禁止
過激になった誘惑というのはどんなものなのだろうか。やっぱりなんか、こう……すごかったりするのだろうか。
俺がクルルの下着をジッと見つめていると、シャルが俺の顔をじとりとした目で見ていた。……覗きではなく、同意の元なのだから良いではないか。
クルルは興奮で少し息を荒くして、落ち着かない様子でうちももをすりすりと擦り合わせる。
目はうっとりと情欲に染まり出していて、発情の色を見せていた。……もしかして、三人の中でクルルが一番問題があるのではないだろうか。
「それで、ですね」
シャルはクルルに呆れたような表情を見せながら、白い脚の前に枕を置いて俺の視線を遮らせる。
「ちゃんと話し合ってルールを決めましょう。あと、三人のうち誰が最初に結婚するとかも大切です。そ、それと、その、えっちなことに関しても制限が必要だと思います。……クルルさんもランドロスさんもえっちなので、放っておくと際限なくしてしまいそうです」
シャルの言葉に反応したのはカルアだった。
「……シャルさんの言いたいことは分かるんですけど……あの、年齢の差も考慮するべきだと思います。二歳も違うんですから、えっちなどと言うか……その、子供を設けるのは私が二年早くてもいいと思うんです」
「……む、むむ……それは、どういうつもりですか」
「今すぐにでもランドロスさんの赤ちゃんが欲しいので、ルール作りの際に配慮がほしいということです」
俺はそれに乗り気ではないというか、するつもりはないと言っているのに……。いや、しかし、カルアの身体が成長しきったときにはシャルとクルルはまだ幼いわけで、全員がちゃんと大人になるまで待つのは……厳しいか。
クルルは驚いたような表情でカルアを見る。
「……は、早くはないかな」
「早くないです。……別に、第一子だからランドロスさんの世継ぎだとかは考えていませんよ」
「お貴族様でもないから、そういう心配をしているわけじゃないけど。……そ、その、わざわざ狙ってじゃなくても、えっちなことをしてたらいつか産まれるんじゃないかな」
「……えっちなこと、ランドロスさんが拒否するので」
カルアの声を聞いてシャルとクルルが「えっ」と声を上げる。
「ど、どういうことですか!? あの、あのランドロスさんがえっちなことをしたがらないなんてことありますか!? びょ、病気……!?」
なんでだ。普通に健康だ。
シャルは俺の股の方に目を向ける。
俺のそれはクルルの下着を見て大きくなっていた。体勢を変えることで目立たないようにしているが、流石に注目されるとバレてしまったのだろう。
シャルは顔を赤らめながら、ホッと息を吐く。
「げ、元気がないわけじゃないみたいですね」
「……そういう判断はやめてほしい。……あまり身体に負担をかけさせたくない。身体が小さいのに赤子なんて危ないだろう」
「はぁ……治癒魔法も回復薬もあるから大丈夫だと言っているんですが、この一点張りなんです」
そりゃそうだろう。もしものことがあったらと考えるだけで気が気ではない。まだまだ時間があるのに、ことを焦る必要はない。
俺の意見にシャルも賛成してくれるだろうと思っていると、悩みながらも俺の方を見る。
「……好きな人の赤ちゃんが欲しいのはよく分かります」
「えっ、しゃ、シャルはカルアの方に着くのか?」
「……気持ちが分かると言っただけです」
てっきりシャルは俺の味方をして、カルアを止めてくれるものだと思っていたので少したじろぐ。もしかして俺が間違っているのだろうか。
いや、正しいや間違いの話ではなく、可能な限りカルアに負担がないようにしたいという話だ。
クルルならきっと味方をしてくれると思って目を向けると、クルルは顔を紅潮させながら俺の方を見る。
「……え、えっと、つまり、ランドロスは赤ちゃんが出来ないことなら抵抗はないってこと?」
「……まぁ、そうだな」
「わ、私まだ赤ちゃん出来ないから……そ、その……」
…………それ、余計にダメ感強くないだろうか。いや、大丈夫なのか?
ダメだよな。ダメである。
「だ、ダメですからねっ! そんなことは、ちゃんと順序と節度を持ってじゃないとダメです!」
「そ、そうだそうだ」
「お付き合いもしていますし、これから結婚もしますし、順序は守っているかと思います」
「……確かにそれはそうなんですけど……カルアさんはいいです。少し性急ではありますが、ちゃんとしてます。問題はマスターさんです! 日中の凛々しい表情はどこにいったんですか!」
シャルはもっともなツッコミをする。……まぁ日中のマスターも好きだけど、エロいクルルも好きなんだが。
そのままシャルはカルアの方を見る。
「とりあえず、カルアさんはランドロスさんとお二人で話し合って決めてください。僕があまり口出しすることでもないですし。子育てなら多少の経験がありますからお手伝いは出来るので、任せてください。話は戻しますね」
「あ、ああ……」
「とりあえず、カルアさんは別として、僕とマスターさんはひとまず禁止です。最近はえっちなことばかりに傾倒しています。このままではマスターさんがおかしくなるのでマスターさんは禁止、そう言っておきながら僕はするというのもずるいので、マスターさんが正気に戻るまでは僕も我慢します」
……助かるような、とても悲しいような……。
「あと、マスターさんは短いスカート禁止です。僕の服を貸してあげるので着てください」
「え……で、でも、その……忙しい日頃の疲れを解消するのに……」
「そんな爛れた疲れの解消は禁止ですっ! それに、そろそろ復興作業も落ち着いてきたんですから、疲れも大丈夫でしょう」
……クルルが絶望したような表情を浮かべて俺の方に目を向ける。
いや……俺もクルルの恥ずかしい姿を見ていたいが……シャルには逆らえないし……。
「抱き合ったり、ちゅーするのは無制限で許可してあげるので、そういう普通の恋人っぽいことで癒されてください。見せて悦ぶなんて倒錯的なことに傾倒してはいけません」
「……はい」
クルルはしゅんと落ち込みながら三角座りをやめて、脚をぺたりとベッドにつける。
……今、気がついたんだが……この四人の中の力関係、もしかしてシャルが一番強いのか?
「次、結婚の順番ですけど…….。まぁ、披露宴や結婚式は別として、書類上の話はほとんど同時でいいと思います。……ですが、書類上、誰が第一妻になるかは皆さん譲りたくないところではあると思います。ランドロスさんがそれで扱いに差をつけるなんてことはないでしょうけど」
カルアとクルルの二人はこくりと頷き合う。
「……ここは、正々堂々……ランドロスさんクイズの正解率で決めましょう」
……ランドロスさんクイズ……?
力関係
ギルドの中などの場合
クルル>カルア>シャル>ランドロス
プライベートな空間の場合
シャル≧カルア>クルル>ランドロス




