたエレナさんに、俺は今日あった事を全て話した。


「ゴブタ君達が報告してくれた殺気の正体が、まさかミノタウロスだったとわね……よく、ゴブタ君達生き残ったわね」


「まあ、俺と主だけでしたら死んでましたが、途中でウィルが助けに入ってくれて、何とか勝つ事が出来ました」


「そう言えば、さっき詳しく聞かなかったけどアイナちゃん、新しい従魔を手に入れたのね」


「はい! 新しい仲間の、ウィル君です」


 主がそうウィルを紹介すると、ウィルは首をコクッと縦に動かした。


「それにさっきまで装備で気付かなかったけど、ゴブタ君も進化したのね」


「はい、逃走の日々のおかげか〝闇鬼(ダークゴブリン)〟に進化する事が出来ました。あの日々に初めて感謝しました」


「まあ、それは凄いわね。ダークゴブリンと言えば、鬼種の中でも強い個体に進化出来る魔物でしょ?」


「そうですね。最上位進化形態には〝悪鬼(デーモン)〟になる事も出来ます」


 そんな話をしていると、部屋の扉が開いてギルドマスターのエドウィンさんが部屋に入って来た。

 エドウィンさんが部屋に入ると、エレナさんは俺達に聞いた話を伝えた。


「成程、それで森の魔物達の生態系が狂っていたのですね。アイナさん、ゴブタ君、そしてウィル君。対処して頂き、ありがとう」


 エドウィンさんは、そう言いながら頭を下げた。

 そしてミノタウロスの換金したお金と、討伐の報酬金を貰った。


「主、良かったですね。これでまた暫くは訓練に集中できますね」


「うん! それにウィル君の宿代にも出来るから良かった~」


 お金が思った以上に入り、俺と主はそう言って喜んだ。

 金の価値がイマイチ分かっていないウィルに、俺はボソッと暫くは美味しい飯が食べれると伝えた。

 すると、顔は済ました顔をしているが尻尾はブンブンと振り、嬉しさが隠しきれてなかった。

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