表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

48/72

第10話 悪魔の村リリン

「ダンさん! こいつにもう一度魔法をかけよう!」

リクが叫ぶ。


「待て、リク……。おいらには、このスライムと話さなきゃいけないことがある」


キリッとした表情でデカダンの方を向く。

「デカダン! お前はチビ達を連れて、養鶏場の池に避難しろ!」


「ダンの兄貴!!」


「大丈夫だ! おいらなら平気だ!」


「……わかりました! 兄貴も、早く来てくださいよ!」

「てめぇら、急げ! 干からびちまうぞ!」

「ギャム!!」


ダンゴムシ達は丸く転がりながらその場を離れていく。


 

──

 


 リクが息を呑む。

「ダンさん……」


ダンさんは真剣な表情に戻り、スライムを睨みつけた。



「……お前。破裂する気だな」

「───!」

 


スライムの身体が揺らぐ。

「フフ……そうだ……。私が自爆すれば……大勢の人間が死ぬ……! 土を浄化しても無駄なんだよ……!」


「なんでそこまで、人間を恨む!?」



「……いいだろう。どうせお前も俺も死ぬ……理由くらい、話してやる」



「私はただのスライムだった……。そして、エネルギーで栄えた街″エデン”にいた」

「無限に近い力を生み出すエネルギー……! だが人間は欲に呑まれ、実験に失敗し爆破を起こした!……街は消滅した!」



「重油と科学毒に汚染され……私は毒を喰らい、化け物に成り果てた! 大好きだった街を……人間は壊した!!」


「家族や同族は毒に耐えれず死んだ!!」



「人間など破壊しかしない!! 存在する価値などない!!」




───


 ダンさんは一歩も退かず、拳で砂を握りしめる。

土埃が舞う中、その瞳は揺るがなかった。


「やっぱりな……。お前、それ……四百年前の話だろ?」


「なに……!? なぜそれを……!」

スライムの身体が激しく揺らめく。



ダンさんは砂をすくい、力強く見せつけた。

土の粒子は風に舞い、キラキラと反射した。


「気づいてないのか……? ここがどこだか!」

 


「ここは――かつて“爆破”で滅んだエデンだ! 猛毒に侵され! 街の名前が変わったんだ!! 人類の罪として!!

《悪魔の町・リリン》と呼ばれたんだ!」



「なっ……!」

スライムの巨体が震えた。



「そうだ! 湖は重油で満ち、科学毒で生物は死滅し! 草一本生えない死の大地になったんだ!」


「けどな……百年かけて浄化したんだ!! そしてこんなに緑溢れる美しい村になったんだ!!」

ダンさんは背後に広がる森林を指し示す。

青空の下で命が輝いていた。



「バカな! 一歩入れば死ぬレベルの毒だったはずだ……!」


「先代の霊獣ダンゴムシ……“ダンディさん”はな……」

ダンさんは涙を流しながら叫ぶ。


「土の力を信じ抜いて! 科学毒まみれの死の街を浄化し! 農業村リリンに再生したんだ!!」

「一人で!! 百年かけてだぞ!! たった十センチの小さなダンゴムシが!」


「誰からも褒められず!!」


「お前……! 本当に好きだった街を……また毒で汚す気か!!」




「……ダンディ……だと……」

スライムの瞳が揺らぐ――。






続く

※次回の話は残酷描写ありです。苦手な方は1話飛ばしてお読みください。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ