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腹ぺこエルフさん放浪記  作者: (=`ω´=)


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159/180

和歌山県紀の川市。カフェのスパイスチキンカレーセット。

 JR下井阪駅から少し歩いた場所に、そのお店はあった。

 小さな、あまり目立たない店構えで、ともすればうっかり見過ごしてしまいそうになる。

 マンションの一階部分にテナントとして入っているからか、目立たないお店ではあった。

「雑貨屋さんも兼ねている、わけですか」

 たまたま見かけたそのお店に、タスッタさんは入ってみる。

 お昼には少し早かったが、よさそうな雰囲気だったらここでお昼にしてもいいと、そう思った。

 お店の中に入ったタスッタさんは、あまり広くはない店内をさりげなく見渡す。

 白を基調とした内装と木製の什器の、おしゃれな雰囲気のお店だった。

 雑貨、といっても生活必需品ではなく、レザーのアクセサリなどの小物類など、趣味っぽい物が置いてあるお店であるらしい。

 若い女性向け、なんでしょうね。

 と、タスッタさんは推測する。

 そうした小物がおいてあるスペースは面積的にあまり広くはなく、どうやらカフェスペースの方がこのお店のメイン業務であるらしかった。

 タスッタさんはそのまま素直にそのカフェスペースの方に歩いて行き、空いていた席に座る。

 まだ時間は早いせいか店内の席は半分以上は空いていて、近くにいた店員さんがすぐにお冷やを持ってタスッタさんのところにまでやって来る。

 ゆったりとした、いい雰囲気のお店に思えた。


 さて、どうしましょうかね。

 日替わりビストロランチセット、スパイスチキンカレー、サンドイッチ、季節のキッシュセットなど。

 意外に本格的というか、メニューが豊富なお店だった。

 もちろん、ケーキなどのデザート類も充実している。

 値段設定は少々高めに感じたが、長時間、ゆっくりとくつろぐのには、いいお店かも知れない。

 そんなことを思いながら、タスッタさんは注文するべき料理をどれにするのか、真剣に考えはじめる。

 メニューの写真で見る限り、料理の方もそれなりに手が込んだ物を出すお店のようだ。

 雰囲気本位のお店にありがちな、暖めた物を出すだけ、というお店ではないらしい。

 どれを頼んでも、おいしそうなんですけどね。

 と、タスッタさんはメニューを眺めながらそんな風に思う。

 ただ、どれも意外にボリュームがありそうに見えることが気になった。

 普通なら、迷った場合は日替わりを頼むところなんですが。

 写真の中の、「日替わりビストロセット」は、品数も、単品あたりの量もかなり多く見える。

 今は、そんなに多くは要らない気分、ですかね。

 さっと食べられて、あまりお腹に溜まらない物を。

 そうすると、サンドイッチか、キッシュか、フレンチトースト。

 あ、ピタセット、なんてのもありますか。

 どうしようかな、と、タスッタさんは本格的に悩みはじめる。

 そんな風に悩んでいたタスッタさんの元に、どこからかいい香りが漂ってくる。

 あ、カレーの香り。

 と、タスッタさんは思う。

 お馴染みの、ブレンドされたスパイスの香り。

 この香りがここまで来るということは、このお店のカレーはレトルトではないということだ。

 と、思う。

 ちょうどいいかな、とタスッタさんは思い、店員さんを呼んでスパイスチキンカレーと飲み物のセットを注文する。


 しばらくして、スパイスチキンカレーのセットがタスッタさんの目前に提供される。

 ガレー自体はごく普通の外観だったが、いっしょについて来たサラダの小鉢が予想よりも大きいように思えた。

 飲み物は、アールグレイを頼んだのだが、これまた想定外のことにカップではなくポットで給されている。

 まあ、カフェですからね。

 と、タスッタさんは納得をする。

 こういうところに拘りがあるんでしょう。

 タスッタさんはスプーンを手にして、カレーを一口食べてみる。

 スプーンを口の中に入れると、予想していたよりも強い香りが鼻孔を抜けていった。

 最初のうち、辛さはあまり感じなかったが、徐々に口の中がじんわりと熱くなってくる。

 辛さが控えめなのではなく。

 と、タスッタさんは思う。

 辛みの成分を脂肪分で包んでいたので、最初の内は辛みをあまり感じないタイプのカレーですね、これは。

 風味からいって、このカレーにはココナツミルクが使われているはずだ、と、タスッタさんは予想する。

 欧州風ではなく、アジアとかタイ寄りのカレーになる、のですかね。

 と、タスッタさんは心の中でそう断定した。

 辛さよりも香りを重視したカレーであることは、確かだと思うのだが。

 実際、味は普通に思えたが、それ以上に香りの印象が強いカレーだった。

 これは、これで。

 タスッタさんはそんな風に思いながら、カレーを食べ進める。

 ついてきたサラダは、野菜がおいしかった。

 おそらくは、近くで採れた物を使っているのではないか。

 タスッタさんは、そう予想する。

 酸味が効いたドレッシングもいいアクセントになっていて、サラダの存在感が添え物のそれに収まっていない。

 野菜がおいしいお店、なんですね。

 と、タスッタさんは、食べながらそんな風に納得をする。

 アールグレイの紅茶も、適度に渋みが強くて、カレーの後味によく合った。

 カレー、サラダ、紅茶。

 一見普通のようでいて、それぞれにしっかりとした個性を主張している。

 凝りすぎているわけではないが、それぞれ丁寧に作られていると、タスッタさんは感じた。

 いいお店、ですね。

 と、タスッタさんは心の中で結論する。

 内装とか雰囲気だけではなく、飲食物がきちんと工夫されて、それなりに深い印象を残すようになっている。

 それでいて、自己主張が強すぎることもない。

 雰囲気もですが、いろいろな面でバランスがいいお店だな、と、タスッタさんは思う。


 タスッタさんがカレーセットを食べ終えた頃、ちょうどお昼の時間になったのか、急にお店が混みはじめる。

 タスッタさんは伝票を手にして席を立ち、会計を済ませてそのお店を後にした。

 いいお店だったな、と、タスッタさんは思う。

 次に来る機会があれば、もっと混まない時間帯を狙って、ゆくりとお茶でもいただきたいお店だった。

 再びこの土地に来る機会が今後訪れるのかどうか、それはタスッタさん自身にもわからなかったが。

 そんなことを考えながら、タスッタさんは足早に次の目的地へと向かう。



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