拘束プレイ
シャルは寝転んだまま俺の方へと手を伸ばし、誘うような笑みを浮かべる。
それはわざとしているのか、あるいはただ自然とそういう振る舞いをしているのか、どちらにせよ幼い少女がするにはあまりに男の欲を刺激する仕草だ。
必死に襲うことを堪えていると、シャルは俺のそんな思考を見てとったのか、悪戯な笑みを浮かべながら瑞々しい唇に指を当てて俺に尋ねる。
「……ちゅー、します?」
もしかしてシャルは、ついに自分の魅力に気がつきはじめたのだろうか。シャルの良いところである世界一可愛いということに気がついてしまい、それを活かして俺の理性を刈り取りにきたのかもしれない。
我慢しきれずにシャルの方に手が伸びて、理性が戻ってきて手を引っ込める。
「どう、したんです? その、したくなかったですか?」
「いや、したいんだけど……勢い余って色々としてしまいそうで」
クルルやカルアがいないこと、あるいは慕っていた院長が亡くなったことで寂しいというのは確かで、その寂しさを紛らわせるために、色欲に身を任せてしまいたくなっているのは確かだ。
今の状況でキスなんてしたら……我慢が効かないかもしれない。
くいくいとシャルの手が俺の手を引いて、潤んだ瞳を俺に向ける。
「……いやがりませんよ、何をされても」
シャルのそんな言葉に惹かれて、寝転んでいるシャルに跨るようにする。いつのまにか伸びていた自分の前髪が少し邪魔に感じるが、シャルがそっと俺の前髪に手をやって邪魔にならないようにしてくれる。
押し倒したような体勢だということもあり、小さな女の子を無理矢理手篭めにしているような背徳感を覚えてしまう。
しかもそれで強い興奮を覚えてしまっているのだから救えない。
背徳感と興奮の中、シャルの唇に自分の唇を触れさせる。小さな唇は微かに湿っぽく、そのためか触れたところがくっつくような感触を覚える。
顔小さいな。唇も、鼻も、小さくて可愛い。
押さえつければ簡単に動かなくさせられるか弱い身体。
シャルの手を握って、それをベッドに押し付けるようにして拘束しながら唇を離す。
両手は俺の手に抑えられて、腰は俺が跨っているから、動かせるのは脚ぐらいのものだろうが、シャルの筋力だと脚が動いたところでこの拘束は解けないだろう。
シャルが逃げ出せず、俺から離れられないという状況に酷く興奮し、息が荒くなる。
この美しく可愛らしい少女が、自分の思う通りに出来る。その事実にどうしようもなく喜びを覚えてしまう。
薄手の寝巻き姿のシャルを見つめていると、キスで顔を赤らめていたシャルが、羞恥から顔を背けながら俺に言う。
「ランドロスさん……その、僕のこと動けなくさせるの、好きですよね」
突然、隠していたはずの俺の嗜好をそのまま言い当てたシャルに少し驚きつつも手の力を緩めずにいると、シャルはもぞもぞと体を動かそうとして諦める。
「……その、好きと言うか……なんというか」
「好きじゃないんですか?」
「……好きだし、何というか……興奮する」
シャルは俺の言葉を聞いて恥ずかしそうにしてから、ポツリと口を開く。
「あ、そ、その、いいですよ。そういう風にしても」
「……そういう風に、というのは」
「え、えと……僕のことを動かないようにしても……いいです」
シャルの言葉の意味を考え……もしかして、こう……脚とかも拘束していいのだろうか。
そういうことは良くないと分かっているし、俺もそう思う。だが、こうして許してくれていることだし、先程も隠していたことで「めっ」とされたばかりだし、ここはシャルのためにも自分に正直に……。
ごくりと喉を鳴らし、柔らかいタオルを取り出してシャルの両手を纏めるように巻いて、その上に鎖を絡ませて縛り、ベッドの上部に固定させる。
続いて脚も同じようにして動かさないようにして、シャルの顔を見つめる。ぱっと見……完全に犯罪だ。
だが、俺の手でシャルを動いたり逃げ出したり出来ないようにしたということはどうしようもないほどの高揚を感じさせる。
「シャル……痛くはないか?」
「え、えっと、痛くはないです。……その、これ……楽しいんですか?」
「…….その、シャルの意思で動けなくすると、俺のものにしたという感じがしてな」
シャルは腕の鎖をカチャカチャとさせながら首を傾げる。
「僕はとっくにランドロスさんのものですよ? ランドロスさんも、僕のものですよね」
「まぁ、そうかもしれないが……視覚的なものとしてな」
動けないシャルを見る。
小さいだけでなく、細身でもある華奢な体。例えばそれを弄り回しても、シャルは抵抗することも出来ずに俺の手のなされるままになるしかないのだ。
我慢出来ずにシャルへと顔を近づけると、シャルは縛られているからか余計に恥ずかしそうにしながら目を閉じて唇を俺に明け渡し……突然「ピンポーン」と音が部屋の中に鳴り響く。
「ひゃ、ひゃあっ!?」
驚いているシャルを宥めようとしていると、隣で寝ていたネネがむすっとした表情で起き上がり、俺に言う。
「……防音がちゃんとしているから、扉を叩いたり呼んだりしても中に聞こえないらしい。だから、特殊な呼び鈴を付けているそうだ」
ああ、さっきの「ピンポーン」は呼び鈴の音か、つまりだれか来たということか。
……というか、ネネは……ネネさんは、何で縛られているシャルを見ても何も反応をしないのだろうか。普通、起きた時、隣に手足を縛られている少女がいたら驚くと思うが……もしかして、ネネ……ずっと起きてた?
シャルの方に目を向けるとシャルも同じ結論に達していたのか、泣きそうな顔で俺に目を向けていた。
「お、起きていたのか?」
「……普通、隣でガサガサと動かれたり、イチャイチャと話していたら、嫌でも目が覚める」
全身から冷や汗が流れる。言い訳を考えようとするが、目の前にはベッドに縛り付けられているシャルがいるというどうやっても言い逃れの出来ない犯行現場である。
「ちち、違うんだ。そのな、これは…….」
「お前の変態性欲に先生が付き合わされたんだろ」
「い、いや、落ち着いて聞いてくれ、話せば分かる。ほら、俺もシャルもちゃんと服を着ているし、変なところに触ったりもしてないだろ。俺は無実だ」
「いや、全部聞いていたからな。とりあえず、先生を解いたらどうだ。誰か来たようだ」
顔を真っ赤にしているシャルの手足の鎖をカチャカチャと外していく。
「は、恥ずかしいです」
「悪い……その、変なことをさせて」
「い、いえ、いやではなかったので」
嫌ではないって、それは一体どういう……と尋ねる前に、ネネが不機嫌そうに扉の前にまで歩いて、俺達を一瞥してから扉を開いた。




