プロローグ:シーラの親友
連載再開です~
よろしくお願いします
※クラースに関して
書籍化にともない、1章ラストを少し修正してクラースが一緒に旅をすることになっております。
世界で一番強い魔物が生息しているといわれている、『常夜の森』を一人の少女が抜けた。
宝石のようにキラキラ輝いている黒の髪と、赤色の瞳。外見年齢は十代半ばと幼そうに見えるが、彼女から感じる強い魔力は長い時を生きていることを感じさせる。
和風テイストの黒いドレスを見に纏い、さてどちらに行こうかなと前を見据えた。
「せっかくシーラに会いに行ったのに、旅に出てたなんて」
ふうとため息をついて、入れ違いなんて運が悪いと少女は思う。
「……って、あれ? 精霊たちが戻ってきてる」
少女は周囲を見渡して、あれっと首を傾げた。
シーラに会うため村に向かっていたときは、確かにこの周囲は精霊たちがいなかったはずだ。それなのに、帰ってきた今は精霊たちが存在している。
すぐ、原因に思い当たった。
「あ、そうか! シーラが何かやったんだ」
間違いない。
何十、何百年もの間、この地には精霊がいなかった。それを、この短い期間で人間が解決できるとはとてもではないが思えない。
つまり、旅だったシーラがさっそく何かをしたということになる。
「ふふっ、シーラは相変わらずみたい! 早く会いたいなぁ~」
思わずスキップをしてしまうほどだ。
少女がすっと手を挙げると、突然明るかった大地に影が差す。雲が流れてきたのだろうか……なんて、みたひとは思うかもしれない。でも、実際はそうではない。
少女の頭上には、体調10メートルほどの大きなドラゴンがいたのだ。
「いい子」
ドラゴンが静かに降り立ったのを確認して、少女はその大きな体を優しく撫でる。
「シーラに会いたいから、捜すのを手伝ってくれる?」
『ぐるぅ……』
「ありがとう!」
ドラゴンは頭を下げて、少女に自分の背中へ乗るように示す。シーラがいる場所を探すために、空を飛んでくれると言っているのだ。
少女はその見た目からは考えられないようなジャンプ力で、ドラゴンの背中に飛び乗る。すると、ドラゴンは大きな翼を羽ばたかせて空へと舞う。
「シーラ、待っててね! 親友のピア様が会いに行くから!」
今月25日に書籍が発売となります。
特典SSやサイン本の情報を活動報告に載せました、よろしくお願いします。




