誘拐
ミナトたち一行は森での休息を終えると、数日のうちに
近くの街へ辿り着き、次の街に向かうために駅へと向かっていた。
「それにしてもすごい人だね〜トウの市場にも負けず劣らずな感じ」
「まあな。ここら辺は西部と帝都の中間地点に位置して
物流の波で全土から色んな奴らが来るからな。
帝都につぐ第二の近代的都市と言ってもいいだろうな」
僕に対してケイはこの都市キルについて説明してくれた
改めてケイのこの世界のことについての博識具合に
僕は感嘆していた。
ケイが第二の都市と言ったキルという街は建物の多くは
煉瓦造りで、馬車なども多く走っており、
道路には活気に溢れていることを現すように人がぞろぞろと歩き、道の脇にある店の至る所にも客が溢れるほど
押し寄せていた。
その道の真ん中には2階建の巨大な駅が聳え立ち、
駅を象徴するような時計がデカデカと備えられていた
ケイによるとこの駅は帝都に初めて国有鉄道の駅が完成した次に作られた2番目に古い駅らしい。
「じゃあ、俺はとりあえず切符買ってくるから、お前らはどうする?」
「私はちょっと買いたいものあるから売店の方に行ってるかも。サクとミナトはどうする?」
「僕はトイレに行くんつもりだけど。すぐそこだし」
「俺はここで待つことにする」
各々がそう言うとサクが今待っている場所に集合することとし、僕たちは別行動を取った。
僕が向かったトイレはみんなと別れたところから5〜6分ほどのところで駅からもそう遠くはなかった。
「あれ、誰もいないや」
入ってみるとあの駅近くのトイレとは思えないほどの静かさで誰一人おらず、僕はむしろ誰もいないことはすぐに
用事を済まされるし、好都合とさえ思った。
僕は少し奥のトイレを使うために歩を進めた。
「悪いな坊や。少し眠ってもらうよ」
突然、後ろからそのような声が聞こえたと思ったその時には僕は暗がりの世界へと意識が飛んでいった......




