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腹ぺこエルフさん放浪記  作者: (=`ω´=)


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169/180

愛知県岡崎市。自然食レストランのランチビュッフェ。

 少し探し回った末、タスッタさんは矢作川のすぐ近くにあった喫茶店風の外観をしたお店をようやく見つけることができた。

 周辺に駅も繁華街もないような場所では、飲食店を探すのも苦労する。

 そういう時は食事を抜きにするか、別の場所に移動してから改めて飲食店を探す、あるいはコンビニのイートインを利用する、などの手段に訴えるしかない。

 それはそれで構わない気もするのだが、タスッタさんとしては少し寂しい。

「このお店は」

 看板のないお店の前まで来たタスッタさんは、そんなことを考える。

「なんのお店、なんでしょうか?」

 駐車場に車が何台か停車していて、お店の中では人の気配もする。

 開いていることは確かだったが、なんのお店なのかよくわからなかった。

 よく整備された庭木が印象的で、三角屋根の洋風の店構え。

 入口の上に店名が書かれた看板が出ており、それとは別に入口の横に「Welcome」とだけ書かれた看板が出ている。

 ただ、その店名からは、どんな料理を出すお店であるのかは判断できない。

「入ってみてから確認しましょうかね」

 と、タスッタさんは思い切り、そのまま扉を開けて中に入る。

 お客さんの入りは、七割ほどか。

 時間帯にしては、入っている方だと思う。

 タスッタさんの姿を認め、すぐに店員さんが近づいてきて、空いている席へと案内してくれる。

「当店ははじめてですか?」

 と確認された後、蕩々とこのお店のシステムを説明された。

 一品料理も頼めるけど、この時間帯はランチビュッフェを注文する人が多い。

 ビュッフェは定額時間無制限で、ビュッフェを注文された方はプラス五十円でお好きなラーメンを追加注文することができる、うんぬん。

「では、そのビュッフェをお願いします」

 一通り説明を聞いてから、タスッタさんはすぐにそう注文をする

 ランチとしては少し高めの値段ではあるが、ビュッフェとしてみるとむしろ安めの値段でもある。

 食べ物だけではなく、かなり種類が多い飲み物まで自由に飲めるというから、特に不満も感じなかった。

 それよりも。

 タスッタさんは、まずざっと店内を見回してから、そんな風に思う。

 お店の壁や置いてある料理のそばに、注意書きやポップがたくさん用意してあった。

 それによるとこのお店は、無農薬とか農薬をあまり使わない素材を売りにした、自然食のお店であるらしかった。

 外見から受けるよりもお店の中は明るく、清潔で広い。

 平日の昼下がりだというのに、家族連れが多かった。

 まずは、なにか食べましょうかね。

 席に荷物を置いて、タスッタさんは料理が陳列されているカウンターの方へと移動する。

 料理の種類は多かった。

 和洋中、なんでもあったが、強いていえば中華系の点心などが多い、かな。

 まあ、適当に。

 タスッタさんはお皿をいくつかトレーの上に乗せ、ナスのしそソース、すき昆布の煮物、きんぴらゴボウ、手巻き寿司、焼き餃子、バナナのグラタンなどをそのお皿に乗せていく。

 飲み物は無難に、ウーロン茶をコップに注いで同じトレーに乗せて、持ち帰る。

 そして最後に、お椀の中に玄米のお粥を入れて、一度自分の席へと戻った。

 いろいろな料理を試したかったので、一品あたりの量はかなり加減している。

 タスッタさんはまずレンゲを手に取ってお粥を一口啜り、その後、すき昆布の煮物やナスのしそソースを試してみる。

 ナスのしそソースはいわゆる揚げ浸しであり、しその風味が揚げたナスによく染みこんでいて、とてもおいしかった。

 ナス自体が、かなりしっかりした自己主張をしていて、ちょうどいい歯ごたえになっている。

 材料がいい、のかな。

 と、タスッタさんは思う。

 すき昆布の煮物やきんぴらゴボウなどの副菜も、たいへんにおいしかった。

 派手さがない素朴な料理だったが、どちらも堅実においしい。

 餃子も、うん、普通においしい。

 どうしましょう。

 と、タスッタさんは思った。

 どの料理も、おいしい。

 食べる前には正直少し警戒していたバナナのグラタンも、少し冷めかけていたが、想像していた以上においしかった。

 ホワイトソースが甘さ控えめで、バナナの甘さをよく引き立てている。

 これは。

 と、タスッタさんは思う。

 もっといろいろ、試してみませんとね。

 最初に持って来た料理を一通り食べ終えたタスッタさんは、空いた食器を返却棚に返してから第二陣の料理を取ってくる。

 ジャージャー麺とチャーハン、麻婆豆腐、お好み焼き、カボチャの煮付けと湯葉、杏仁豆腐。

 やはり、中華寄りのお店なのかな。

 食べ進めながら、タスッタさんはそんなことを思う。

 チャーハンと麻婆豆腐の味付けが、なんというか非常にしっかりしていた気がする。

 ジャージャー麺も、ピリ辛のソースが非常においしい。

 湯葉は、豆乳の鍋が用意されていて、そこに箸を入れて自分で掬う形で提供されていた。

 物珍しさも手伝って試してみたわけだが、豆乳自体が新鮮なのか、これも想像以上に、いい。

 お好み焼きも、生地の山芋が多めで、ふっくらと柔らかく焼きあがっていた。

 なんか本当、なにを食べてもおいしいですね。

 どうしようどうしようと思いつつ、二陣目を完食したタスッタさんはまたすぐに料理を取りにいく。

 今度は、冷奴にいきましょうか。

 湯葉が想像以上においしかったので、豆腐系の料理に興味を引かれた。

 冷奴と、それに、デザート系。

 杏仁豆腐も、あれは多分手作りだった。

 だったら、他のデザートも期待ができる。

 ニンジンの羊羹、手作りヨーグルト、レモンういろう、豆乳プリン、おからのクッキー、蒸しただけのニンジンとジャガイモ。

 レモンういろうとニンジンの羊羹は、このお店ではじめて口にした料理だったが、甘さ控えめで素材の味が濃い。

 豆乳プリンとおからのクッキーは無難な味だったが、蒸しただけのニンジンとジャガイモが意外なほど味わい深かった。

 あ、素材の味。

 と、一口に入れた途端、問答無用で攻めてくる印象がある。

 凝った料理法に頼らなくても、素材のよさを引き出せば、ここまでおいしくなるかあ。

 と、タスッタさんは改めて思い知らされた。

 店内に表示されているポップなどによれば、このお店で使われている材料は、ほとんど契約農家から直に買い入れているものなのだそうだ。

 ここまで拘っていれば、当然の味わいなのかも知れない。

 タスッタさん自身は、無農薬とか自然派食品に関しては、そこまで思い入れがあるわけではなかったのだが。

 このお店の方針と味は、本物だ。

 と、そう確信をする。

 こういうお店も、あるところにはあるものですね。

 などと、タスッタさんは思う。

 次は、なにを食べましょうか。

 


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