表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

56/72

第18話 王都からの救援


「でも……どうしてハンナがここに?」

「それに、なんで総監たちまで!?」

 

ハンナは

「それはね──」

 

 

─── 


──時は

12時間前に戻る 



 深夜。

エステルは王令が降りず、


自室の扉を閉めた。

 


 風にあおられ、エステルは自室の窓を開け放った。

月明かりに照らされた瞳は、燃えるような決意を宿している。


「……クソみたいな王」


ローブを翻し、彼女は低く囁く。


「私たち鳥契約者は攻撃力こそ劣る……けど、″数″だけは誇りよ」


 バサバサッ!

夜空から黒い羽が雪のように舞い込み、百羽を超えるカラスが床を埋め尽くす。


「来なさい、カラスたち!」



エステルは一羽を指先で撫で、囁いた。


「……お前はヤコブの元へこの手紙を届けなさい。リリン村の異変を伝えるのよ」


マントを羽織り、窓枠に足をかける。


「私は――ハンナの元へ向かう。后としてではなく、母として」



冷たい夜風が頬を打つ。

「……城外へ出たと知られれば極刑ね。でも……子を守るのは親の務めよ」



 黒い翼の群れと共に、エステルは夜の王宮を飛び立った。



───



 霊獣管理協会・本部


総監ヨハネと副総監ヤコブのもとに、一羽のカラスが舞い降り、手紙を落とす。


「姉上のカラス!」


ヤコブが封を切ると、そこには震える筆跡で記されていた。



──農業村リリン壊滅の危機。リザエルの報復。


「───!」

ヤコブは椅子を蹴るように立ち上がった。


「待て! ヤコブ!」

ヨハネが低く制した。


「総監! これは国の危機です! 私がリリン村へ──!」

 

「落ち着け」

 

ヤコブは睨み返す。

 

「……いつも冷静なお前が珍しいな……」

「……」

 

「これは王からの依頼ではない。私たちは王命がなければ動けない……それはわかっているはずだ」


「……承知しています。ですが、私だけでも向かいます」


「総監に逆らうのか?」


「……」



 

ヨハネはふっと目を細め、そして笑った。

「なら、私も“行楽ついで”に出かけるとしよう」


「えっ……?」


「総監としてではなく、ただのヨハネとしてな」

 

「ヤコブ……お前はすでに何か掴んでいるだろう」

 

「──!」

ヤコブの表情が動く。



「私は数名の霊獣使いを率いてリリン村へ向かう。お前は黒幕を探せ」


「──必ず突き止めます」

 

「しかし……さすが総監ですね」


 

「いつもの勘だ……」


「そして、動くときは今だ」


 



───


 ノルディア・夜明け前


ハンナとドラコは眠っていた。


トントン……窓を叩く音。


「……何?」


カーテンを開けると、そこには母・エステルの姿があった。


「お母さま……!?」

「ハンナ!」


「今すぐドラコと農業村リリンへ向かいなさい。村を死守するのよ!」


「──! でも、ここには父様の霊獣 朱雀すざくが……監視してるはず……」


「私があなたの代わりになるわ」

エステルはカラスの群れを背に言い切った。


「ドラコの分も、カラスに幻影を任せなさい。朱雀すざくは霊力の流れこそ感知するけど、目は悪い。そして今は寝ているから大丈夫よ」


「……お母さま」


「早く行って! リリンの霊獣も、霊獣使いも危ない!」


「──! ドラコ、行くわよ!」

「分かったわ!」


「お母さま……ありがとうございます!」


 エステルは一瞬だけ、夢で見た非難な光景を思い出す。

胸に手を当てる。


(きっと……大切な人なのね)


「いってらっしゃい、ハンナ!」



───


そして現在。


「それで俺達助かったんだ……」

リクは大きく息を吐いた。



「しかし、すまなかった……森の魔物の襲来があり……到着が遅くなった」

 



「それで……あの男は……」


「後はヤコブが対応するだろう」


ヨハネはリリン村の森を見つめ、視線を鋭くしていた。


  

 

続く

 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ