あとがき
こんな陰鬱で悲惨でくらーい話を最後まで読んでいただいた方、ありがとうございました。
ほとんど自己満足の兄妹論を展開させてしまったので、もしハッピーエンドを期待されていた人がいましたら、大変申し訳ありません。
「現実を逸脱したきょうだいが現実に立ち返る」、というコンセプトだけは、どうしても曲げられませんでした。
この話を書き始めたのはおよそ5年ほど前でした。
もともとこの二人は別の話に登場させたのが最初で、その話では兄妹ではなく幼馴染みという設定でした。
この話よりは明るいですが、みどりと高馬自身が恋愛体質ではないので、その話でもかなり地味でシリアスな役割です。どうしようもない主人公。
しかし、もちろんハッピーエンド。
ではなぜ、こんな重たくてインモラルな話に踏み切ったのかと言いますと、理由はひとつ、書きたかったからに他なりません。
というか、当時ものすごく実のきょうだいものにハマっていただけです。
大好きなサイトさんの話や某掲示板のパロ、漫画などできょうだいものを読み漁っていた時期、ほとんどが禁忌を貫き通してしまう、あるいはハッピーエンドでして、それでは物足りなくなってしまうほど兄妹設定にハマってしまったのでした。
私は、もちろんハッピーエンドや禁忌エンドも好きなのですが、誰か一人でも「きょうだい」「血縁」「家族」の部分を大事にする書き手がいてもいいのでは、と考えていました。
恋愛感情や肉体関係を抜きにしても、「血縁」というつながりによって惹かれ合っていいのではないか。
それこそが究極のインモラルではないか。
などというヘビーな考えにいきつき、「じゃあ自給自足しよう」となったわけです。
とはいえ、すでに既出の自キャラで間に合わせたあたり適当さ加減が出てしまっているわけですけども。
「現実を逸脱したきょうだいが現実に立ち返る」というコンセプトを重要視しましたが、もうひとつ重要視したのが「プラトニック」です。
別にプラトニック推進派でもなんでもないですけど、むしろエロは大好物ですけど、きょうだいものを書くにあたっては絶対にやめよう、未遂で終わろうというのは決めていました。
肉体関係は、どうにも生々しい上にポルノ小説のようになってしまいそうで、私の場合。あと、やっぱりセックスしたらどうしたって普通のきょうだいに戻るのは難しいですしね。
私が一番書きたかったのは、恋愛一歩手前の微妙な感情だったので。
「兄妹以上、…」のみどりと高馬は、おそらくこの後も仲悪い感じで生活し続けるでしょう。
でもきょうだいって、なんかいつの間にか仲良くなったりしますよね。
でもって遠慮がないから、まあ、予想外な展開に行きついたりするかもしれません。
もちろん、読んでいただいた貴方様のご想像にすべてお任せいたします。
なお、高馬のキャラの原型に関して心当たりがあるかた、土下座して謝りますので、ぜひ申告なさってください(笑)。
おそまつさまでした。




