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腹ぺこエルフさん放浪記  作者: (=`ω´=)


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146/180

岩手県大船渡市。レストハウスの大船渡さんまらーめん。

 JR小友駅から四キロほど歩いた場所に、コンクリート造りで二階建ての建物があった。

 かなり広めの駐車場も備えており、完全に郊外型の店構えといえる。

 背が低い割には床面積が広そうに見えて、

「こんな場所でこんな立派なお店を建てて、営業的に大丈夫なんでしょうか?」

 などと、タスッタさんはかなり失礼なことを考えてしまう。

 このあたりは、スマホの地図によれば碁石海岸付近、ということになるらしい。

 天気がよければそれなりに展望がよかったのかも知れないが、この日はあいにく小雨がぱらつく、薄暗い空模様だった。

 とりあえず、他にお店もないようですし。

 と、タスッタさんは思う。

 入ってみましょうかね。


 中に入ってみると、入り口に入ってすぐの場所が土産物やなにかの売り場になっていて、地元産の海産物などもここで買えるらしかった。

 なるほど。

 と、タスッタさんは思う。

 観光客向けの売店も兼ねているわけですか。

 それならば、この建物の大きさにも納得がいく。

 しかしタスッタさん自身はここで荷物となる土産物を購入するつもりはなく、すぐにその場から視線を逸らす。

 少し奥まった場所に赤い幟が設置されており、どうやらその先が飲食をするコーナーであるらしかった。

 この位置から見える範囲内では、席は半分ほど埋まっている状態で、ほどよい盛況ぶりといえる。

 平日の昼間ですもんね。

 と、タスッタさんは思う。

 これでも、人が入っている方だろう。

 タスッタさんはそのままそこに移動をし、そのままテーブルが並んでいる一角に入っていく。

 さりげなく周囲を確認するとこうした場所によくあるセルフサービス式のお店ではなく、普通に店員さんが各テーブルで注文を取る方式であるらしかった。

 タスッタさんは空いていたテーブルのひとつに腰掛け、テーブル上に置かれていたメニューを開いた。

 うにとめかぶ丼、か。

 真っ先に目に入った写真を見て、タスッタさんは思った。

 どうやらこれが、このお店の推しメニューであるらしい。

 港が近いから、海産物が売りになりますようねえ。

 そんなことを思いつつ、タスッタさんはメニューのページをめくり、そこで手も止めた。

 え?

 と、思う。

 さんまらーめん。

 サンマとラーメン。

 出汁を取るとかそんな間接的な関わりではなく、一尾まるごとのサンマがどーんとラーメンのどんぶりにのっかっている写真が、目に入ったのだ。

 この組み合わせは。

 と、タスッタさんは思う。

 あり、なんでしょうかね。

 写真で見る限り、サンマはそのまま焼いた物ではなく、なんらかの加工をしたものらしく飴色になっている。

 みりん干しにでもすれば、こんな色合いになりますかねえ。

 つまりは、サンマ自体にかなり味がついていることで、そんな状態のサンマが、ご飯ならばともかく、ラーメンと合うのかどうか。

 むむむ。

 と、タスッタさんは少し悩んだ末、そのさんまらーめんを頼むことにした。

 食べないであれこれ推測するよりは、実際に口にしてみればすっきりすると、そう判断したのだ。


 注文を通してからしばらく、十分以上も待たされてしまった。

 特に空腹でも急いでもなかったのでそれは別にかまわないのですが。

 と、タスッタさんは思う。

 ラーメンは、基本的に調理に時間がかからない料理ですから、つまりはサンマの部分で時間がかかっている、ということなんでしょうねえ。

 今回の場合は。

 おそらくは、注文を受けてから焼きはじめているのだ。

 結局、十五分ほど待たされた後、ようやく店員さんがトレーを抱えてタスッタさんのテーブルへとやって来る。

 メニューの写真で見た通り、ラーメンのどんぶりの上に、どんぶりからはみ出る勢いでどーんと乗っている飴色のサンマ。

 それに、小さめの茶碗に盛られたライスもついてきた。

 どうやらこのライスは、メニューの中に含まれている物らしい。

 では、いただきます。

 タスッタさんは箸とレンゲをとって、まずはレンゲでスープを一口啜る。

 醤油ベースの、かなりオーソドックスなスープだった。

 格別にうまいというわけではないが、おいしくないわけでもない。

 まあ、普通、ですよね。

 と、タスッタさんは結論する。

 無難な味、といい換えてもいい。

 それから、サンマを少し箸で寄せてから、麺も啜ってみる。

 これも。

 と、タスッタさんは思う。

 特筆するべき特徴もない、ごく普通の、なんの変哲もない中華麺に思えた。

 つまり、ラーメンに関しては、普通。

 問題は。

 タスッタさんは意を決してサンマの身を箸で少しほぐし、その身を食べてみる。

 やはり。

 と、タスッタさんは思う。

 見た目から想像ができた通り、かなり濃いめの味がすでについていた。

 これ単体で食べるのならば、あるいは、ご飯のおかずとして食べるのならばまったく問題がないのですが。

 ですが、ラーメンの具としては、これはどんなもんだろう。

 そう思いつつ、タスッタさんは試しにほぐした身をレンゲに入れて、そのレンゲにスープを浸していっしょに食べてみた。

 うーん。

 やはり、微妙に思える。

 なんなんでしょうね、これは。

 そう思いつつ、タスッタさんはとりあえずそのサンマはしばらく無視して、ずるずると麺とスープを食べ続けた。

 これはこれで、普通においしいんですけれどね。

 麺とスープがある程度減ったところで、タスッタさんはついてきたライスとサンマを食べる。

 この組み合わせも、決して悪くはない。

 というか、普通においしい。

 サンマの身が半分ほどなくなったところで、タスッタさんは残っていた身を箸でほぐして麺といっしょに混ぜ、その状態で啜ってみた。

 ああ、こうすると。

 うん。

 サンマの脂がスープと混ざって、いい具合に味が変わりますね。

 最初から、こうして食べればよかったのか。

 いや、でもそれなら、まるごとどんぶりの上に置くのではなく、最初からほぐした身をスープに入れておけばいいだけのことなのでは?

 なとど疑問をいだきながら、タスッタさんはさんまらーめんを完食する。

 決して、おいしくない、わけではないかったのですが。

 と、タスッタさんは、釈然としない気持ちを抱く。

 なんでしょうか。

 この不完全燃焼感は。

 微妙な気持ちになりながら、タスッタさんはそのお店を後にした。



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