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ハルカとケイ

壁にかけてある時計を見るとまだ僅か5分ほどしか経っていないが、その体感はそれよりも何倍も時間が経っているように感じ、これほどまでに時間を長く感じたことはなかった。もうすぐ彼が来る。俺が追い続けた彼が......

ハルカに関しては巷にはほとんど写真すらも出回っておらず、これほどの有名人となっているにも関わらずその人柄や人物像を窺い知ることは不可能に近かった。

ただ、ある意味これは天命のようなものなのかもしれない

普通ならば会話どころか接することも難しい参謀総長であるレナとこうして話し、一番側で見てきたであろうハルカについてもそれなりの証言を聞き出せた。

そして今からはその当の本人に会える。レナから出たミツキという教師の存在やそれをハルカ自身が死に追いやったと見ているかつて同じ高校に通っていた男........名はコウというらしい.....とは何者だったのか。

それを直接確かめることができるのだ。


「入れ。面会だ」

そうこうしているとガラスの向こうにある部屋の一つの扉が開かれ、そこから一人の男がのそのそとその部屋に入ってきた。髪は長く前髪は目にもかかる勢いで服もよれよれであり、微かに覗ける表情はこちらを魅了し、引き込んでしまうような....そんな感覚に襲われた気がした。


「レナ.....この方は?」

まるで同じ作業を繰り返すように容量良く置いてある椅子にサッと座り、何度も面会しているレナに俺のことについて尋ねていた。

レナは俺について軽くハルカに紹介し、ハルカが起こした事件について追っていることを話した。

ハルカは表情一つ変えずに身を引いて背もたれをし、

俺の目をジッと見つめてきていた。その漆黒の瞳には言い表せない圧のようなものを感じ、油断するとこちらが飲み込まれてしまいそうになる。

レナの話から聞いていた印象とは真逆の存在。

それが俺の今目の前で見ているハルカに抱く印象だった


「でしたら....俺からも一つ聞いていいですか?」

ハルカはその目を離さずに逆質問のようなものをこちらに向けてきた。


「そのことを追って......あなたはその先に何をするんですか?」

その時、何か全身をゾワッと駆け巡る感覚に襲われた。

ハルカのその言葉は俺の中にあったこの事件を追っていた

根拠のようなものが音を立てて崩れていくような......

俺はただ、呆然とその黒い深淵を覗き込むことしかできないでいた......







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