第6話 釣り人タロの戦闘
魔物の群れが地響きを立てて迫ってくる。
土煙が舞い上がり、空気が震える。
タロはロープのように太い釣り糸を指で弾き、にかっと笑った。
「さてと……やるか!」
重りをぶん投げる――ヒュルルルルルッ!
空気を裂く音が轟き、森の向こうへ吸い込まれていく。
タロはちらと振り返り、指を立てて笑う。
「あの木で……百五十……百五十一メートル。よし、だいたいわかった」
「俺は“釣りしか能のないおじさん”だけど……」
「大人が年下守るのは、当然だからな」
その瞬間、魔物の巨体が現れる。
タロはリールを握り、足を踏み込み、ひと息。
「――あらよっと!」
ゴウッ!
重りが音速で落ち、ドォン! と大地を揺らす。
次の瞬間、巨体の魔物がガクリと膝を折り――ゆっくり倒れた。
──
村の子供が走りながら、その光景を見つめる。
「なんで魔物がたおれてるんだ……?」
「タロさん……」
「いや! 俺が早く米ぬか撒き終わらないと! 急げ!」
前を向き直し、全速力で駆け抜ける!
──
タロはもう一度リールを巻き、再び糸を放つ。
ヒュルルルルッ! ――ドォン!
二体目の魔物が、同じように崩れ落ちた。
タロはニッと笑いながら
「さすがの魔物様でも、なんでやられているかわかんねぇか……」
タロは背中越しに笑い、
「――釣りしか能がねぇ男の、戦術ってやつさ」
「モブキャラなめんなよ!」
拳を握りしめる。
しかし……自分の右手を見ると震えていた。
「やっぱり……右手の負担がでかいな……」
うっすらと汗をかいていた。
「村の皆頼むぞ……」
──
リクとダンさんは田んぼへ向かって駆ける。
その前に、森から魔物の群れが飛び出した。
「今度は群れで来やがったな!」
リクは走りながら弓を構える。
鼓動が耳を打ち、狙う一点だけに意識を絞る。
シュッ――!
矢が放たれ、魔物の額を正確に貫いた!
「ダンさん! 危ない! 隠れて!」
だがダンさんは叫ぶ。
「リク! オイラを盾に使え!」
「えっ……!?」
その瞬間――
横から狼型の魔物が襲いかかる!
鋭い爪がリクの首を狙い──
「リク――!!」
ダンさんが飛び出し、くるりと丸くなる!
ガキィィンッ!!
狼の爪が甲羅に叩きつけられ――砕け散った!
「なっ……!」
リクが目を見開く。
ダンさんはドヤ顔で言った。
「オイラの甲羅めちゃくちゃ硬いんだ!」
「丸くなれば最強の守りだぞ!」
リクは息を呑む。
「ダンさん……」
「なぁリク! お前だけ頑張らなくていい!」
「攻めはお前! 守りはオイラ! ――相棒だろ!?」
その言葉に、リクの胸が熱くなる。
「……ああ! 相棒だ!」
「でも時間がない! 毒の元凶を浄化しなきゃ湖は干上がる! オイラたちダンゴムシは絶滅だ……!」
「急ごう、リク!」
「分かった! 行こう、ダンさん!」
二人は土煙を蹴り、林の中を駆けていった。
続く




