「本番①」
シンフォニア掲示板
佐倉幸の事
・転生の女神による転生ボーナスで、音楽の能力値が現世の100倍にアップ
・ギターの魔力の1つ 【音楽は言語を越える】
幸のギターに魅力されたものは、例え魔物であっても、意思疎通が可能になる。
さらにこの力は協奏した場合、ライブを通じて他人とも仲良くなる様に、音楽を聴いていた者同士も意思疎通が可能になる。
・ギターの魔力の1つ 【心酔】
幸のギターに魅了されたものに、命令を下せる魔法の力だ。
・ギターの魔力の1つ【協奏】
幸が誰かと共に演奏すると、相乗的に、ギターの魔力の力が増幅される。
この世界の事
この世界は6つの国からなる。
【レナシー共和国】、【ミグニクト】、【ファードナル】、 【ソドム】、【ライトメイト】、【シグルド連邦】
・世界で1番大きかった国【ドルトナティア】が、一年前に突然消えた?
・楽奴と言う、音楽をさせられる専門の奴隷がいる。
この世界の人々は音楽が大嫌いで、その結果なのか、音楽が聞こえなくなった。
そして、楽器は、まるで黒光りするGのように、存在するだけで気持ちの悪いものとなっている。
そのような音楽の待遇の中、楽奴は何故か、音楽をすることを強いられている。
もちろん。自由や平等といった人権はない。
**************************************
……。
…………。
――そして話は今現在。町民会議本番に戻る――
「これより町民会議を始める!!」
ケイケスの宣言は無音と言う音で返答された。
人々は目の前の光景に茫然と立ち尽くしかないからだ。
"シタァン!"
しかし、キヨラが地面に叩き付けた強烈な鞭の破裂音により、人々は我にかえる。
そうなるとカオスだった。
「なんでそんな恰好してるの!?」
「今月の町民会議どうなるんだ!?」
「えっ!?キモい……。」
「何でケイケスがあんな格好で恥ずかしげもなくしている……?」
「女王様美しい……。」
「なんか良く分からんがやれやれー!!」
人々は様々に"ザワザワ"とざわつく。
限りなくLOWな気分で渋々集まった町民会議だが、目の前に繰り広げられてるその全ては、そこにいる全ての人の想像の斜め上だったからだ。
「女王様ぁ!!
早く私めに鞭を!!」
ケイケスも"ソワソワ"とご褒美を待ち侘びている。
この謎の状況を眼前に据えられ、1番困惑していたのは200人の警備兵だった。
「……状況は把握しかねるが、ケイケス様が町民会議と宣言した以上、ステージ上の事が滞りなく行われる様にするだけだ!」
警備兵の隊長らしき男が鼓舞する。
その男が握る拳は光っていた。
口に当てているその手はどうやら魔法で光っているらしく、トランシーバーの様にステージ前と、客席後ろにいる兵士達にも伝わっているらしかった。
「ステージ上にケイケス様、そしてボンテージの女、"以外の何者か"が侵入して来たら、即排除だ。」
隊長が全兵士に告ぐ。
「「ラジャー!」」
警備体制は盤石のまま、厳戒態勢に入った。
…………。
……。
「あれ……、キヨラさんだよね……?」
この町の楽奴の中で、1番キヨラと交流が深かったチャーコが目を擦りながら言う。
「キヨラがあんな変な格好するかぁ?
でも髪は青いぞ……?」
ピーネの感想。
ゴミ処理場組は、ステージ場が謎の状況であっても、兵隊が200人態勢で厳戒態勢で警備している以上、ステージに上がる事は出来ない。
何より、幸がギターを弾きださなければ、幸のギターの魔力の恩恵は受けられない。
そうなると真打ちの登場を待つほかなかった。
…………。
……。
「なぁー。
なんかまた出て来たでー。
めっちゃエッチな格好してる女の子ー。」
フーガスカは見たままを答える。
「えっ!?
エッチな格好!?」
幸は、身体が抜け落ちそうなほど乗り出して見るが、良く見えない。
「髪青いしー、あれキヨラちゃうー?
なんか兵隊さんもまごついてるしー。
今行くしかないんちゃうー?」
見たままを更に答える人魚。
「青い髪!!
きっとキヨラだ!!
行こうフーガスカ!!」
「わかったー。」
フーガスカは、宝箱を頭に乗せたまま、鰭を器用に動かして、どんどんステージに近づいて行く。
警備兵も、町民も目の前の異質な光景に気を取られ、海から人魚が近づいて来る事など、気付くはずもなかった。
「着いたー。
ステージの真下やー。」
フーガスカは言う。
「一発勝負だからね……。
フーガスカ、ミミック、行けるね?」
「えーよー。」 「任されましたぁ!」
「よし!!フーガスカよろしく!!」
幸の声が合図になり、フーガスカは、サッカーのスローイングの様にミミックをステージまで放り投げた。
…。
……。
………。
…………☆
………。
……。
…。
ミミックは放物線を描き、守備良くステージの縁に着地。
その際ミミックのホーバリングにより、中への衝撃は殆どなかった。
「おい!今度は後ろになんか宝箱見たいなのが出て来たぞ!」
「三角木馬にしては、角度の攻めが甘いぞ!」
聴衆が口々に言う。
”ざざっ”
聴衆の言葉と同じ瞬発力で警備兵達が厳重警戒に入り、急に投げ入れられた宝箱へ向かい走り出した。
”パカッ”
打ち合わせ通り、ステージへ着地したミミックは大きく口を開けた。
開いた口から出てきた幸は、既にギターを構えて準備万端で、2000人ほどの観客と対峙する。
心臓は”バクバク”と高鳴る。
それはどんなライブもでも変わらない。
ライブとは、自分の心を、音を、誰かに伝えることなんだ。
それはつま先から頭のてっぺんまで全部の力で、心臓の奥底から手に触れた全部へ、自分をさらけ出すこと。
ライブは自分の全部を、あなたの心へ届ける為の挑戦だ。
これはbirdsの大鳥に教わった言葉。
幸の大事な所にしまってある、大切な言葉だ。
常にそれを意識して幸はステージに立っている。
10人の前でも100人の前でも2000人の前でもそれは変わらない。
奏でる事は命を削ること。
それだけの想いで誰かに音楽を届けると言う事。
それさえ分かっていれば、問題なんて何もない。
「うしし。
さぁ、俺の音楽聞いてくれよ。」
幸はギターを爪弾き始める。
”♪~~~”
…………。
……。
**************************************
出会ってくださりありがとうございます!
ブックマークや感想など書いていただいたりしたら、本当に励みになります。
去年の終わり頃から始めてフォワーやブックマークが少しずつ増えてきました!ありがとうございます!
リタイアせず、頑張りたいと思っておりますので、何卒応援よろしくお願いします!




