第21話 異変・3
翌日、昨日の森には近づかない様に、反対の草原へとやって来た。
目先の目標は、主の成長と俺の進化。
その2つとなったので、積極的に討伐系の依頼を行う事にした。
「主、目的の魔物見つけました」
本日受けた以来は、草原に住むスライムの駆除。
スライムは無害な個体も居るが、それを放置していると被害が出たりするので〝スライムの駆除〟と常設依頼も出来ている。
「相手は複数体居ます。1匹に俺が減らしますね」
「うん、お願いゴブタ君」
主の魔法成功率は8割と、高い方だが失敗もする。
なので、討伐する対象が複数いる場合は、俺が1匹に減らしてから戦うと決めた。
「ピギィィ」
「悪いな、俺の養分になってくれ」
無害な相手を殺すのは、俺も少し躊躇ってしまう。
しかし、だからと言って放置すれば有害なやつになってしまうので、今ここで倒さないといけない。
そう心の中で思いながら、複数いたスライムを1匹に減らした。
「炎さん、やってください!」
主は新しい詠唱をして、魔法を発動した。
その魔法は、昨日まで使っていた火の玉では無く、火の槍だった。
「主、新しい魔法使えるようになったんですね」
「うん、なんか使えそうってなって試してみたの! 成功出来てよかった~」
主はそう言いながら、ピョンピョンと体で喜びを表現した。
それから倒したスライムの戦利品、スライムジェルと偶に落とすスライムの核を回収して、まだスライムが居ないか探索を続けた。
「……っし、主レベル上がりました!」
「えっ、本当に!?」
スライム狩りを一日続け、途中他にも魔物を倒した俺のレベルは1つ上がっていた。
晩飯を食べ、風呂を済ませた後までずっと確認するのを我慢していた俺は、その1つの数値の違いに心から喜んだ。
✤
名 前:ゴブタ
年 齢:3
種 族:鬼種・ゴブリン
身 分:従魔
性 別:男
属 性:火 無
レベル:19/20
筋 力:97
魔 力:57
敏 捷:84
運 :88
スキル:【棍術:2】 【短剣術:1】【気配察知:2】
【解体:3】 【調理:2】 【調合:2】
【忍び足:2】
固 有:【鬼狂化】
能 力
称 号:従魔
加 護:
✤
「本当だ。レベル1つ上がってるし、能力値も少し上がってるね」
「はい、ですがやはり魔法は使って無いので、筋力は6上がってますが魔力は1しか上がってません。早く、魔法スキルが欲しい所です」
使わない事には、伸びる事も出来ない。
いざ、高レベルになって魔力依存スキルが現れても、使いこなせるまで時間が掛かるだろう。
なので早く、魔力を使えるスキルが出て欲しいと切実に思っている。
「主の方はどうですか? レベル上がりました?」
「うん、私も1上がったよ~」
主はそう言いながら、突然俺にステータスを見せて来た。
俺はその主のステータスを見る前に、首をフンッと横に向かせた。
「どうしたの?」
「主、従魔のステータスを主が見るのは良いです。しかし、主が従魔にステータスを見せるのは、本当の信頼関係が出来てからでないと駄目なんですよ」
「そんなの分かってるよ? だから、ゴブタ君に見せてるんだよ? ゴブタ君の事、私信頼してるよ?」
俺はその言葉を聞いて、ハァーとため息を吐き、主のステータスを確認した。
✤
名 前:アイナ(偽装:アイナ・フォン・ベンゼルグ)
年 齢:12
種 族:ヒューマン
身 分:平民(偽装:公爵家)
性 別:女
属 性:火 水
レベル:6
筋 力:24
魔 力:48
敏 捷:21
運 :84
スキル:【使役:2】 【火属性魔法:1】【水属性魔法:1】
【魔力強化:1】【偽装:MAX】
固 有:【即時回復】【成長促進】
能 力
称 号:貴族 従魔使い 冒険者
加 護:(偽装:エナの加護 ラディアの加護)
✤
「……主、見せるならちゃんと偽装してください」
「あっ……み、見ちゃった?」
「はい、完全に見ましたよ。主が貴族な事で神様からの加護を2つも持っているって事も……」
「あはは……」
主は、俺の言葉にそんな風に反応して、ベッドに横になった。
「折角、隠してたのに~!」
バタバタと足をバタつかせ、主はベッドの上で暴れた。
そんな主の姿に声を掛ける事も出来ず、ただ主の姿を見守る事しか出来なかった。
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