第3話 湖の爆破
湖のほとり。
ユダは瓶を手に、不気味な笑みを浮かべた。
「……さてさて。おぉ、いい感じだ」
湖の霊力はすでに尽き、生命の気配は薄れている。
魔物のミジンコが霊力を貪り、三十センチほどの異形へと変貌して泳ぎ回っていた。
「最後の仕掛けだ……」
ユダはガラス瓶の蓋を外し、毒をトクトクと湖へ流し込む。
黒い波紋がじわじわと広がる。
「湖が干上がれば、ダンゴムシなどただの虫……。
霊獣使いなど、魔物に襲わせれば良い」
冷笑を残し、ユダは影の中に消えた。
───
二時間後。
湖中央。
異形のミジンコが苦悶の声を上げる。
「ギィ……ギィィィ……ッ!!」
毒を取り込みすぎてのたうち回り、奇声を放つ。
その声は――魔物を呼び寄せる“合図”だった!
───
「ダンさん……!」
リクが顔を青ざめさせる。
「この気配……魔物だ……!」
「リク……あの時と似てるぞ……」
ダンさんが低く唸った。
「でも……なんでだ!? 白霊米はもう収穫したのに……!」
リクの心臓が跳ねる。
「ッ……避難を急がなきゃ!!」
彼はタロの家の扉を叩いた。
「タロさん!! 避難だ!!」
タロは釣り竿と重しを抱え、慌てて飛び出してくる。
「リク!! 湖見ろ! やばいぞ!」
「湖から離れろ! 村の教会まで走れ!」
三人は走りながら振り返った。
湖は油膜が浮いたように不気味な光を反射し、中心で半透明の“スイカ大”の生物がグネグネと蠢いている。
「ギィィィィィィィィ――!!」
ミジンコの奇声が空気を震わせる。
次の瞬間――
「リク! 逃げろ!」
「やばい!!」
三人は咄嗟に岩陰へ飛び込んだ。
――バァアアアアアアン!!!
轟音。水柱。衝撃波。
「っ!? 今の……爆発か!?」
「う! なんだこの酷い匂いは……」
リクは震える手で岩の隙間から覗く。
「はぁ!? なんだこれ……!」
湖の水は一瞬で黒く濁り、澄んだ湖面はどろどろと蠢く“毒の湖”へと変貌していた。
「一体何が起きているだ……」
────
ユダは村の山岳地から村全体を眺めていた。
「重油と化学毒の湖の完成だ……」
「ミジンコの細胞で破裂後も増え続け、村全体にすぐ広がるだろう……」
「火をつければ、村は一瞬で焼き尽くされる……」
「出番だぞ……」
スライムがズルズルと動き出す。
「そうだな……人間は駆除する……」
続く




