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夜の住人
夕陽を見送ったら
町は色を失って
僕は鮮明になる
おはようとさようなら
同時に言うと複雑な気持ちになる
夜の町が好きだ
うるさい車も 人も
暑苦しい太陽もいない
一人で月を見上げると
静かな空間で
疲れないんだ
散歩しても鳥の歌は聞こえなくて
公園に寄っても子どもの声は響いてない
店のシャッターは全部閉まっていて
街灯だけが光ってる
夜の町が好きは 半分嘘
嫌いなところもある
朝の町も好きだし
恋しいんだ
僕は夜の住人
朝陽に会うと霞んでしまう
いつか朝の住人にもなって
鮮明になった世界を見たい




