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第13話 資金不足・3


 王都に戻って来た俺は、そのままギルドへと向かった。

 行く時とは違い、冒険者がそれなりに戻って来ており受付も少し並ぶ事になった。


「もう戻って来たの?」


 思ったより早く戻って来た俺に、エレナさんは少し驚いた顔をしてそう言った。


「ええ、ゴブリン相手ですからね。戦闘時間より移動時間のが長かったですね」


「……貴方って、本当に何で酷い境遇だったの?」


「まあ、元の主は従魔に優劣を付けてましたからね」


「そう言えば聞いた事があるわね。あの子は従魔にランクを付けて、下位の従魔はほぼ何もさせないって……」


 俺の言葉で、エレナさんは元主の噂を思い出したようだ。

 それから、討伐部位であるゴブリンの耳を確認してもらった。


「ええ、確かに目撃されたゴブリンパーティーの個体に近い耳ね。……これだけ優秀なのに、ほんと勿体ない事をしたわよね」


「まあ、今のが楽しいので良かったですけどね。あっ、それとこれもお願いします」


 エレナさんの溜息交じりの言葉に俺はそう返して、取って来ていた薬草等を取り出した。

 今回の採取では、珍しい薬草も見つける事が出来た。


「……えっ、これってもしかして【魔増(マジックブースト)草】じゃない?」


「はい、偶々腰を掛けた木の根元に生えていました。運が良かったです」


 俺が見つけた珍しい薬草、その名前は【魔増(マジックブースト)草】。

 名の通り、魔力を増加させる薬草でそのまま食せば魔力が上がり、草のエキスを取り飲み物に変えれば一時的に魔力が増幅する薬となる。

 現在、この草の増やし方はまだ解明されていなくて、売るとすれば金貨10枚以上は絶対にする品物だ。


「運が良いで片付けていい品じゃないわよ。これは……」


「そうですね。まあ、俺自身魔力を上げた所で今は魔力を殆ど使いませんし、主も多分お金のが必要だと思うのでギルド側で競売にかけて貰えますか?」


「分かったわ、取り敢えず大事な預かっておくわね」


「はい、よろしくお願いします」


 エレナさんに【魔増(マジックブースト)草】を渡し、それから他の薬草を売ったお金を貰った。


「それで、他にも依頼を受けるの?」


「そうですね。【魔増(マジックブースト)草】を売るので、最低でも金貨10枚以上が確定していますし、今日の所はこれで終わりにします」


「まあ、そうよね。最低で10枚だものね」


 その後、俺はエレナさんに「よろしくお願いします」と言ってからギルドの建物を出た。

 ギルドから出た俺は、そのまま寄り道せずに宿に帰宅した。


「おや、ゴブタ君おかえり」


「ただいまです。ベルマさん」


「アイナちゃんから、ゴブタ君が一人で依頼に行っちゃった~って泣きつかれたけど、何かあったのかい?」


 そうベルマさんから言われた俺は、今日の事を最初から話した。

 それを聞いたベルマさんは「成程ね」と納得して、俺の提案は正しいと言ってくれた。


「アイナちゃん、時々心配になる所があるからゴブタ君、ちゃんと守ってやってね」


「はい」


 それから俺は、二階の俺達が借りている部屋に向かった。

 一応、ノックをして扉を開けて中に入ると、主はスヤスヤと寝ていた。


「やっぱり、疲れていたか……主、まだ幼いから自分が疲れている事に、気付きにくいんだろうな……」


 あのまま依頼に行っていれば、道中で疲労で倒れていただろう。

 想像できる仮の未来に、良かったと思いながら、俺は椅子に座った。


「っと、久しぶりにナイフを使ったから、ちゃんと洗っておかないとな」


 元主から追い出された時、俺は自身の荷物は持ったまま追い出された。

 なので今俺が持っている道具の殆どは、昔から使っている。

 【魔物武器(モンスターウェポン)】と同じくらい、俺の中で大事な相棒達だ。


「ん~……あれ~、ゴブタ君帰ってたの?」


「はい、おはようございます主。無事に、怪我一つ付けずに帰宅して参りました」


 道具の手入れをしていると、主が起きたので俺はそう報告をした。

 目をコシコシと掻いて、起き上がった主は大きく欠伸をした。


「ゴブタ君に言われて宿に帰った後、直ぐに寝ちゃったんだ。ゴブタ君の言った事、正しかったよ。私、疲れて居たみたい。あの時、駄々をこねてごめんね」


「いえ、主の気持ちも痛い程分かっていましたので、謝罪は入りません」


 頭を下げる主に、俺はそう言って頭を上げさせた。

 俺は申し訳なさそうにする主に、あの後の事を報告した。

 依頼を受けて、達成して、帰りに高価な薬草を手に入れた事を報告した。


「えっ、それじゃ一日で金貨10枚以上稼いだの!?」


「はい、運が良かっただけですがね。そのおかげで、無理に金策する事は無くなりましたので、時間に余裕が出来ました」


「ご、ゴブタ君が神様に見えて来たよ……ゴブタ君、不甲斐ない主だけど一緒に頑張ろうね」


 尊敬する眼差しで俺をみる主は、ニコニコと笑いながらそう言った。


「はい、俺も未熟な従魔ですが。主の役に立つように、これからも頑張りますので一緒に強くなりましょう」


「うん! 魔法の勉強をして、私も戦力になれるように頑張るね」


 お互いにそう言った後、明日からの予定を話し合った。

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