表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
24/34

第24話 接触・2


「グルォォォォ!」


 ミノタウロスは、俺と主を見つけると雄叫びを上げた。

 その声に俺と主は、体が震えて足が動かなくなった。


「ドンッドンッ」


 一歩、また一歩と近づいてくるミノタウロス。

 俺は、舌を噛んで硬直状態を解いて主を抱きかかえ、後方に走った。


「グルォォォォ!」


 ミノタウロスは、逃げる俺を追いかけて来た。

 俺は怖いと感じながらも、主を守る一心で後ろを振り向かず森の利点でを活かして逃げた。

 しかし、ミノタウロスは俺が障害となるだろうと思った木を全て、薙ぎ払って一直線に俺に向かって来た。


「クソックソックソッ」


 何で森に入った。

 何で依頼を受けようと思った。

 俺はそう自分に対して、怒り、腕の中でフルフルと震えている主を見た。

 主は未だ混乱状態で、自分で動けるような状態ではない。


「グルォォォ!」


 ミノタウロスはこちらの状況など関係なく、ただただ一直線に走って来る。

 この状況、どう打開する!?


 そう自問自答するが、現時点での策は全て効いていない。


「グルォッ!」


「グハッ!」


 遂に俺はミノタウロスに追い付かれ、背中を俺の背丈ほどある拳で殴られ、吹き飛ばされた。

 その際、俺は主が叩きつけられない様に庇い更に背中にダメージを負った。


「ご、ゴブタ君!?」


「あ、主。起きましたか、でしたら早く逃げてください。あいつは、俺が相手します」


 叩きつけられた衝撃が主にも多少行き、主は混乱状態から目覚めた。

 そして、今の現状から主だけでも逃がすと俺が判断してそう告げると、主は「だ、駄目だよ!」と反論した。


「その言葉はこの状況をよく見てから言ってください、このままだと主とも俺も命がありません。でしたら、どちらかが囮になるのが一番いいです。そして、俺は従魔です。従魔は主を守る生き物です。ですから、主逃げてください」


「い、いやッ!」


 主は俺の言葉に、反対だと言った。

 そんな俺と主のやり取りを黙って見守る程、野生の魔物は優しくない。

 今のやり取り中に開いていた少しの距離を、ミノタウロスは接近して来た。


「グルォォォ!」


「主! お願いです。逃げてくださいッ!」


「ゴブタ君ッ!」


 主に向かって攻撃を仕掛けたミノタウロスの攻撃を、俺は自身の体を使って防ぎ、衝撃で再び吹き飛ばされた。

 この状況、自分の為を思って前の主なら逃げただろう。

 しかし、今の主は従魔である俺を見捨てる事が出来ず、吹き飛ばされた俺の所に寄って来た。


「お願いです。お願いですから、主だけでも逃げてください」


「い、いやだよゴブタ君……」


「グルォ、グルォ」


 ミノタウロスは、俺と主のやり取りに笑みを浮かべ一歩ずつ近づいて来た。

 そしてミノタウロスは、俺と主の所に辿り着くと両手を上げて、叩きつけようと振り下ろしてきた。

 絶体絶命、主が逃げる隙も無い。

 そう思った瞬間、突風が吹き、目の前に居たミノタウロスがいなくなっていた。


「ハッ、情けないな小鬼。俺を後一歩の所まで追い詰めた癖に、こんな赤牛に負けそうになりやがって」


「お前、まさかあの時のウルフなのか?」


 ミノタウロスの代わりに俺達の目の前に現れたのは、銀色の毛並みをした大きな狼が居た。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ