第26話 接触・4
俺の棍棒が直撃したミノタウロスは、そのまま前のめりに倒れた。
そして、頭から大量の血を流して起き上がる気配は一切しなかった。
「やったか? ……」
そう俺が口にすると、ウルフがミノタウロスに近づき匂いを嗅いだ。
「生きてる匂いはしないな、完全に死んでるみたいだな」
「……しゃ~」
ウルフの言葉に俺は【鬼狂化】が解けて、地面に座り込んだ。
流石のウルフも疲れたのか、俺と少し離れた所に座った。
「助かったよ。ありがとな」
「ハッ、別に俺はお前達の借りを返す為に来ただけだ。それに経験値も美味しかったからな」
「あっ」
ウルフの言葉に俺は、ミノタウロスが倒れて経験値が入っている事に気が付き、慌ててステータスを開いた。
✤
名 前:ゴブタ
年 齢:3
種 族:鬼種・ゴブリン
身 分:従魔
性 別:男
属 性:火 無
レベル:20/20【進化可能:進化まで残り18秒】
筋 力:104
魔 力:58
敏 捷:89
運 :88
スキル:【棍術:2】 【短剣術:1】【気配察知:2】
【解体:3】 【調理:2】 【調合:2】
【忍び足:2】
固 有:【鬼狂化】
能 力
称 号:従魔
加 護:
✤
ステータスを確認すると、本で見た知識通り〝進化可能〟と書いてあり、残り18秒と書いてあった。
やばいやばい! 本の知識が合ってるとすれば、このまま進化したら暫く動けないぞ!?
「ヤバッ! ウルフ、もう一つ頼みがある!」
「何だよ急に大声出して? 何かあったのか?」
「レベルが進化可能に達して、もう直ぐ進化するんだ。俺が進化に時間が掛かっている間、主と俺を守ってくれ!」
「ハァ!? 何だよそれッ! っておい!」
ウルフに伝えるだけ伝えた俺は意識がプツリと消え、進化が始まった。
「個体名ゴブタ。進化可能に達し、進化を開始」
意識が消えた後、俺の頭の中には〝世界の声〟という本で書いてあった通りの声が聞こえた。
「進化先選択完了。進化開始」
その声が聞こえた瞬間、俺の意識は更に途絶えた。
そして次に目を開けると、俺の顔の前に主の顔があった。
「あっ、ゴブタ君。おはよう」
「おはようございます主」
そう言って起き上がると、主の横にはウルフが居た。
なんだかんだ俺の頼みを聞いてくれたのか、優しい奴だな……
「進化終わったみたいだね。えっと、何て種族になったの?」
「えっと、今見ますね」
主からの質問に俺は、自身のステータスを開いて主と一緒に見た。
✤
名 前:ゴブタ
年 齢:3
種 族:鬼種・ダークゴブリン
身 分:従魔
性 別:男
属 性:火 無
レベル:1/30
筋 力:101
魔 力:87
敏 捷:94
運 :88
スキル:【棍術:2】 【短剣術:1】【気配察知:2】
【解体:3】 【調理:2】 【調合:2】
【忍び足:2】【闇魔法:1】【影移動:1】
【暗器術:1】
固 有:【鬼狂化】【影の世界】
能 力
称 号:従魔
加 護:
✤
「えっと、ダークゴブリンって種族ですね。確か、闇魔法を使い暗殺だったり、奇襲攻撃に長けた種族です」
「わー、凄い種族に進化したね!」
主の言葉通り、俺は思いもしなかった魔物に進化出来た。
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