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幕間 再生リスト

■配信日:2024年9月22日

■配信タイトル:『文化祭の準備中』


 ユア達いつもの6人が、学校の教室で衣装を作ったり小道具を作ったりしている。


「今日は文化祭の準備を見せるね! シンデレラの演劇をやるんだ〜!」


 カメラに向かって金髪ロングの可愛らしい高校生、ユアが手を降っている。

 床にレジャーシートを引いて、細々とした物に色を塗っているらしい。

 机にミシンを乗せたレイが、慣れた手つきで布を縫っているのが見える。

 マホは完成に近い衣装の、装飾部分を担当している様だ。王子様風の衣装にカフス等を付けている。

 男性陣とユアは、小道具を担当しているらしい。ユアはブーケの担当らしい。


「私達は出ないんだけどね、シンデレラも王子様も美男美女だよ」


 楽しそうに文化祭の準備を進めて行く彼女達は、青春を満喫している。

 こんな日々を毎日送っているのだろう。それが伝わって来る映像が流れていく。



■配信日2024年10月2日

■配信タイトル:『重大発表があります!』


 いつもの様にユアの挨拶からではなく、ユアとミナトの2人が最初から映っている。


「え〜と。その、今日は皆さんに発表する事があります」


 いつもと違い、少し照れ臭そうな表情でユアが話を始めた。

 チラチラと隣に居るミナトを見ながら、言葉を続けていく。


「まあ何だ、だからその…………俺達は付き合う事に決めました!」


 ミナトがユアに続いて、自分達が恋人同士になった事を報告していく。

 怪我でバスケットボール部を引退せねばならず、酷く落ち込んでいたミナトを、ユアが献身的に支えたのだという。

 それが7月の事で、確かに夏はミナトの出演が少なかった。どうやらそれが理由だったのかと、視聴者達は納得がいった。

 2人のファンの中には、悲しんだ者もいる。しかし殆どの視聴者達は2人の交際を祝福した。


「ありがとう皆! これからも配信頑張るね!」


 幸せそうなユアを見て、視聴者達は盛り上がる。温かいコメントが沢山流れて行く。


「やったなミナト!」


 画面外からカズト達が現れて、いつもの6人が集まった。仲間達からも祝福された2人は、綺麗な笑顔で笑い合っていた。


■配信日:2024年11月05日

■配信タイトル:『心霊スポットチャレンジ㉙ T県D市 幽霊の出るトンネル!』


 とある地方都市にある、薄暗いトンネルがある。そこは有名な心霊スポットだ。

 夜に車で通ると、車内に幽霊が乗り込んで来る。長い髪の女性がトンネル内に立っている。

 女性の声が聞こえても、反応してはいけない。そんな数々の噂がある。

 都市部からは少し離れた位置にあり、山の麓にそのトンネルはあった。

 ユア達はレンタルサイクルで来ており、6台の自転車が並んでいる。


「今日はこの、幽霊が出ると噂があるトンネルに突撃するよ〜!」


 交際を宣言してからは、毎回ミナトがユアの隣に立つ。どうやら2人の仲は良好らしい。

 いつもの様に怖がるレイを宥めつつ、彼らは自転車に乗ってトンネルへ向かう。

 夜の19時は既に真っ暗で、トンネルの中は薄暗い。電灯が壊れているのか、点灯していない箇所が幾つもある。

 トンネルの出口は殆ど見えず、恐怖心を誘うには十分過ぎる。ホラーが苦手な人は絶対に通りたくないだろう。


「ねぇ本当に行くの?」


 レイがこの期に及んでまだ躊躇いを見せる。しかしマモルからバッサリと言われてしまう。


「じゃあお前だけ、1人でここに居る?」


「ゔっ…………じゃあ行く……」


 渋々レイは同行する事を決める。これまでに28ヶ所の心霊スポットに行ったが、何も起きていない。

 次回には30回記念を迎えるのだから、そろそろ腹を括っても良さそうなものだが。

 それが出来ないからこそのレイであり、視聴者も怖がるレイを観て楽しんでいる。

 いつも通り6人分の映像が流れ始め、全員が自転車を漕ぎ進める。

 薄暗いトンネルに入り、ジメジメとした空気が映像からも伝わって来る。

 心霊スポットらしい、特有の雰囲気が漂い始めた。ちょっとした音がする度に、レイが悲鳴を上げる。


「もう少し速く漕いでくれないか?」


 レイの後ろに居るマモルが、急かす様に言う。ビビりまくりのレイは、いちいちスピードが落ちる。

 そんな時、結構な速度を出した車がトンネル内を通過した。


「何よ今の車! 危ないなぁ!」


 運転マナーの悪い車に対して、ユアがプリプリと怒っている。

 確かに今のは結構危なかった。標識では30キロ制限の道路だが、明らかに50キロぐらい出ていた様に見える。

 そんなトラブルもありながら、ユア達はトンネルを抜け切った。

 念の為にと引き返してみたが、やはり女性の幽霊は現れず。


「結局あの車が1番のアクシデントだったね」


 ユアがそう締め括り、それぞれの感想を聞いて配信は終了した。

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