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腹ぺこエルフさん放浪記  作者: (=`ω´=)


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137/180

埼玉県さいたま市大宮区。タイ料理店のグリーンガパオセット。

 西と北でかなり大きな自然災害が起きたばかりだったが、ここ関東周辺部は平穏そのものだった。

 不穏に感じるところがあるとすれば、かなり雲が厚い空模様で湿度が高いことくらいか。

 それでも予報では、今日からしばらくは降る予定はないとのことだった。

 ここ大宮の駅前は首都圏の中でもそれなりに賑やかな場所のひとつであり、まだ昼前だというのにかなりの人で賑わっている。

 タスッタさんはすでに午前中にあった要件をひとつ済ませ、その後、夕方に予定されている約束のために同じ埼玉県の某所へと移動をすることになっていた。

 次の目的地までへの移動時間は一時間前後でしかなく、それまで半端に時間が空いてしまっている。

 少し早いけど、ここでお昼にしましょうか。

 などと、タスッタさんは思う。

 移動中に食べてもいいのだが、せっかく賑やかな場所にいるのだからそれを利用しない手はない。

 ある程度大きな駅の前には飲食店も集まる傾向があって、この大宮もその例外ではなかった。

 時間があることもあり、タスッタさんは、まずは駅の周辺を軽く一周してみた。

 結果、

「まあ、普通の駅前ですよね」

 チェーン店、個人営業のお店を問わず、飲食店もかなり見掛けた。

 タスッタさんが求めるのは、主に後者になるわけだが。

 それも、個性的なお店がいいですね。

 と、タスッタさんは思う。

 となると、やはりあそこにしますか。

 心の中で自問自答し、すぐに結論を出す。

 あんまり迷っていても混雑する時間帯に突入してしまうし、それに、外れのお店だったらそれはそれで思い出にはなる、という思い切りもあった。

 入るべきお店を決めた後のタスッタさんの行動は早かった。

 速やかに記憶をたどって印象に残っていたお店がある場所まで移動をする。

 この場合、駅からすぐ近くにあるタイ料理店だった。

 そのお店の前を通りかかかった時、

「そういえば、タイ料理もしばらく食べていませんね」

 とか、思ってしまったのである。

 外出先で食事を求める機会が多いため、タスッタさんの食生活は単調な物になりがちであった。

 そのため、目先が変わったお店を見掛けたら積極的に入るようにしている。

 今では日本人以外の人がお店を構えることも珍しくはなかったが、そのお店もきっとそうだろう。

 タイ国籍の人が経営しているのかどうかまではわからなかったが、お店の外観とか雰囲気で、なんとなく日本人が経営するお店かそうでないのか、タスッタさんは察しがつくようになっていた。

 そうした国民性というのは、雰囲気や色使いのセンスなどに、微妙に反映されているようなのだ。


 そのお店に戻って中に入ってみると、思った通り微妙なアクセントで、

「いらっしゃいませ」

 と店員さんに挨拶をされた。

 テーブル二つにカウンターのみの小さなお店で、時間が早いせいかお客さんはまだテーブル席の一つを占有している一組しかいない。

 タスッタさんは店員さんにカウンター席へと案内され、そこの卓上においてあったメニューを早速開く。

 オーソドックスに、ガパオライスにいきますか。

 それとも、タイカレーか。

 そんなことを考えつつタスッタさんがざっとメニューに視線を走らせていると、その途中、ある一点で視線を止める。

「グリーンガパオセット」

 どうやら、ガパオライスにグリーンカレーがついたセットメニューであるらしい。

 そうか。

 それならば、迷わないで済みますね。

 と、タスッタさんは思い、店員さんを呼んでそのまま注文をした。


 あまり込んでいないこともあって、頼んだ物は五分くらいで出て来た。

 上に目玉焼きが乗っかったガパオライスとグリーンカレーがいっしょに盛られた一皿と、それに小鉢のサラダとスープがトレーの上に乗っている。

 タスッタさんはスプーンを手に取り、まず最初にスープに口をつけた。

 熱い。

 いやちょっと、熱すぎる。

 味がわからないくらいに、熱かった。

 これは少し、冷ましてから食べた方がいいですね。

 そう判断をしたタスッタさんは、次にガパオライスを試すことにした。

 目玉焼きはまだ潰さずに、まずはライスの方を食べてみる。

 ん。

 しっかりとチキンの味が染みた、タスッタさんもよく知る味だった。

 量が少なめなような気もしたが、セットメニューであればこんなものだろう、とも思う。

 とにかく、ガパオライスは普通においしかった。

 その次に、タスッタさんはグリーンカレーをスプーンの先でほんの少し掬い、香りを愉しんでから舐めてみた。

 香りは、流石に鮮烈だったが、味はさほど濃くない。

 というか、想像していたよりも辛くない。

 日本人向けに、マイルドにしているのでしょうかね。

 タスッタさんは、そう思う。

 無論、辛さが控えめであっても香りは十分に効いているし、タスッタさんとしても文句はなかったが。

 この辛さならば、ライスの方といっしょでなくても、十分に単独で食べられますね。

 そう思ったタスッタさんは、もう少し多めにスプーンでグリーンカレーを掬い、試しに食べてみる。

 後からじんわりと効いてくる辛さ、などという物はなく、やはり普通に「あまり辛くはないカレー」であるようだった。

 それならそれで。

 と、タスッタさんは思う。

 おいしくない、というのだったら問題かも知れないが、このグリーンカレーは、辛くはないものの、十分においしい。

 タスッタさんとしても、別に問題には思わなかった。


 実際に完食してみると、少量に思えたその料理は、食べた直後にかなりの満腹感を訴えてきた。

 追加でもう一品、とか頼まなくてよかった。

 と、タスッタさんは思う。

 見た目の量と実際に食べた感触とかここまで食い違うのも、珍しい。

 カレーはもともとカロリーが高い料理なのだが、それに加えてガパオライスもいっしょに食べているのだから、当然といえば当然なのかも知れないが。

 ガパオライスは、つまりは炊き込みご飯なわけであり、ご飯の中には別に素材のエッセンスをたっぷりと吸い込んでいるのである。

 栄養満点、満腹して当然、ですか。

 タスッタさんはそんなことを思いながら会計を済ませて、そのお店を後にする。

 満腹したから、というわけでもないが、なかなか満足度の高い食事だった。

 どこかでお茶でも飲みながら休憩したかったが、その頃にはぼちぼち昼休憩の時間に突入しており、飲食店は混み合っているだろう。

 とりあえず電車に乗って次の目的地へと向かいつつ、どこか適当な場所でお茶でも飲みますか。

 そんなことを思いつつ、タスッタさんは大宮駅へと向かう。



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