第17話 元仲間達との再会・2
「そう言えば、シャロ達の他に動いてる別動隊とか居るのか?」
「えっと、確かもう一組レイナに指示を出されて、主の実家に行く別動隊が居る」
「実家……って事は、従魔使いとして有名で主の父親のルドルフさんを呼び出すつもりか……」
元主の父親、ルドルフ・フォン・ヴェンデッタ。
この人の名前は従魔使いなら、一度は聞いた事のある有名な従魔使いだ。
使役している従魔の数は少ないが、個々の強さが凄まじく、主のルドルフさんへの忠誠心も高い。
元主の父親とは思えない程、従魔使いとして立派な人だ。
どうしてあの人から、あんな人が出来たのか全く理解出来ない。
「ゴブタは、ルドルフさんに会った事あるのか?」
「一度だけな、主が初めての従魔として俺を使役した日に会ったよ。噂通りの人で、ゴブリンでまだ弱い俺に対して「ゴブリンでも強くなれるから、頑張れよ」って声かけてくれたしな」
あの言葉があって、俺は主の為に色々と頑張れた。
まあ、報われはしなかったが今の主に助けになっているから、当時の俺の頑張りは役に立っている。
「でも、ルドルフさんが来るって事は、あの主は多分もう駄目だろうな……」
「そんなにヤバい人なのか?」
「ああ、従魔使いに対しては厳しい人だよ。それを一番近くで見て来て知っている筈なのに、あの主は扱いが酷かったけどな……まあ、従魔使いとして立派になる為に親元を離れた自由な気分で馬鹿になったんだろうな」
まだ俺が従魔になった時は、俺の扱いもまだマシだった。
しかし、親元を離れ王都で半年程暮らした頃から、徐々に扱いが酷くなっていった。
そして、他の従魔が増え始めると元々俺が好きでやっていた仲間達の世話を義務化して、自分は全くやらなくなってしまった。
その後、シャロ達は王都の拠点に戻る為にギルドを出て行った。
シャロ達を見送った後、俺もギルドで本を借りてからギルドを出て宿に戻り、主の勉強の続きをする事にした。
「……ねぇ、ゴブタ君。何か悩みでもあるの?」
「どうしたんですか急に?」
勉強を再開して、10分程経った頃、主から突然そう言われた俺は主の顔をみてそう返した。
すると、主は俺の顔をジッと見つめて「やっぱり、悩みあるよね?」と再度同じ事を言って来た。
「……まあ、悩みと言いますか。ちょっと、考えている事はありますよ」
「私に話しても解決しないと思うけど、聞いても良い話だったら聞かせて欲しいな」
主は、真剣な表情でそう言った。
俺はその言葉を聞いて、少しだけ考えて今日あった出来事について話をした。
「……中々、難しい悩みだね。元の仲間達が心配だけど、今のゴブタ君には見守る事しか出来ないよね」
「はい、そうなんですよね。ここで俺が手を出そうとしても、既にギルドが動いているので元の主の破滅を止める事が出来ないですし、それによって元の仲間達の生活も変わってしまいますから……」
そう今回の事件で、一番最悪のパターンは元の主が従魔使いとしての証を消されるという事だ。
従魔使いとしての証を取り消されたら、使役している従魔は全員契約破棄しないといけなくなる。
そうなると、今のあいつらの生活も終わってしまうし、シャロ達は離れ離れになる可能性もあるだろう。
「私の所にって思ったけど、今の私じゃ沢山使役してもお金が無いし、無理だしね……」
「主に迷惑を掛ける訳にはいきませんよ。まあ、最悪あの主が従魔使いとしての証が無くなっても、父親であるルドルフさんがどうにかしてくれるでしょう。きっと……」
俺はそんな願いを口にしつつ、この話は一度終えて止まっていた勉強を再開させた。
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