仕掛け
私はすぐさま、行動に移した。
後ろにある壁に背中を預けることで仮面の人物の現れる場所や攻撃する地点も限られてくる。
この方法ならなんとか戦えるかもしれない。
そんな淡い期待が私を覆っていた。
「.........」
この静寂の中に私の心臓の音が外に聞こえてしまうのではないかというほどに私の中ではそれが鳴り響き、
緊張の波が体中に押し寄せていた。
「ハァ!!!!!」
「!!!!!!」
仮面の人物は私の真上におり、杖を突き下ろし、
私はそれを刀で振り払った。
タタタタタタタタッ
私は急いで走り、別の壁へと移動した。
だけれど、これで攻撃パターンはある程度把握できた。
私が視界で捉えられないのは真上の天井。
それ以外はこの部屋を一望でき、すぐに気づくことができる。
「フフフフ......あなたも中々考えましたな」
そして、フッと仮面の人物は私の目の前に姿を現した
「ならば....私も正面からあなたと戦うことにしましょう」
そして、杖を取り出し、私は初めて仮面の人物が分身する姿を目撃した。仮面の人物は3人に増え、
それぞれ、爪型の武器、縄状の武器を持っていた。
私も刀を構え直し、炎を出すタイミングを伺っていた。
あの汽車での戦いから少しばかり炎を操れるようになった気がしていた。
「ハァ!!!!」
そして、3人は一斉に私のところへ襲いかかり、
私は少しばかり刀を振り、その3人は雲散霧消するように
影も形もなくなって消えていった。
私は壁から背中を離し、少しばかり前に歩みを進めた。
仮面の人物が現れる前の静けさに逆戻りとなり、
時間が巻き戻ったような感覚を私は覚えていた。
「どこ行ったんだろ.........」
あれ.....おかしい.....まるで誰もいないような静かさなのに
やっぱり、何かを感じる。何か背後に.....
私は後ろを振り返った。
「!!!!」
「おっと。バレてしまいましたね」
私は咄嗟に壁の方へと走って行った。
そして、先ほどと同じように壁側に背中をピッタリとくっつけた。
「うわぁ!!!!!!!」
しかし、その壁は私を押さえつけるようにして
この部屋に迷い込んだ時のように回転し、
私の視界は再び黒一色に染まることになった......




